トロン(TRX)の概要
トロン(TRX)は、ゲームや動画などエンターテイメント向けのエコシステムで利用される仮想通貨。
トロンのエコシステムは、クリエイターがオーディエンスと直接繋がれる環境であると位置付けられている。ストリーミングサービスやアプリストア、音楽サイトなどにおいて、中央集権化されたプラットフォームを排除し、仲介者がいることで発生する時間やコストをクリエイターが削減できるようになると期待されている。
トロンの発行開始は2017年8月だが、当初はイーサリアムブロックチェーンの規格「ERC-20」基盤でローンチ。2018年5月にトロンのメインネット「Odyssey 2.0」が稼働したことを契機に独自チェーンへ移行した。
発行上限は定められていないが、定期的にバーン(焼却)する仕組みが導入されており、市場流通量を減らすことで希少性を担保している。
ブロックチェーンの特徴
ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムには、ブロック生成を委任できる「Delegated Proof-of-Stake(DPoS)」を基盤にした「Tron Proof of Stake(TPoS)」を導入。また、ネットワークにおけるエネルギー消費を抑え、処理スピードや安全性を向上させるために、サイドチェーンを構築するプロジェクト「DAppChain」が進められている。
トロンが最初に基盤にしていたイーサリアムのトランザクション処理能力が秒間15件とされる中、トロンは秒間2,000件に対応できるとされており、高い処理性能にも定評がある。
ユースケース
トロンの開発は10年に渡って行われる計画で、ロードマップでは2017年8月から6期間に分けてプロセスを説明。期間が長いことを不安視する声もあるが、すでに企業との提携も進んでいる。
大手企業とのパートナーシップの事例では、トロン財団が2019年10月、トロンが韓国大手サムスンのブロックチェーン開発ツール「Keystore(SDK)」に統合されたことを公式に発表。この発表を受け、トロンの価格が前日比5%高を記録するなど市場も反応した。
また2020年4月には、サムスンのアプリストア「Galaxy Store」が、トロンのブロックチェーンを利用したdAppsの取り扱いを開始したことも明らかになった。