アルトバブルの再来は難しい
「アルトコインバブルは再び起こることは困難だと考えている」
デリバティブ仮想通貨取引所大手BybitのBen Zhou CEOがCoinPostの取材で答えた。
2000年代初頭のdot.comブームと同様、2017年に仮想通貨市場の多くの銘柄にも資金が流入するアルトバブルが発生したが、当時の被害状況が甚大であることが尾を引くことになると厳しい見通しを示した。
まだ優良な事業展開を行うアルトコインプロジェクトは多くあるものの、過去に失敗したプロジェクトの数が多すぎることが、アルト市場全体の成熟化の重しとなり、市場として発展することは難しい可能性があると指摘した。
魅力的なプロジェクトに限った見直しは進むとする一方で、17年のアルトバブルと共に膨れた全体時価総額の見通しには、厳しい見解を示している。
ビットコインが圧倒的な優位性を持つ状況は今後も継続すると考えている。
コロナと量的緩和の影響
一方で、金融資産としてのビットコインの魅力については、すでに世界が見直しを行うフェーズにきていると、Ben CEOは語る。
中央銀行の救済策として経済への介入を背景に生まれたビットコインに関して、コロナ危機で改めて見直しが進んでいることは、驚くことではない。
10年前(リーマンショック)に人々が「貯金を法定通貨で持つことが本当に安全か」と疑問を持ったように、デフレ的性質をもつビットコインへの追い風は強いとして、ビットコインのもつ分散型と透明性は、経済の不確実性が強まる時代で、明らかに大きな魅力になっている。
業界として足りないポイントも
仮想通貨業界として課題になっているポイントもあると指摘した。
Ben CEOが危惧するのは、「顧客を最優先にすること」を理解している取引所がかなり少ない点だ。
取引所を利用する顧客は、資金が安全であることなどのセキュリティ、手数料や遅延等を含めた快適な取引プラットフォーム、定期的に拡充される機能を維持することなどが挙がるが、全てをクリアしている取引所はあまりない。
セキュリティを含めた取引所の運営には多額の資金が必要になるため、多くの取引所は、よりしっかりとしたマネタイズモデルと、それを顧客向けに還元する循環を作る必要がある。
取引所運営を行う上で最も重要なのはセキュリティであり、事業や取引をシンプルに、かつ収益性を確保して、セキュリティへの投資を行う正の循環こそが重要だと業界に対して問題提起する。
これは、Bybitを立ち上げた背景でもあり、目指しているポイントにもなると話を締めくくった。