はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ブラックロックの2026年投資展望 AI投資が米株式市場を牽引、ステーブルコインは金融の架け橋に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

AIによる構造変革が加速

世界最大の資産運用会社ブラックロックは2026年の投資展望レポートで、AI(人工知能)を中心とした「メガフォース」(巨大な構造変化)がグローバル経済と金融市場を大きく変革しつつあると指摘した。AI関連投資の拡大は前例のないスピードと規模で進む可能性があり、引き続き米国株式市場最大の牽引役となると予測している。

レポートによると、AIの急速な拡大が現在、最も顕著で影響力の大きいメガフォースであり、その急速な成長を支えるため、巨大な設備投資を必要とする資本集約型へのシフトが起きている。その結果、投資環境が根本的に変わりつつある。

AIの大規模な拡大には、コンピュータ・ハードウェア投資をはじめ、データセンター建設、エネルギーインフラの構築など、巨額の先行投資が必要とされるため、AI関連企業はレバレッジを拡大している。そのため、少数の企業(ミクロ)がマクロ的な影響を及ぼすまでになっているとレポートは指摘した。

AI関連の資金調達に加え、米国政府が多額の負債を抱えているため、金融システム全体のレバレッジが高まり、国債利回りの急上昇などのショックには弱い構造になっていると、ブラックロックは懸念を表明した。

これらの資金需要は、プライベートクレジットやインフラ投資ファンドが支えていると同社は判断しているが、「公的部門と民間部門の両方で借り入れが増加すれば、金利上昇圧力が継続する可能性が高い」として、今後6~12カ月の長期米国債の保有比率を、従来の「中立」から「アンダーウェイト」に引き下げた。

一方、AI投資は2026年も米国の経済成長を支えると同社は見ている。AI関連投資は2025年には米国の成長に過去平均の3倍貢献したと指摘。このような資本集約型の成長は2026年も継続する見込みで、労働市場が冷え込んでも、経済成長を維持する可能性があると予測した。

さらに、AIは、歴史的な大きな技術革新(蒸気機関、電気、デジタル革命)でも破ることのできなかった長期的な成長率の壁(2%)を、初めて突破する可能性があると同社は主張。その根拠は、AIはそれ自体がイノベーションであるだけでなく、他のイノベーションを加速する可能性があるためだと述べた。AIは単純な作業の自動化だけでなく、自己学習して改善し、新しいアイデアや科学的な進展を加速する可能性がある。

AIによって生産性が向上すると、経済成長率が1.5%上昇し、全体では1.1兆ドル(約171兆円)の経済効果が生まれるとブラックロックは推計している。

急速に進化する金融の未来

レポートはまた、暗号資産(仮想通貨)などの新たな資産クラスへのアクセス拡大が、金融システムの根幹に大きな影響を与えていると指摘。中でも「金融の未来」におけるステーブルコインの役割を強調した。

ステーブルコインは、仮想通貨に特化したツールから、デジタル金融と従来の金融をつなぐ架け橋へと進化しつつある。

レポートではステーブルコイン市場が2,500億ドル(約38兆円)を超える規模に成長し、決済や国際送金などに幅広く利用されている点に注目。また、2025年に成立したジーニアス法により、米国で初めてステーブルコインの規制枠組みが整備されたことを評価した。

この法律で利息の支払いは禁止されているが、マーケティング報酬などインセンティブの提供は認められるため、銀行預金やマネー・マーケット・ファンドとの競争が可能となる。その影響の規模は未知数だが、ステーブルコインの採用拡大と主流決済システムへの統合が進んでいることは明白だとレポートはまとめた。

ブラックロックはまた、ステーブルコインが銀行業務以外にも成長する可能性を見出しており、クロスボーダー決済や新興市場における現地通貨の代替手段としての役割を示唆している。「これらの動きは、急速に進化するトークン化された金融システムに向けた、控えめながらも意義深い一歩だ」と強調した。

