はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

サウジアラビアとUAE、統一仮想通貨開発へ|XRP(リップル)やイーサリアムがデザインモデルとの見方も

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

サウジ、UAEが共同で仮想通貨の開発を計画中であることが明らかに
アブダビで初めて開催されたThe Executive Committee of the Saudi-Emirati Coordination の会議において、サウジアラビアのMohammed bin Mazyad Altwaijri経済計画大臣およびアラブ首長国連邦のMohammad bin Abdullah Al Gergawi内閣・未来大臣が「7つの戦略的イニシアチブ」の立ち上げを発表。戦略的イニシアチブには「仮想通貨の共同開発」も含まれていることがわかった。

両国が共同で取り組む「7つの戦略的イニシアチブ」

世界中の中央銀行が独自の仮想通貨発行に秘められた可能性を探索する中、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が共同で仮想通貨の開発を計画中であることが明らかになった。

UAEの公式ウェブサイトによると、アブダビで初めて開催されたThe Executive Committee of the Saudi-Emirati Coordination の会議において、サウジアラビアのMohammed bin Mazyad Altwaijri経済計画大臣およびアラブ首長国連邦のMohammad bin Abdullah Al Gergawi内閣・未来大臣が「7つの戦略的イニシアチブ」の立ち上げを発表。会議には両国から16名のメンバー全員が参加した。

この戦略的イニシアチブは、特にサービス、金融市場、観光、航空、アントレプレナーシップ、税関、安全保障の分野における二国間の統合を反映するもので、「仮想通貨の共同開発」も含まれている。

また今回の発表は、これまで続いた中央銀行発行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)とは違い、他国間で利用される通貨の発行であり、これまでデジタル通貨と書かれていたCBDCに対し、今回は「Crypto Currency(仮想通貨)」と記載されていることも注目点に挙がる。

仮想通貨の共同開発を通してブロックチェーン技術への理解を深め、クロスボーダー決済の向上を図ることが目的だ。

初期段階においては実験対象を銀行に限定。中央銀行および参加銀行間の分散データベースを利用し、顧客の利益の保護やテクノロジ標準の設定、サイバーセキュリティリスクの評価する手段を模索する。それと同時に、金融政策に対する中央通貨の影響を見極める意図もあるようだ。

「石油大国」による仮想通貨開発の背景

世界最強の経済的同盟の一つであるサウジアラビアとUAEの中央銀行が開発する仮想通貨とあって、市場の関心は非常に高い。

両国のソブリンウェルスファンド(政府が出資する投資ファンド)の合計額は世界2位、財貨・サービスの輸出規模は世界8位(世界銀行データ)、上場企業の時価総額は世界17位を誇る。また両国が有する石油備蓄総量は世界の全株式の4分の1(24.3%)を占めている状況だ。

しかしサウジアラビアは近年、「石油に依存しない国造り」を経済戦略に打ち出す一方で、資金調達源としてあてにしていた国営石油会社サウジアラムコの上場が中止になるなど、苦戦を強いられている。

これらの動きを背景に、仮想通貨の開発を含む「7つの戦略的イニシアチブ」の背景には、苦境打破への期待も大きいとの見られている。

中央銀行が「統制ノード」運営か

技術的な詳細は明かされていないが、両国の中央銀行が「統制ノード(control node)」を運営し、両国のすべての商業銀行はそれぞれのノードを通し、中央銀行の動きを確認するというようなシステムになるものと予想されている。その場合、ある種の「主従関係」が中央銀行と商業銀行間に生まれるため中央主権的な運用になると見られており、供給面ではフィアット通貨(法定通貨)よりのものになりそうだ。

