
顧客への返還手続きを開始
暗号資産(仮想通貨)取引所Backpack(バックパック)は1日、破綻したFTXの欧州部門「FTX EU」の顧客にユーロ(EUR)を返還するための手続きを開始した。
FTXは現金での返還をすでに開始しており、仮想通貨の買い圧につながるのではないかとの見方も上がっている。バックパックは今回、本人確認手続きのみを開始しており、その後については、近く出金が可能になると説明した。また、返還は全てユーロで行うとしている。
同社は2025年1月、FTX EUの買収を完了したことを発表。キプロス証券取引委員会(CySEC)と米破産裁判所の承認を得たこの買収によって、欧州連合(EU)全域で仮想通貨デリバティブ取引サービスを提供する計画が明らかになった。この時にFTX EUの顧客資産の返還も担当すると説明している。
バックパックは、ソラナ(SOL)開発者のArmani Ferrante氏が2022年に創設した企業。取引サービスを提供する以外に、セルフカストディ型のウォレット「Backpack Wallet」も開発している。
セルフカストディ型ウォレットとは
取引所などではなく、自分で秘密鍵を管理して資産を保有するために使用するウォレットのこと。「自己ホスト型」や「自己管理型」などと呼ばれることもある。
FTXの破綻では、バックパックも運営資金の88%に相当する1,450万ドル(現レートで約22億円)を失った。その後は資金調達も行いながら、事業を継続している。
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FTX破産管財人との紛争
FTX EUを巡っては買収直後に、バックパックとFTX破産管財人の主張のすれ違いが起きていることがわかった。この時、FTX破産管財人が株式譲渡はまだ完了していないと主張する一方で、バックパックは売却が完了し規制当局の承認を得ていると強調している。
その際バックパックは改めて、買収を巡る論争について詳細な声明を発表。規制当局の承認を主張すると同時に、FTX破産管財人との紛争の中で顧客資金の返還を約束した。
FTX EUの顧客への返還は、このまま進んでいくとみられる。
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