仮想通貨市況
7月29日の米ニューヨーク株式市場では、ダウが前日比315ドル(0.97%)高と3日続伸。AppleやAmazonなどハイテク大手の決算業績が市場予想を上回ったことで、景気後退に神経を尖らせる投資家心理が改善した。
7月27日に日開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)における0.75%の利上げは織り込み済みで、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利上げペースを緩めることを示唆した点は、一定の買い戻し圧力につながっている。
一方、各国中銀がインフレ抑制で金融引き締めの加速転換を余儀なくされ、世界中でマクロ経済の見通しが悪化する中、長期下落トレンドの一時的な反発に留まるとの見方も強く、暗号資産(仮想通貨)市場も例外ではない。
8月25~27日には、経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催される予定であり、米金融政策の今後の見方について関心が集まりそうだ。
週明け1日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比2.16%安の310万円(23,418ドル)で推移。
注目された週足終値は23,322ドルとなり、200週移動平均線(22,878ドル)のリテストに成功した。
Looks like #BTC has successfully retested the 200-week MA as support$BTC #Crypto #Bitcoin pic.twitter.com/yg75xrxXQB
— Rekt Capital (@rektcapital) July 30, 2022
7月20日の高値24,287ドルを更新し、一時24,666ドルまで続伸したが、その後まとまった売りが入り23,240ドルまで調整している。マクロ経済状況などから、「このまま上昇基調に転じると楽観視するのは早計」との指摘も少なくない。
アルトコイン相場
CoinPost提携の米大手メディアThe Blockが報じたところによれば、7月2日の27億4000万ドルだったイーサリアム(ETH)のオプションの建玉総額は、7月29日時点で70億ドル以上まで膨らんだ。
ETH先物の建玉総額は、7月30日に75億8000万ドルに達し、7月2日の47億1000万ドルから大幅増となっている。
ジェネシス・グローバル・トレーディングのJoshua Lim氏はこの点について、マクロヘッジファンドが今年9月19日に予定されるイーサリアムの大型アップグレード「The Merge(ザ・マージ)」を先取りしていると語った。
大手VCのThree Arrows Capitalや融資企業Celsiusなどが連鎖的に破綻する結末を迎え、アルゴリズム型ステーブルコインUST(TerraUSD)のペッグ、及びテラ(LUNA)崩壊に端を発したDeFi(分散型金融)市場の大混乱が終息したこともあり、大幅下落していたイーサリアム(ETH)への資金流入につながった節もある。ETH価格は前月比59%上昇したが、年初来では依然として55%安水準にある。
リサーチ会社IntoTheBlockのアナリストLucas Outumuro(@LucasOutumuro)氏は、イーサリアムのマージ後の予想インフレ(デフレ)率は、-0.5%〜-4.5%に達すると試算した。
$ETH will become deflationary following the merge
— Lucas (@LucasOutumuro) July 22, 2022
ETH's net issuance is likely to range between -0.5% to -4.5% depending on network fees
Here is a projection of what that would look like based on 2022 historical data pic.twitter.com/KdWq072Mbz
純発行額は、ネットワークコストに応じて循環供給が減少し続ける。
イーサリアム財団が「The MergeがETH供給に与える影響」と題した公式ページによると以下の通り。
- マージ前:マイニング報酬〜13,000 ETH/日
- マージ後:ステーキング報酬〜1,600 ETH/日
イーサリアムの日間供給量は、現在の最大13,000ETHから最大1,600ETHまで減少することが見込まれており、現在比較では最大で約90%減少する可能性があるほか、PoS移行が完了すれば、マイナー(採掘業者)の稼働コスト捻出のための売り圧力も消滅することになる。
マイニングマシンメーカーのInnosiliconは、イーサリアムクラシック(ETC)のマイニング(採掘)に使用できる「A10pro 500M」および「A10pro 720M」のサーバー用ファームウェア(制御用のプログラム)をリリースした。テストに合格したものから順次リリースする。
イーサリアム(ETH)の大型アップグレード「The Merge(ザ・マージ)」におけるPoS(プルーフ・オブ・ステーク)プロトコルへの移行、及びディフカルティ・ボム(難易度爆弾)発動に伴い、既存マイナーは事業撤退するか、イーサリアムクラシックなどPoW銘柄で採掘を続けるかの選択肢を迫られることになる。
このような状況にある中、イーサリアムクラシック(ETC)は前週比56%高と高騰した。騰落率はETHの前週比17.5%高と比較しても群を抜いており、思惑買いが集まった可能性がある。
マイニングプール大手AntPoolは7月26日、イーサリアムクラシック(ETC)のエコシステムに1,000万ドルの投資を発表した。
関連:AntPool、イーサリアムクラシックのエコシステムに投資へ
Bitmainは、7月上旬にイーサリアム採掘マシンの最新モデル(Antminer E9)の販売を開始したばかり。すべてのAntminerモデルで、ETC決済に対応することを明らかにしている。
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