はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米Robinhoodの取引手数料ゼロの裏側、顧客の注文データ販売で巨大利益

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

SECへの報告書によって明らかになった注文データ取引
株式や、オプション、仮想通貨取引の手数料をゼロで提供するRobinhoodが、顧客の注文データを他HFT企業に比較的高値で販売し、大きな利益を得ていることが明らかになった。
高まる懸念
その注文データの販売自体は、違法ではないと考えられているものの、過去にRobinhoodのパートナー企業や、顧客がSECによって捜査または、罰金を課せられていることから懸念が高まっている。

SECへの報告書によって明らかになった注文データ取引

先日IPO(新規株式公開)や、最高財務責任者(CFO)への関心を示したフィンテック分野のスタートアップで、株式、オプション、仮想通貨取引の手数料ゼロで提供するRobinhoodが、顧客の注文データを他のHFT(High Frequency Trading、高頻度取引)企業に売却し、大きな利益を得ていることが明らかになりました。

この取引手数料が無料になるという革新的なアイデアによって、一躍フィンテック業界の注目を浴びたRobinhoodは、2013年に創業された後、2017年に13億ドル(約1450億円)の評価を得て、1.1億ドル(約120億円)の資金調達を行い、現在では、56億ドル(約6200億円)の評価を得るところまで成長しています。

しかし、先日2018年第二四半期の報告書がアメリカ証券取引委員会(SEC)に提出されたことにより、同社が顧客の注文データをApex Clearing Corporation、Citadel Securities、Two Sigma Securities、Wolverine Securities、Virtu Financialという5つのHFT企業に販売し、利益を得ていることが明らかになりました。

Robinghoodは、この1つの注文に対し、0.00008ドル(約0.009円)から0.00026ドル(約0.029円)を得ているとされています。この額は、一見非常に安価であると捉えられがちですが、TD AmeritradeやE*TRADEのような企業が同様にHFT企業に販売する額の10倍以上の値段であると考えられています。

Robinhoodの公式ウェブサイトにて、彼らは

金融システムは、全ての人々のためにあるのであって、富だけのために存在しているのではない。

と記述していることや、

私達は、手動での口座運営や数百もの店頭のような他社の取引仲介業でコストがかさんでいるものを排除した結果、手数料ゼロを実現させている

というように言及されていることから、今回の顧客注文データの販売に関して、疑問の声が挙がってきています。

海外投資メディアSeeking Alphaでは、この10倍の値段の差がどのような結果となるのかを以下のように記述しました。

ちょっとした計算をしてみる。平均株式価格が50ドルであると仮定すると、1,000,000ドルの取引高を達成するには、50ドルの株式取引を20,000回行わなければならない。そして、E*TRADEは、この1,000,000ドルの取引高につき22ドルの利益を得ることができる。この利益は、一見小さいように見えるが、彼らは、前四半期において4700万ドル(約52億円)の利益をあげているのだ。しかし、同じ1,000,000ドルの取引高でRobinhoodは260ドルの利益を同じHFT企業から得られることを考慮すると、もし同社がE*TRADEと同規模の取引高にまで成長した場合、論理的に彼らは四半期で5億ドル(約550億円)の利益をあげることができるようになる。

高まる懸念

さらに、Robinhood関連の企業や顧客が過去にSECによる捜査または、罰金を課されていたことから、懸念も高まってきています。

2014年の初めには、Robinhoodのパートナー企業であったヘッジファンドのTwo Sigma Investmentsが、株式分析を目的とした情報収集の調査における事情徴収でSECにより召喚されました。

そして、2017年1月にはRobinhoodの顧客であるCitadel Securities LLCが取引価格において顧客の誤解を招いたとして、2,200万ドル(約24億円)の罰金がSECにより課されました。

さらに、2017年10月には、同じくRobinhoodの顧客であるWolverine Securitiesがインサイダー取引を行なったとして100万ドル(約1億円)の罰金がSECにより課されています。