関連:「資産トークン化が金融のあり方を変革」ブラックロックのフィンクCEOらが論説

関連:コインベース・ベンチャーズが注目する2026年の仮想通貨4大トレンドとは

ビットコインETFがトップ投資テーマに

ブラックロックは2025年を振り返り、最も注目を集めたトップ3投資テーマの一つにビットコイン現物ETF「IBIT」を選定した。

トップ3に選定されたのは、IBITと短期米国債ETF「SGOV」(0~3か月物)、トップ20米国株ETF「TOPT」の3つ。TOPTには米国株式市場を牽引する7つの巨大テクノロジー企業「マグニフィセント7」(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、メタ、テスラ)が含まれている。

この動きが意味するところは大きい。資産運用最大手のブラックロックが、国債や株式などの伝統的資産と並んで、ビットコインを投資ポートフォリオの重要な一部として推奨するということであり、ビットコインが主流の資産クラスとしての正当性を獲得しつつあることを裏付けている。

2025年、ビットコインの価格は年初来で4%以上下落し、3年ぶりのマイナス成長となった。これを反映し、IBITの2025年のリターンも同水準の下落となっている。

それでもなお、ブラックロックはIBITをトップテーマとして挙げる背景には、2025年1月以降に250億ドル(約3兆8,900億円)を超える巨額の資金が流入し、全ETFの中で6位にランクインした実績がある。

また、SoSoValueのデータによると、2024年1月のローンチ以来、IBITへの累計純流入額は625億ドル(約9兆7,270億円)に達している。これらの数値は、ビットコインETFに対する投資家の関心の高さを示すとともに、ブラックロックが戦略的にビットコインを重視し続ける根拠となっている。

出典:ブラックロック

ブラックロックによる長期的なビットコイン支持は、仮想通貨の主流化を加速する可能性がある。ビットコインを伝統的資産と並ぶ投資テーマに位置付けることで、投機的なイメージからの脱却を図り、これまで懐疑的だった機関投資家の参入を促すことにも貢献すると考えられる。

ビットコイン現物ETFとは

実際にビットコインを購入し、そのビットコインを基にした信託(ETF)を株式市場で取引するもの。投資家は直接ビットコインを購入することなく、その価値に投資することが可能になる。さらにはデジタル通貨市場の成熟と認知度の向上が期待される。

仮想通貨トップ2に注力する

ブラックロックが提供するイーサリアム現物ETF「ETHA」への資金流入も、2025年に91億ドル超(約1兆4,160億円)を記録した。2024年7月のローンチ以降の累計純流入額は127億ドル(約1兆9,780億円)に迫る勢いだ。

同社は当初、イーサリアム商品にステーキングを組み込まない判断をしていたが、米証券取引委員会(SEC)によるETF基準の緩和を受けて、ETHAを補完する商品としてステーキング機能を備えたETF「iShares Staked Ethereum ETF」の登録申請を行った。

