
トロン財務戦略を開始
ナスダック上場企業のSRM Entertainment(以下、SRM)は16日、暗号資産(仮想通貨)トロン(TRX)を購入・保有する財務戦略を発表した。SRMの株価は6倍以上暴騰した。
トロン創設者のジャスティン・サン氏を顧問に迎え入れ、社名を「Tron Inc.」に変更するとも説明。同社はトロンの財務戦略を行うために「ある投資家」から1億ドル(約145億円)を調達することも発表している。
今回の内容については、サン氏の関連企業が米国で逆さ合併によって上場すると、「フィナンシャル・タイムズ(FT)」が情報筋の話として16日に報道していた。
SRM Entertainmentは、おもちゃや記念品などを設計・製造している企業。製造した製品は、ディズニー関連の施設などで販売されているという。
同社は、転換優先株や新株予約権を発行して1億ドルの資金を調達すると説明。また、トロンのステーキングで得た報酬を分配することも計画しているとした。
今回の発表で、SRMのリッチ・ミラーCEOは以下のようにコメントしている。
ブロックチェーン技術は世界で採用事例が増加しており、トロンは米ドルステーブルコインの国際決済で業界をリードしてきた。
我々は、世界における次世代の金融インフラの未来に投資できることを楽しみにしている。
また、サン氏のコメントは以下の通り。
ステーブルコインやブロックチェーンは、取引を速く安価に透明性高く実行することが可能で、世界の決済を大きく変えようとしている。
トロンは、世界の3.1億超のアカウントが使用し、取引高が増加しており、世界の人々に決済手段を提供するために選ばれるプロトコルになることを目指している。
トロンの価格は本記事執筆時点で、0.28ドル付近で推移。前日比で2%超上昇している(CoinGecko参照)。
トランプ一族の関連性
SRMは、今回の一連の取引は「Dominari Securities」という企業が募集代理人を務めたと説明した。同社は、トランプ米大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏が関与している企業として知られている。
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一部報道では、エリック氏がTron Inc.の首脳陣に加わるとされていたが、エリック氏自身がこの内容を否定した。
サン氏を巡っては、トランプ一族のDeFi(分散型金融)プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」への投資直後に、米証券取引委員会(SEC)が同氏に対する証券詐欺の調査を一時停止したことなどから、トランプ一家との結び付きが注視されている。
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