フランス銀行、CBDCの応用実験へ
フランス銀行は3月27日、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)を実験的に応用する提案を募集した。
実験プロジェクトは、フランスの中央銀行がCBDCのリスクとメカニズムを理解するのに役立ち、ユーロ圏がデジタルキャッシュについて議論する上でも参考になる見込み。
今回のCBDC実験の主な目的は、CBDCベースの銀行間決済のモデリング、CBDCシステムがもたらす利益の特定、潜在的なリスクの分析だという。金融機関に対する支払い、他の中央銀行のデジタル通貨に対する支払い、およびデジタル資産に対する支払いという、3つのユースケースを対象とする。
さらに、市場のインフラ、金融政策、マクロ経済的要素、法律や規制枠組みに対するCBDCの潜在的な影響を調査する。
応募要項によると、申請者は欧州連合または欧州経済地域協定の締約国を拠点としている必要がある。2020年5月15日が申請締切、採用案が選ばれるのは7月10日になるという。
使用する技術については、必ずしもブロックチェーンベースである必要はなく、「革新的な性質」を主要な選択基準として、最大10件のCBDC関連のアプリケーションを選択する予定。
尚、今回のCBDC実験が実際に流通する通貨を作成することはない。中央銀行は、実験による決済が行われた会計日の終わりに、当該トークンを破棄することになると強調した。
ユーロ圏でCBDCについての議論を行う上で貢献
今回のプロジェクト実施は、将来フランス銀行が必ずCBDCを発行することを意味しない。
同銀行は「CBDCを作成するという決定はユーロシステムの問題」であり。 「そのため、フランス銀行は、今回のような実験を永続的に行ったり、広範囲に実施したりするつもりはない」とした。CBDCについてはフランスが単体で行うものではなく、欧州連合全体で検討していくことを示した。
今回の実験は、ユーロシステムの中で、CBDCを設立するかどうかの議論を行う上での参照事例として機能するという。
フランスの元経済大臣であり、現在欧州中央銀行(ECB)の総裁を務めるクリスティーヌ・ラガルドも、昨年11月に就任して以来、CBDCの開発におけるECBの役割を拡大するよう提唱している。