ブラックロックは、ビットコインとイーサリアムに注力しており、他のアルトコインETFの提供は行っていない。

関連:2026年までに米国で100超の仮想通貨ETF上場を予測、ビットワイズ

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/31 水曜日
14:00
ブラックロックの2026年投資展望 AI投資が米株式市場を牽引、ステーブルコインは金融の架け橋に
ブラックロックの2026年投資展望レポートでは、AI関連投資が米国株式市場を牽引し、生産性向上で171兆円の経済効果が見込まれると分析した。また、38兆円規模に成長したステーブルコイン市場について決済システムへの統合が進み、トークン化された金融システムへの第一歩となると見ている。
12:00
2026年末のビットコイン価格はどうなる?有識者7人に予想を聞いた
ビットコイン2026年末価格予想を暗号資産(仮想通貨)業界の著名人7人が回答した。平均は12.3万ドルで約40%の上昇見込み。FRB政策、機関投資家参入、半減期アノマリー崩壊など注目ポイントを分析。強気派と慎重派の見解を比較し、相場の行方を占う。
11:00
仮想通貨TOP20と国内発トークン、25年の騰落率は
ドナルド・トランプ氏の米大統領就任やビットコインの最高値更新があった2025年。本記事では同年の時価総額上位銘柄と国内発プロジェクトのトークンの年間騰落率をまとめている。
10:00
激動の2025年 仮想通貨の時価総額トップ20、過去8年間における順位変動は
2025年はビットコインが12万ドルを突破した。仮想通貨に肯定的な米トランプ政権が始動した1年を終えるにあたり過去8年間において仮想通貨の時価総額の順位がどのように変動してきたかを振り返る。
12/30 火曜日
14:00
米カリフォルニア州の超富裕層への「5%資産税」に業界猛反発 仮想通貨起業家流出の懸念も
米カリフォルニア州で純資産10億ドル超の富裕層に5%課税する提案が行われ、Kraken創業者やBitwise CEOをはじめとする仮想通貨・テック業界リーダーが強く反発し、警告を発した。株式、不動産、仮想通貨などを対象とし、未実現の含み益にも課税される点が問題視されている。
14:00
コインベース・ベンチャーズが注目する2026年の仮想通貨4大トレンドとは
米最大手コインベースの投資部門コインベース・ベンチャーズが2026年に積極投資する4分野を発表した。RWA永久先物、専門取引所、次世代DeFi、AIとロボット技術など、次のブレイクアウトが期待される仮想通貨領域について紹介。
12:32
ビットマイン、イーサリアム買い増し 独自のステーキング・インフラも準備中 
ビットマインの仮想通貨イーサリアム保有量が411万枚に到達した。年末の価格下落を好機と捉え買い増しを行っている。2026年には独自ステーキング基盤も公開予定だ。
10:00
2025年の仮想通貨市場を重要ニュースから振り返る
2025年は仮想通貨を支持するドナルド・トランプ氏が米大統領に就任し、相場は米国の動向から大きな影響を受けた。本記事では、ビットコインの最高値更新など1年間の重要ニュースを振り返る。
09:50
仮想通貨投資商品、先週700億円超の純流出 XRP・ソラナは好調維持=CoinShares
仮想通貨投資商品から先週700億円超が流出した。CoinSharesは投資家心理がまだ完全に回復していないと分析した。一方で資産別ではXRPとソラナへの流入は好調だった。
12/29 月曜日
14:23
ビットコインは持続的上昇局面に?4年サイクル論争と機関投資家の影響力
Bitwise CIOマット・ホーガン氏が「ビットコインの4年サイクルは終焉し、持続的上昇局面に入った」と主張した。ハーバード大学など大手機関がBTCを保有し、個人投資家から機関への資産移転が進行。ボラティリティ低下の理由と、「階段を上りエレベーターで降りる」値動きパターンを専門家2人が詳しく解説。
13:35
AIや仮想通貨のショッピング活用進む Z世代が牽引か=Visaレポート
決済大手ビザの調査で、ショッピングにAIツールや仮想通貨を利用する消費者が増加していることが判明。特にZ世代が牽引していた。ステーブルコイン送金への関心も高まっている。
09:44
スベルバンク銀、ロシア初の仮想通貨担保ローン発行
ロシア最大の銀行スベルバンクが同国初の仮想通貨担保ローンを発行した。ビットコインマイニング企業に融資し、デジタル資産担保の仕組みを検証している。
12/28 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、MTGOXハッキング容疑者関連のBTC送金やearnXRPローンチなど
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン年末相場、値頃感から買い戻し期待も|bitbankアナリスト寄稿
今週のビットコインは方向感に欠け1400万円周辺で推移。26日のオプションカット通過後の動向が注目される。底入れには12月高値9.4万ドルの回復が条件だが、割安感から買い戻されやすいとbitbankアナリストが分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|Bybitの日本居住者向けサービス終了発表に高い関心
今週は、大手仮想通貨取引所Bybitの日本居住者向けサービス終了の発表、仮想通貨市場の調整局面、日銀の植田和男総裁の講演に関する記事が関心を集めた。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