はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

業界キーパーソン3名が語る仮想通貨市場の現状と展望|香港Web3 Festival2025

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2025年の香港Web3 Festival(4月6日〜4月9日開催)では、仮想通貨業界を代表するキーパーソンたちが一堂に会し、市場の現状と今後の展望について意見を交わした。

会場では、TON Foundation取締役のスティーブ・ユン氏(Steve Yun)や香港立法会議員のダンカン・チウ(Duncan Chiu)といった注目の登壇者が講演を行い、大きな注目を集めた。

さらに、業界を代表するデータプロバイダーであるCoinMarketCapのCEOラッシュ・ルー氏 (Rush Lu)にも取材を行い、マクロ環境や規制の行方、アジア市場の可能性について幅広く話を聞いた。

Steve Yun/TON財団 取締役

Duncan Chiu/香港立法会議員(科技創新界選出)

Rush/CoinMarketCap 最高経営責任者

CoinPostは会場にて、彼ら3名に対して個別インタビューを実施し、業界で注目されるトピックについて深掘りした。

マクロ経済の影響下で再編されるWeb3市場

最近では、関税問題やマクロ経済の変動を背景に、Web3業界、特に暗号資産市場において大きな動きが見られている。こうした急激な変化は多くの投資家の関心を集めており、市場の先行きに対する不透明感から、業界全体に慎重なムードが漂っている。

それでも、ラッシュ・ルー氏は決して悲観的ではない。むしろ、マクロ経済環境の変化が新たな転機になり得ると前向きに捉えている。

「仮想通貨市場はもはやビットコインの4年周期による単純なサイクルでは動いていない。すでに、関税政策や米国の金利引き下げといったマクロ経済要因によって動かされている。

私は、これがマネーの流動性を高め、リスク資産への資金流入を促進する引き金になると考えている。つまり、より多くのお金が刷られ、それが市場に入り、仮想通貨に流れ込む可能性がある。」

今回のような大きな市場の変動の中で、ビットコインに比べ、アルトコインやミームコインの価格変動は一層激しさを増している。これにより、市場にはさらなる不確実性が生まれ、多くの投資家が慎重な姿勢を見せ始めている。

スティーブ・ユン氏は、こうした現象をアルトコイン市場の潮目が変わりつつある兆候として捉えている。

「過去のサイクルではアルトコインシーズン”が来ると期待されていたが、実際には訪れなかった。今回は確かに“シーズン”が訪れたが、非常に限定的かつ中心化された形で、資金はトランプコイン(米大統領ドナルド・トランプ氏をモチーフとしたミームコイン)や一部のミームコインに集中し、他のアルトコインには波及しなかった。その結果、多くのアルトコインは好パフォーマンスを出せなかった。」

その上でユン氏は、「それでも最終的には基本に立ち返るべきだ」と述べ、DeFi(分散型金融)や決済といった、ブロックチェーン本来のユースケースこそが、今後の発展の中核であるとの考えを示した。

ダンカン・チウは、仮想通貨市場の短期的な価格変動について過度に懸念する必要はないとした上で、むしろその本質的な可能性に注目すべきだと語った。

「市場の上下動は金融資産の性質上当然のものであり、大切なのはそれが将来的に十分な規模を持つ産業であるかどうか、そして金融市場の新たな取引形態になり得るかどうかだ。」

現在、香港では取引所ライセンス制度やステーブルコインの法整備が進められており、2025年にはさらに多くの新しいプロダクトが認可される見通しである。

チウ議員は、こうした動きこそが仮想資産を「未来の金融」として位置づける根拠になるとし、健全な市場を育てるためには、明確な基準と一貫性のある監督体制が不可欠だと強調した。

規制の行方が市場を左右する

こうした市場の急激な変動と投資家心理の揺らぎを受けて、Web3や暗号資産を取り巻く規制環境にも変化の兆しが見え始めている。

各国の当局は、透明性と安全性を確保しながら、革新を阻害しないバランスの取れたルール作りを模索しており、今後の制度設計が市場の成長スピードに大きく影響すると考えられている。

