TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

世界初のXRP(リップル)ETP取引、初日のデータが判明|出来高から見る仮想通貨ETPの市場への影響

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

XRPのETP商品の取引データが判明
スイス証券取引所SIX Swiss Exchangeに4月2日に上場したXRPの出来高データなどが判明した。仮想通貨市場高騰によるビットコインなど5銘柄のETP出来高を含め、機関投資家の参入経路になりえるか、また市場への影響を考察した。

XRP(リップル)のETP商品の取引データが判明

スイス証券取引所SIX Swiss Exchangeが、4月2日より上場を行なった仮想通貨XRP価格に連動するETP商品「Amun Ripple XRP (AXRP) ETP」の初日の取引状況が、同社のデータで公開された。

ETPとは

「Exchange Traded Products」の略で、意味は「上場取引型金融商品」。証券取引所で取引される、様々な投資商品という意味。ETPの価格変動は、株式や金利など金融商品に連動するが、資産の所有権を得ていない。ETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)、ETC(上場投資コモディティ)などが該当する。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

取引データによると、初日の出来高は、全ETPの中で6位、また仮想通貨の単銘柄に連動するETPの中では最も多くの取引が行われているものの、908CHF(日本円にして約10万円)の出来高で取引を終えた。その他の取引データも明らかになっている。

出典:six-group

一方、原油や金といったETP商品を抜き、最も取引が行われていたのが、ビットコイン、イーサリアム、XRP(リップル)、ライトコイン、ビットコインキャッシュの5銘柄に対応したバスケット型のETP「Amun Crypto Basket Index(HODL5)」で、仮想通貨市場高騰の影響を受け、前日比のパフォーマンスも堅調に推移、金に関連したETPと比較しても8倍もの最終出来高を記録した。

出典:six-group

SIX Exchangeで取引される「Amun Crypto Basket Index(HODL5)」は、世界で初めて証券取引所に上場した仮想通貨ETP商品で、組成比率としてはビットコインに続き、XRPに高い比率が設けられるETP商品としても知られる。今回世界初のXRP単銘柄に連動するETP商品の取引が開始されたが、これまでもこのHODL5を通してXRPに関連した取引が行われていた。

ETP商品を手がけるAmun AG社は、今後のスケジュールとしてビットコインキャッシュ(BCH)やライトコイン、ステラ(XLM)、イオス(EOS)といった仮想通貨時価総額ランキング上位の通貨の上場を検討しているという。

実際にETP商品に機関投資家への提供に繋がっているのか?

仮想通貨市場において、ETF商品などの証券、デリバティブ取引所への上場事例は、機関投資家などの大口マネーの流入経路になるとの期待が高い分野だ。

最も期待されるビットコインETF商品の上場先である米国の複数の取引所では、規制とカストディ欠如などが理由に実現に至っていないが、世界で初めて(SIX Exchangeで)上場したETP商品は、その資金流入の経路になるかどうかを判断する上で、実データからの考察が可能な貴重な事例と見られているのも事実だ。

実際どうなのか?

今回は、ETP商品への期待と実際の状況の差異がないかを検証するため、実データに基づく内容から見ていきたい。

まず、仮想通貨関連商品のETPの取引額を確認するため、同取引所のETP商品の中でも最も取引が行われている「HODL5」の出来高を判断基準の一つとして見ていく。HODL5は、4月に入ってからETP商品の中では好調な出来高推移を続けており、仮想通貨の相場上昇でパフォーマンスが高まった2日では、出来高は416,948CHF(スイスフラン)を記録した。

しかし、41万CHF(スイスフラン)が日本円換算で計算すると約4600万円に相当、仮想通貨のマーケットから比較しても極めて低い金額となることがわかった。

4600万円の出来高がどれほど低いかを比較するために、CoinMarketCapデータの取引所出来高ランキング1位OKExの出来高(4日16時)から比率を計算してみると、約8300分の1に相当する。一つの取引所と比較した場合でも大きな差がでていることから、マーケットへの影響は軽微であるとみることができるほか、期待される機関投資家などの大口資金の資金経路になっているとは言い難い。

そうなると、SIX Exchangeの出来高自体が低いのか?といった疑問が出てくる。

SIX Swiss Exchange(スイス証券取引所)は、スイス・チューリッヒにある証券取引所で、証券およびデリバティブ取引を取り扱う、スイスの主要証券取引所であるが、取引される証券やETFなどの公開データでは、ETPの状況とは大きく異なり出来高も高い水準を保っている。

例えば、株式取引の出来高一覧表を参照すると、最も多い銘柄で5000万CHF(50億円)の出来高があり、同水準の銘柄が下に並ぶ。となると、ETP商品が同取引所の中で特に取引が行われていない商品であることを意味することになる。

出典:six-group

それはなぜか?

あくまでも推察の範疇に過ぎないが、商品の上場規制が緩い点が、その理由の一つにある可能性も考えられる。これは、SIX Swiss Exchange(スイス証券取引所)の注意書きの欄に掲載された、以下のような文章が理由の一つだ。

ETPs (Exchange Traded Products) are secured, bearer debt securities that do not earn interest (bonds). These products are not subject to the Collective Investment Schemes Act (CISA) and as such, are not supervised by FINMA.

