新制度により約40の取引所が閉鎖か
韓国の約40の暗号資産(仮想通貨)取引所は24日以降、すべてのサービスを停止する予定だ。ロイターが報道した。
韓国では、9月24日より、仮想通貨取引所ライセンス制度が導入される。
また、取引所は銀行と提携して、ユーザーの実名口座を開設する必要がある。この点について、銀行が仮想通貨取引所とパートナーシップを結ぶことを避ける状況があり、すでに提携銀行を持つ大手取引所(Upbit、Bithumb、Coinone、Korbit)以外は苦境に立たされるのではないかと予測されてきた。
ライセンス登録していない取引所は24日以降、サービスを停止しなければならず、登録できても銀行と提携できなかった場合は、ウォン(法定通貨)の取引が禁止されることになる。
この新制度は、マネロン防止や、サイバーセキュリティの確保、国際的な送金ルールである「トラベル・ルール」の遵守などを狙いとするものだ。
トラベル・ルールとは
FATF(金融活動作業部会)が提唱するマネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールのこと。暗号資産サービスプロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
▶️仮想通貨用語集
ウォン取引を停止
ロイターによると、韓国の仮想通貨取引所のうち、約40の事業者がすべてのサービスを停止することになっている。他にも、およそ28の取引所は、セキュリティ証明書を取得しているものの、まだ提携先の銀行を見つけられていないという。
ProBit、Cashierest、Flybitなど一部の小規模取引所は、ウォンの取引を終了し、銀行との提携を確保するまでは、仮想通貨建ての取引のみを提供すると発表している。
一方で、Upbit、Bithumb、Coinone、Korbitという4つの大手取引所は、すでに銀行との提携関係を確保しているため、引き続きウォン建ての決済を行うことができる形だ。
新たな登録制度を前にして、ByBitやOKEx、バイナンスなど様々な仮想通貨取引所が、韓国でのサービスを一部制限することを発表していた。
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独占を懸念する声も
中小取引所グループは7日に記者会見を開き、大手取引所しか銀行との提携を確保できておらず、その他の中小取引所はウォンによる取引がない状態で事業を運営していくことは難しいと訴えている。また、一部の国会議員も、この規則は「独占を可能にする」と批判した。
一方で、Fortuneの報道によると、独占の懸念は大げさだとする意見もある。
シンガポールの仮想通貨取引所Eqonexのセールス部門責任者であるJustin d’Anethan氏は、次のようにコメントした。
海外の中央集権型取引所は選択肢として豊富に存在しており、分散型金融(DeFi)における取引所の急成長などからみると、トレーダーに提供される選択肢はむしろ増えている。
続けて、d’Anethan氏は、法的遵守などの面で準備が整っていないプラットフォームが淘汰されることになり、長期的には仮想通貨業界にとってプラスになるのではないかという見解を示した。