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米証券取引所が有価証券トークン化を義務付ける日が近い:有名投資家がコメント

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

規制もブロックチェーンに織り込む有価証券のトークン化
Morgan Creek Blockchain Capital社の共同経営者のAnthony Pompliano氏が、米証券取引委員会(SEC)は有価証券のトークン化を義務付けるだろうという見解を公表しました。
有価証券のトークン化による市場・規制機関への影響
有価証券のトークン化が進むと、規制に準拠したプロトコル統制システム自体が市場の違法行為を未然に防ぐことになります。つまり、中央集権的な第三者が監視し、規制を執行する必要がなくなり、規則の遵守と、データの正確性や透明性が高まることは言うまでもなく、それに付随する多くの税金と労力も削減できるようになるのです。
有価証券とは
小切手や手形、株券など、その所持者の財産権を証明する証書のこと。仮想通貨における”トークン”とよく対比され、トークンを有価証券として扱うか否か、すなわち既存の有価証券への規制をトークンにも適用するのかという議論が繰り返されている。

▶️ CoinPost:仮想通貨用語集

規制もブロックチェーンに織り込む有価証券のトークン化

仮想通貨元年と呼ばれた2017年、そして今年2018年は仮想通貨規制元年と呼べるほど、世界中で仮想通貨の規制に関する報道に事欠きません。

その中でも、アメリカの規制当局の動き、仮想通貨取引所登録制から、ICO規制、イーサリウム(ETH) とリップル(XRP)が証券と分類されるか否かの検討など、米証券取引委員会(SEC)の仮想通貨規制への取り組みは、特に注目に値すると言えるでしょう。

規制当局が、新しいテクノロジーの発展を阻止することなく、いかに仮想通貨や関連金融商品とサービスに既存の規制を当てはめていくかを苦慮する中、規制そのものをブロックチェーンの中に取り込んでしまおう、という動きもあります。

先日ニューヨークで開催されたコンセンサス2018でも注目を集めた、有価証券のトークン化もその動きの一つでしょう。

更にその一歩先を見据えたのが、「SECによる有価証券トークン化の義務づけ」というアイディアで、Morgan Creek Blockchain Capital社の共同経営者のAnthony Pompliano氏が、オンライン出版プラットフォーム、Mediumへの投稿で論説しています。

自称「仮想通貨資本家」のPompliano氏は、Facebookを含むソーシャルメディアでの製品開発担当、投資会社を起業した経歴を持つ仮想通貨支持者ですが、有価証券を含む、あらゆる資産のトークン化から、最大の恩恵を受けるのは、実は、規制当局自身だろうと主張しています。

米証券取引委員会の使命は、投資家を保護し、公平で秩序正しく、かつ効率的な市場を保持すること、及び、資本形成を促進することである。

これは、SECのウェブサイトからの引用ですが、Pompliano氏は、この25年間、時代ごとに現れた新しい技術の導入を義務付けることによって、SECはこの使命を果たそうと努力してきたと述べ、二つの例をあげています。

一つは、1993年の書類の電子ファイル化の義務付けであり、もう一つは、2006年、金融データの比較、検討を容易にするためのXML技術導入です。

新技術の導入は、市場参加者にとっては、それまで不可能だったことが、可能になったり、物事をより簡単に行うことが可能になるという恩恵を受けるわけですが、規制当局にとっては、既存の規制の枠では対応できなくなるという事態も発生します。

その場合の、SECの先を見越した対応策が、新しい技術を自ら取り入れ、義務付けて行くということでした。 

このような経緯から、Pompliano氏は、新しく、大きな可能性に満ちたブロックチェーン技術を使った有価証券のトークン化も、最終的にSECが「義務付ける」ことで、既存の規制との問題点を解決しようとするのではないかとの推論に至ったようです。 

本質的に、技術の義務付け、つまり、強制採用は次のような特徴を持つ新しい技術への規制当局の対応の仕方なのです。

1)現行の規制を回避する

2)市場参加者に対し、データの正確性と透明性を高める

3)より効率的で規制に適合したシステムの創造

有価証券のトークン化による市場・規制機関への影響

有価証券のトークン化、つまり、ブロックチェーン上で資産の所有管理を行えるようになることは、市場にも多大な恩恵を与えることになるでしょう。

有価証券に限らず、これまで、主に書面という形で管理、保管され、所有の形態も限られてきた、多くの伝統的資産も、トークン化されることで、資産の購入、売却、保有、管理などのあらゆる側面に大きな変革をもたらして行くと期待されています。

例えば、資本の細分化が可能になることでの、新たなグローバル市場の創出、新しい市場参入者と資本の流入、そして資本の高い流動性など、可能性は未知数です。

しかし、このような市場への恩恵にも増して、規制当局者側から見た利点がいかに大きいかを、Pompliano氏は述べています。

現在、SECは、市場を監視するために、160億ドル(1760億円)もの予算を割いており、不正行為を立証するためには、2年もの時間と多くの経費が使われているのが現状であり、大変な費用と労力が使われていることがわかります。

これが、トークン化により、現行の法律はプロトコルの中に書き込まれ、証券市場の動きを管理統制することが容易になると期待されています。

トークン化されたシステムでは、プロトコルレベルで、購入者の身元確認 (例えばウォレットのKYC(顧客確認)およびAML(資金洗浄対策))、証券の詳細、取引相手の身元確認情報などを、把握することができるようになります。

例えば、アメリカで承認された投資家が公開されたRegDに分類される証券を買った場合には、12ヶ月保有することが義務付けられていますが、その期間以前に売却しようとした際には、プロトコルが取引が法を遵守しているかどうかを認識するため、その取引は却下され、保有者のウォレットに却下された理由とともに、送り返されることになります。

このケースでは、規制に準拠したプロトコル統制システム自体が、投資家の違法行為を未然に防ぐことになります。

つまり、中央集権的な第三者が監視し、規制を執行する必要がなくなるのです。

規則の遵守と、データの正確性や透明性が高まることは言うまでもなく、それに付随する多くの税金と労力も削減できるようになるのです。

Pompliano氏は以下のようにコメントしました。

単純に言えば、トークン化された証券市場は、現在の証券市場の改良版です。

Pompliano氏は、このような新しいアイディアは一般の理解を得られるまでには時間がかかるだろうとしながらも、資本の所有者、投資家、そして規制当局者によって徐々に受け入れられると予想しています。

そしてこのようなアイディアが推進され、市場参加者の全てにとっての「三方良し」が実現する日が待ちきれないと述べています。

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