規制に関して、スティーブ・ユン氏は「質」を重視する姿勢を示している。

「たとえ厳しい規制があったとしても、RWA(現実資産のトークン化)の安全性が確保されていなければ、それは業界にとって最悪の結果をもたらす」と述べ、規制があること自体ではなく、それがどれだけ効果的か、安全性を担保できているかが重要だという考えを強調した。

その上で、「我々のような財団は、安全でないプロダクトを推進することはできない」とも語り、適切な規制によって安全性が保証されるのであれば、それはむしろ歓迎すべきだとの立場を示した。

また、日本や韓国のように、過去の金融危機を教訓に厳格な規制を敷いている国についても、「その背景は理解できる」と述べつつ、スタートアップにとっては柔軟性のある環境の方が成長しやすいとの見方も示している。

ラッシュ・ルー氏もまた、制度整備の必要性を強く意識しており、「短期的な価格の動きに一喜一憂するのではなく、制度と仕組みを整備することで、業界全体の信頼性を高めていくべきだ」と語った。

チウ議員は、香港における仮想資産の制度整備が着実に進んでいることを強調した。 2024年には、取引所ライセンスの発行が段階的に進み、複数のプラットフォームが認可された。

ステーブルコインに関する法案も審議が進められており、まもなく可決される見通しで、年内には新たな発行ライセンスの導入が期待されている。

また、証券先物委員会(SFC)は、ステーキングやSTO(証券型トークンによる資金調達)といった商品に対する承認体制の整備を進めており、今後はカストディアン制度の法制化も予定されている。

アジア市場に広がるWeb3の可能性

今回のWeb3 Festivalが香港で開催されたこともあり、アジア市場の将来性は登壇者や参加者の間でも避けて通れないテーマとなった。規制や技術環境が国・地域ごとに異なる中で、次に成長の中心となるのはどこかーーその動向に注目が集まっている。

アジア市場の可能性について、まずチウ議員は、香港の制度的優位性に言及した。インタビューの中で、近年の取引所ライセンス制度やステーブルコイン法制の整備に触れ、「香港の法制度の整備が進んでおり、グローバルなプロジェクトや人材が参入しやすい環境が整いつつある」と述べた。

続いて、スティーブ・ユン氏は、アジア全体がWeb3にとって有望な市場であるとしたうえで、「その中でも香港は最も強力な市場だ」と明言した。「香港は、経験豊富な開発者が集まるゲートウェイである」と述べた。

