16億ドルの利益を逃したか
ドイツ政府が4ヶ月前に仮想通貨ビットコイン(BTC)を売却したことで、最大16億ドル(2,500億円)の利益機会を失った可能性が浮上した。売却は、トランプ氏の米大統領選勝利による相場の大幅上昇の数ヶ月前に実施された。
2024年7月、ドイツ政府は映画海賊版サイト「Movie2K」から押収した5万BTCを数週間かけて段階的に売却し、総額28.8億ドルを得た。平均売却価格は1BTCあたり57,600ドルとなった。その後数ヶ月でビットコイン価格は史上最高値を更新し、米大統領選後には1日で約1万ドル上昇する急騰を記録。結果として、政府が保有していたビットコインの価値は現在45億ドルまで上昇していた計算となる。
米国政府も同様に、押収したビットコインの早期売却により潜在的な利益を逃している。過去10年間で11回のオークションを通じ計195,091BTCを売却して3.665億ドルを得たが、現在の価格では推定170億ドル相当となり、約166億ドルの機会損失が生じている計算だ。
一方、トランプ次期大統領は異なる戦略を示唆している。7月には押収したビットコインの売却を停止し保有を継続する方針を表明。これを「戦略的国家ビットコイン備蓄の核心」と位置付けた。
また、ワイオミング州のルミス上院議員は、米政府による100万ビットコイン(現在価値約880億ドル)の購入を提案する法案を提出。米国の金融的リーダーシップを数十年にわたり確保できるとの見方を示した。
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ルミス議員の計画は、米国が早期売却で失った価値を部分的に回復させる可能性がある。ただし、トランプ氏勝利後は価格の急騰により、その規模のビットコイン取得コストは大幅に上昇している。
ドイツ政府による売却判断は、確かに現在の時価で計算すれば大きな利益機会を逃した形となる。しかし当時は数ヶ月後の価格上昇を予測することは困難であり、法的要件や資産価値の変動リスクを考慮した上での判断だったと考えられる。そのため、この決定を単純に誤りと断じることはできず、当時の状況下では合理的な選択だった可能性が高い。
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