ETP(上場投資商品)は、金利の付かない無担保・無記名証券と定義される。

これらの商品は、スイスの「集合投資スキーム法」の管轄に置かれないため、スイスの「連邦金融市場監督機構(FINMA)」には監視されていない。

FINMAとは

FINMAとは、金融市場監督法(FINMAG)の下で設立された金融監督機関で、金融市場の顧客の保護や金融システムの保護を目的とするスイスの規制機関の一つ。

スイス証券取引所は、金融監督機関FINMAの規制下に置かれているが、ETP商品自体に関してはFINMAの監視対象とはならない点が、出来高の点で劣勢に立たされている理由の一つとして挙げられる可能性がある。

最後に

出来高を通して見た場合、ETP商品の仮想通貨市場への影響は、軽微であると判断することもできる今回の考察であるが、規制下にある証券取引所への仮想通貨関連金融商品の上場事例が出てきたことは、業界における大きな一歩と言えるだろう。

日本を含めた仮想通貨に関連する規制も徐々に固まりつつあり、2019年以降金融機関の活動にも幅が出てくることが予想される。

2017年末から続く、長い”仮想通貨の冬”にも少しずつ変化が生まれつつあり、デリバティブ商品が出てくることでの価格の安定化やそれに伴う決済需要の拡大、また流動性が上がることで仮想通貨の本質的な価値の向上が期待されている。

▶️本日の速報をチェック
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
11/22 金曜日
15:00
仮想通貨XDC(XDC Network)の買い方と将来性は?
ハイブリッド型ブロックチェーンを採用する仮想通貨XDCの特徴や将来性を解説。SBIとの提携や買い方、リスクについても詳しく紹介します。
13:50
米SEC敗訴、連邦地裁がディーラー規則は無効と判断 「仮想通貨業界全体にとっての勝利」
米連邦地裁がSECのディーラー規則を無効と判断し、SECの敗訴が確定した。原告の米ブロックチェーン協会CEOは、この判決は仮想通貨業界全体の勝利であると表現。ディーラー規則は分散型金融に重大な影響を与える可能性が危惧されていた。
13:10
トレードの機会損失を最小限に、メタマスクがイーサリアムガス代込みスワップを新たに導入
仮想通貨イーサリアムの主要ウォレットMetaMaskは新機能「Gas Station」の導入を発表した。ガス代不足によってスワップが中断されることを防ぐものである。
11:26
チャールズ・シュワブ次期CEO、規制緩和で仮想通貨現物取引への参入示唆
米大手ブローカー、チャールズ・シュワブの次期CEOが、規制環境の変化があれば仮想通貨現物取引へ参入すると述べた。トランプ新政権に期待する格好だ。
10:10
仮想通貨擬人化BCG「コインムスメ」、板野友美がアンバサダー就任
タレントの板野友美氏がWeb3ゲーム「コインムスメ」のアンバサダーに就任。板野氏プロデュースのアイドルグループとのコラボユニットも結成する。
09:55
Suiブロックチェーン、稼働停止の原因や対策を公表
約2.5時間稼働を停止していた仮想通貨SUIのブロックチェーンが復旧。その後、原因や今後の対策を公表している。
08:20
マイクロストラテジー、ビットコイン追加購入のための30億ドル調達を完了
米マイクロストラテジーは21日に仮想通貨ビットコイン追加購入のための、2029年満期の無利息転換社債の募集を完了したと報告した。
07:50
金融庁、仮想通貨仲介業の新設を検討
仮想通貨のイノベーションと利用者保護の両立に向けて、金融庁が仲介業の新設を検討。この会議ではステーブルコインも議題に上がった。
06:45
トランプ氏のメディア企業、「TruthFi」仮想通貨決済サービスの商標出願
トランプ次期大統領が保有するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは今週、デジタル資産取引やその他決済処理サービスのプラットフォーム「Truthfi」の商標出願を行った。
06:25
SECがソラナ現物ETFの審査開始、2025年承認へ期待高まる
米証券取引委員会はソラナ現物ETFの上場申請に関する審査を開始したようだ。SOLは本日8%上昇している。
06:08
トランプ次期政権の仮想通貨諮問委員会、ビットコイン準備金設立の可能性=報道
トランプ次期大統領が提案した仮想通貨諮問委員会は、米国のビットコイン準備金を設置する可能性があると報じられた。
05:45
ソラナが史上最高値更新、XRPも急騰、ゲンスラーSEC委員長の退任確定を受け
仮想通貨のソラナやXRPなど、SECが規制の標的としている銘柄は22日、ゲンスラーSEC委員長の退任が確定したことを受けて大幅に上昇した。
11/21 木曜日
17:00
BitwiseがソラナETF準備開始 デラウェアで信託登録完了
暗号資産運用大手Bitwiseが、ソラナ(SOL)ETF組成に向けデラウェア州で信託登録を完了した。VanEck、21Sharesに続く参入となる。
16:59
バイナンス、5種類の仮想通貨取引ペアを11月22日に取扱い中止
大手取引所バイナンスが、THETA/ETHやRARE/BRLなど5種類の仮想通貨取引ペアの取扱い中止を発表。11月22日12時より取引停止へ。各トークンは他の取引ペアで継続取引可能で、価格への影響も限定的。スポット取引ボットサービスも同時終了。
15:27
ビットコイン1500万円突破 ETFオプション解禁で資金流入加速
ビットコインが史上初めて1500万円を突破した。米国でETFオプション取引が解禁され、機関投資家の参入が加速。IBITへの1日1000億円規模の資金流入が継続する中、トランプ政権への期待も相場を押し上げる。バーンスタインは3100万円到達の強気予想を見立てている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/12/01 09:30 ~ 20:00
東京 墨田区文花1丁目18−13
重要指標
一覧
新着指標
一覧