一方、ラッシュ・ルー氏は、「自社のビジネスにおいてはユーザー数の方が重視されている」と語り、アジア地域における人口規模とユーザー基盤に注目していることを示した。

日本については、「規制は厳しいが、ここ数年で良好なフレームワークが構築されてきた」と述べた。また韓国については、「仮想通貨の普及度が非常に高く、とりわけ若年層の間での浸透が進んでいる」と評価し、それぞれの国の市場環境に言及した。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05/21 水曜日
17:58
GMOコイン、ネムやモナコインなど6種類の仮想通貨を取扱廃止へ
GMOコインが6種類の暗号資産(仮想通貨)の取扱い廃止を発表。対象は、ネムやベーシックアテンショントークンなど(XEM、BAT、QTUM、ENJ、XYM、MONA)流動性不足を理由に8月2日までに段階的終了する。
15:19
バイナンス、3種類の現物取引ペアを停止へ 5月23日実施
バイナンス(国際版)が2025年5月23日に3種類の現物取引ペア(ACA/BTC、MASK/BNB、TRU/BTC)の取扱いを中止すると発表。トークン自体の上場廃止ではなく、別の取引ペアでの売買は継続可能だ。
14:41
NAC保有でNOT A HOTEL宿泊権がもらえる「THE DOOR」 6月リリースへ
NOT A HOTEL DAO株式会社が新サービス「THE DOOR」を2025年6月に開始。NAC保有者は毎月抽選で高級別荘の宿泊権を獲得可能。Web3技術と実物資産を融合した新たな宿泊体験を提供。
13:40
イーサリアムDEXトレーダー70%超急増、Uniswapが市場独占するも特許訴訟に
イーサリアムのDEX取引が活性化し、アクティブユーザー数が73%増の64,000人に到達した。イーサリアムの取引市場シェア86%を占めるUniswapが3兆ドルの累計取引量を達成する一方で、Bancorによる特許侵害訴訟に直面している。
12:30
ビットコイン10万ドル台で再注目、投資魅力が金に接近か=アナリスト
ビットコイン価格が10万ドルを突破し、金価格が調整する中、投資資金の流れに変化が。フィデリティやゴールドマン・サックスなど大手金融機関の分析から、金とビットコインの関係性と今後の見通しを解説。
11:35
「NFTの多くは有価証券ではない」米SECパース委員が見解
米SEC委員のパース氏がNFTの証券性を否定する見解を示した。クリエイターロイヤリティを伴うNFTも証券に該当せず、ミームコインや多くの仮想通貨も除外対象と意見している。
11:00
アバランチ、140億円規模の新ブロックチェーン環境「Fusion」リリース
仮想通貨アバランチが1億ドル規模の新エコシステム「Fusion」を発表した。モジュール型の2層アーキテクチャで、成果主導型の実用的ブロックチェーンネットワーク構築を可能にする。
10:35
元大統領候補のStrive社、75000BTC取得計画 Mt.Gox債権から
元大統領候補のラマスワミ氏の資産運用会社Striveが、破産した仮想通貨取引所Mt.Goxの7万5000ビットコイン債権を割引価格で取得する計画を発表。10月までの債権者返済に先立ち株主承認を目指す。
10:25
ジャスティン・サン、トランプ米大統領との晩餐会参加へ
仮想通貨トロンの創設者ジャスティン・サン氏は、トランプ米大統領との晩餐会に参加することを公表。晩餐会参加希望者の中で、トランプコインの最大保有者だと説明した。
09:30
株価50%急騰、米上場DigiAsia 純利益の半分をビットコイン購入へ
ナスダック上場フィンテック企業DigiAsia Corpが純利益の最大50%をビットコイン購入に充当する戦略を発表。最大1億ドルを調達しBTC準備金を確立、長期保有と収益創出を目指す。
08:35
ビットコイン、過熱なき上昇か オンチェーン分析が裏付ける=アナリスト
Avocado_onchainとSwissblockの最新分析によれば、ビットコインの現在の反発上昇は過去と異なり過熱することなく進行中。ビットコインファンダメンタルインデックスも弱気ダイバージェンスの兆候なく、オンチェーン指標が市場の健全性を示しているようだ。
08:00
イーサリアム過熱状態、2500ドルで調整局面入りか アナリスト分析
Cryptoquantの登録アナリストがイーサリアムが2500ドル付近で過熱状態と指摘。一方でバイナンスからのアルトコイン流出は蓄積の兆候に。
07:25
ロビンフッド、米SECにRWAトークン化の規制案提出
仮想通貨などの投資アプリを提供するロビンフッドは、RWAトークン化の規制に関する提案書を米SECに提出。将来的に、トークン化したRWAの取引所を運営する計画があるようだ。
07:10
XRP・ドージコインETFの判断延期継続 米SEC、承認は早くても夏ごろか
米証券取引委員会がXRPとドージコインのETF申請について判断を延期し、パブリックコメントを募集。BitwiseのイーサリアムETFステーキング機能審査も先送りに。
06:55
トランプ退任前にビットコイン価格5倍上昇を予測=大手銀アナリスト
大手銀アナリストは政府機関がマイクロストラテジー株を通じてビットコイン保有を増加させていると指摘。この傾向がトランプ大統領退任前のビットコイン50万ドル予測を裏付けると主張。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