このように、注文をHFT企業のような他社に販売すること自体は、違法ではないとされており、ビジネス的な面で優れた戦略であると考えられています。

しかし、消費者にとって取引手数料がゼロであることが大きな魅力である裏で、注文が他社に比較的高値で販売されていた事実は、多くのユーザーにとって驚きの事実であったと言えるでしょう。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/20 木曜日
16:51
NVIDIA決算好調、米株上昇と仮想通貨相場回復の連鎖起点に
11月19日NVIDIA決算発表後、Nasdaq総合指数0.6%高。マイニング企業株(IREN10%高など)がAIシフト恩恵で買われ、BTCは89,000ドル安値から91,000ドル回復。専門家は電力供給の重要性を指摘、関連投資機会を分析した。
16:44
米民主党議員がトランプ一族関与のワールドリバティに調査要請 国家安全保障への懸念示す
エリザベス・ウォーレン上院議員らが、トランプ大統領一族が関与するDeFiプロジェクト「ワールドリバティ・フィナンシャル」に対する調査を要請した。北朝鮮・ロシア関連団体へのガバナンストークン販売が国家安全保障リスクになると指摘し、利益相反の懸念も表明した。
16:00
米大手取引所クラーケン、SECにIPO申請を提出 評価額3.1兆円
米仮想通貨取引所クラーケンが米SECにIPO申請を提出。評価額は200億ドル(約3.1兆円)で、2026年第1四半期の上場を目指す。トランプ政権の友好姿勢を背景に、仮想通貨企業の上場ラッシュが続く。
14:09
ビットワイズのXRP ETFが米国で上場へ カナリーに次ぐ2つ目の現物型商品
ビットワイズのXRP現物ETFがNYSEに上場へ。欧州GXRPに続く2本目のXRP商品で、米国では初提供。XRPCの初日取引高90億円超など、アルトETF市場が急拡大している。
12:35
ビットコイン9万ドル回復、エヌビディア好決算で投資家心理改善 マイナー売り圧に変化の兆しも
仮想通貨市況 暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比+3.4%の1BTC=92,331ドルに。 20日にかけて、88,000ドル付近から92,000ドル超…
11:59
ブロック社が強気の財務見通し、3年で粗利益2.5兆円目指す  自社株買いも発表
ジャック・ドーシー率いるブロック社が今後3年の財務見通しを発表。粗利益の年間15億ドル増加を予想し、株価が7.6%上昇した。AI・仮想通貨事業も強化している。
10:36
米大手仮想通貨取引所コインベース、予測市場・株式取引機能を導入か
米コインベースが12月17日に「新時代」を発表予定。リーク情報から予測市場・株式取引機能の実装が示唆され、カルシとの提携深化やブロックチェーン株式取引の展開が期待される。
10:14
仮想通貨XRP、ステーキングを導入する案が浮上
RippleXのエンジニアリング部門のトップは、仮想通貨XRPへのステーキング機能導入を考察していると説明。ステーキングは報酬が発生する仕組みであり、投資家からも注目を集めている。
09:41
「銀行の仮想通貨保有について、基準見直す必要性がある」バーゼル委員会議長
バーゼル委員会議長がステーブルコインの台頭を背景に、銀行の仮想通貨保有規制の見直しが必要だと発言した。現行の厳格な資本要件の緩和が焦点となっている。
06:48
「ビットコインとはサービスである」Bitwiseが価値の本質を指摘
仮想通貨運用企業Bitwiseの最高投資責任者は、ビットコインはサービスであるとの見方を示した。マイクロソフトと比較しながら、価値の本質を説明している。
11/19 水曜日
18:44
ストラテジーのセイラー会長、ウォール街参入による「ビットコイン弱体化」論を否定 
ストラテジーのセイラー会長がフォックス・ビジネスで、機関投資家の参入によりビットコインのボラティリティが大幅に低下していると発言した。2020年の約80%から現在50%まで縮小し、今後はS&P500の1.5倍程度に収束すると予測している。
18:25
アーク・インベスト、コインベースとサークル株を買い増し
ARK投資のキャシー・ウッド氏、コインベースとサークル株を計720万ドル購入。ステーブルコイン市場の成長を見据え、仮想通貨関連株への投資を拡大。
13:55
ブラジル、仮想通貨のクロスボーダー決済に課税検討 規制強化で抜け穴封じ=報道
ブラジル政府が仮想通貨を利用したクロスボーダー決済への課税を検討している。中央銀行は2026年2月から新規制を施行し、ステーブルコインを含む国際送金を外為取引として扱う方針だが、税収漏れ対策として金融取引税(IOF)の対象とする案が浮上している。
13:35
サークルが「xリザーブ」発表、USDC担保型ステーブルコインを展開可能に
サークルがブロックチェーン間でUSDC担保型ステーブルコインを展開可能にする相互運用インフラ「xリザーブ」を発表した。
13:15
米SEC、2026年度検査で仮想通貨監視を重点項目から削除 規制緩和加速
米SECが2026年度の検査優先事項から仮想通貨監視を除外。トランプ政権下で規制姿勢が執行重視から対話重視に転換。コインベースやリップルとの訴訟解決など、業界への軟化姿勢が鮮明に。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