- 5月のCMEビットコイン先物、過去最高の出来高と建玉を記録
- 米CMEが提供するビットコイン先物における5月分の出来高が、過去最高水準の約1.3兆円に達したことが判明した。BTC先物取引に対する需要が直近2ヶ月で急増している要因についても解説。
- 建玉とは
- 建玉(たてぎょく)は先物取引や株式取引において売買の成立(約定:やくじょう)した後、未だに未決済のものを指す。相場の状態によって変動するため、市場動向の計測指標としての利点を持つ。
人気急騰中のCMEビットコイン先物
ビットコイン先物を提供するCMEの5月分の出来高と建玉が、取引開始以来の過去最高水準に達したことが判明した。1ヶ月で約1.3兆円相当の出来高を記録するなど先物取引に対する需要が直近2ヶ月で急増している要因について解説する。
米国を拠点にデリバティブ商品を提供するシカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ(CME)は、ビットコインの先物取引契約を2017年12月より開始。ビットコイン価格が急増を始めた4月から出来高が徐々に増加していた。
5月にCMEの人気が高まった傾向が特に顕著となったのは5月14日で、1日で33,677取引、およそ168,000BTC(=1400億円)の出来高を記録した。この日はビットコイン価格が大型カンファレンス「コンセンサス」を控えた中、心理的な節目となっていた8000ドル(約88万円)のラインを突破したことで取引が殺到していた経緯が要因として挙げられるだろう。
その後も高い取引高を見せたCMEのBTC先物における出来高は31日間で1.3兆円相当、およそ150万BTC分の取引を記録。また日間平均でも取引高は高い上昇を見せた4月と比較しても+27%の続伸を見せるなど、驚異的な人気を博している。
また取引量以外でも、5月28日にビットコイン先物取引における建玉(たてぎょく)も過去最高の5190BTC(約44億円)を記録した。建玉とは未決済の約定を示す数値で、5月末の数値も4960BTC(約42億円)と高い数値を誇っており、いずれもビットコイン先物に対する関心が増加していることを示すデータだと言える。
先物取引が人気となった要因
ビットコイン先物の出来高がこれほどまでに急増した理由として以下の要因が挙げられる。
- ビットコイン価格の高騰
- 機関投資家から高まる関心
- 競合Cboeが仮想通貨先物取引から撤退
ビットコイン価格は4月2日以降、価格が急騰。1月1日時点の3746ドルと比較して現時点でも年初来騰落率は+110%となっている。
このような価格急騰とともに、機関投資家からの関心が高まっていることも人気増加の要因として挙げられる。CMEのデータによると5月には223の新規口座開設が見られており、これは開始直後の2018年1月以来の高水準だ。
これらの要素を考慮すると、ビットコインの価格上昇やスターバックスなど米国の大手企業15社が仮想通貨決済を受け入れることなどに注目が集まったことで仮想通貨に対する需要が増加、そして関心を見せた新規投資家が現物を保有しなくても取引が可能な、ビットコイン先物取引に手を出したというシナリオが浮かぶ。
こうした場合、ビットコイン先物に需要上がったことは必ずしもCMEの出来高増加に直結しないかもしれないが、同取引所の競合先であるCboe(シカゴオプション取引所)が3月中旬にCboeの先物契約更新をしない方針を表明していた。
そのため、元々米国においてCboeとCMEがビットコイン先物を提供していたところがCMEのみ1つまでに減少することが発覚。BitMEXなどの仮想通貨取引所ではなく、規制機関から認可されている金融機関でビットコイン先物を購入できる選択肢がCMEだけとなったことが出来高増加につながったと考えられる。