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マスク氏、量子暗号リスクの2029年タイムラインに言及 「パスワード忘れても将来開ける」と皮肉で警鐘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • マスク氏「パスワードを忘れたウォレットも将来開ける」と投稿
  • グーグルが耐量子暗号の移行期限を2029年に前倒し

グーグル論文が移行期限を2029年に前倒し

イーロン・マスク(Elon Musk)氏は3月31日、量子コンピュータによるビットコイン(BTC)暗号解読リスクをめぐるX上の議論に参加し、自身が開発に関与するAIチャットボット「グロック(Grok)」によるECC-256解読タイムラインの分析をあわせて投稿した。

マスク氏は「プラス面を言えば、パスワードを忘れたウォレットには将来アクセスできるようになる」と皮肉交じりにコメントし、量子脅威の深刻さを印象付けた。

この発言は現実的な問題と重なる。Chainalysisの調査によると、2025年初頭時点で約230万〜370万BTCが永久に失われたと推計されており、ビットコインの総供給量2,100万枚の約11〜18%に相当する。

主な原因は秘密鍵の紛失、ハードウェアの故障、相続手続きの不備などで、有効な流通供給量は実質的に1,580万〜1,750万BTCにとどまるとみられる。量子コンピュータが現実的な脅威となれば、こうした「眠れる資産」への不正アクセスが技術的に可能になるとの懸念も浮上しており、マスク氏のコメントはその皮肉を突いたものだ。

発端は、ベンチャーキャピタリストのマックス(Max the VC)氏が「グーグルはビットコイン暗号の解読リソースを20倍削減した。証明もできる。ただやり方は教えない」と要約したXへの投稿だった。これを仮想通貨アナリストのニック・カーター(Nic Carter)氏がシェアし、グーグル(Google)が耐量子暗号への移行期限を2029年に前倒しした事実が改めて注目を集めた。

なお、グーグルは量子コンピュータが2029年までに暗号を破れるようになると主張しているわけではなく、あくまでもその前に準備を整えるための期限として設定したものだ。

関連記事:量子コンピュータ時代の仮想通貨、グーグルがBTC等主要チェーンの「現在の対応度」を分析

グーグルによる主要仮想通貨の耐量子計算機暗号(PQC)への移行ステータスおよび脆弱性評価を解明。ブロック生成時間が長いビットコイン特有のリスクや、1500億ドル規模に及び現実資産市場に対する潜在的な被害が、同社の最新研究データとともに定量化されている。

グーグルが公開したホワイトペーパーによれば、50万個未満の物理量子ビットでECC-256(楕円曲線暗号)を数分で解読できる可能性があるとしており、従来比で約20倍のリソース削減を実現したとしている。悪用防止のため、実際の攻撃回路は非公開とし、ゼロ知識証明の形で結果のみを公表した。

仮想通貨市場への影響として特に注目されるのが「保存後復号攻撃」のリスクだ。量子コンピュータが実用化される前であっても、現時点で暗号化されたデータを収集・保存しておき、将来解読するという手法はすでに現実的な脅威とされている。

マスク氏がグロックとともに共有したタイムライン分析では、楽観的シナリオで2028〜2029年、専門家の多数意見では2030年代前半が現実的な解読可能時期とされている。

関連記事:グーグル、量子コンピュータの脅威は「見かけより近い可能性」 移行目標を2029年に設定

グーグルが量子コンピュータ耐性を持つシステムへの移行目標を2029年に設定した。仮想通貨ビットコインやイーサリアムにおける量子耐性の取り組みも解説する。

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