利点として挙げられているのは、問題が生じた際に効率的に資産を凍結あるいは取引をリバースできると同時に、将来的に軽量型ウォレットを活用して利用範囲を一般大衆に拡大すれば、世界中の資産を簡単かつスピーディーに移転させることが可能になる点で、これまでサウジアラビアが、Ripple社や IBM、ConsenSysなどと提携を行ってきた背景を考慮すると、デザインモデルとしてRippleやHyperledger、Ethereumを検討しているのではないかと海外メディアを中心に推測されている。

サウジアラビア国立銀行は、Ripple技術を国内の銀行サービスに導入した世界初の中央銀行であるほか、直近ではIBMとMaerskが共同開発した物流プロセス管理ブロックチェーン・プラットフォーム「TradeLens」を同国の政府が試験導入するなど、ブロックチェーンを活用したイノベーションに非常に前向きな姿勢を取ってきた。

なお、リップル社とサウジアラビア、UAEとの繋がりは強く、サウジアラビア国内で512支店、世界で330万以上の顧客を抱える、中東で最大の金融機関の一つであるサウジアラビアのナショナルコマーシャル銀行(NCB)もRipple Netへの参加を表明している。

また、アラブ首長国連邦の首都ドバイには、Ripple社もオフィスを構える発表がされており、その当時、Ripple社の技術提供はコスト節減の面や柔軟性が評価され、様々な用途でのブロックチェーン技術実装を模索するUAEの計画と合致したことが発表されている。

仮想通貨市場にポジティブな影響期待

今回の発表が、イラン政府によるデジタル通貨開発の発表に続くものである点が興味深い点だ。米国から経済制裁を受けているイランは、イラン・リヤルに裏付けされたデジタル通貨開発を2018年11月に完了したばかりで、イラン中央銀行(CBI)の承認を受け次第、銀行内および銀行間決済で利用する目的で発行し、テスト決済を実施する計画であることを地元のメディアが報じている。

ベネズエラ政府が発行した「ペトロ」同様、経済救出策としての中央銀行発行デジタル通貨を発行するという発想は、仮想通貨市場にネガティブな影響をあたえかねないが、対照的にサウジアラビアおよびアラブ首長国連邦(UAE)が発行を目指すデジタル通貨は単純に一国の通貨に紐づく仮想通貨ではないと考えられており、国際決済の促進につながるポジティブな活気と力強さが感じられる。

尚、「7つの戦略的イニシアチブ」には仮想通貨の共同開発のほか、中小企業を支援するための共同プラットフォームの確立や民間航空の共通市場化、サプライチェーンの安全性テストの共同演習なども含まれている。

▶️本日の速報をチェック

CoinPostの関連記事

(URL)&from=in_article
(URL)&from=in_article
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者10,000名突破。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/08 月曜日
11:44
FOMC控え不安定な展開続くビットコイン、前週末は大口の協調売りか
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが一時9万ドル割れで3.4億ドル規模の大量清算発生。クジラによる協調売りの可能性が浮上し、週末の薄い板で2000ドルの乱高下が見られた。一方でマイナー降伏を示すハッシュリボン反転で底打ちサインも。FOMC利下げ観測と円キャリー巻き戻しが市場を揺さぶる。
09:11
フランスの大手銀行BPCE、仮想通貨4銘柄の取引サービス開始
フランスの大手銀行BPCEが約200万人の顧客向けに仮想通貨取引サービスを開始する。ビットコインなど4銘柄が銀行アプリで売買可能になる。
08:54
韓国、取引所に無過失損害賠償責任を導入へ アップビットのハッキング事件を受け
韓国金融当局が仮想通貨取引所に無過失損害賠償責任を導入へ。アップビットの445億ウォン不正アクセス事件を受け、2段階立法で規制強化。課徴金も売上高3%まで引き上げの方針。
12/07 日曜日
20:40
「ビットコインを価値の橋渡し役に」Bitcoin Japan CEO、繊維業からの大転換とAI戦略を語る
東証上場の堀田丸正から「ビットコインジャパン」へ大胆に転換したフィリップ・ロード(Phillip Lord)CEOが、CoinPost独占インタビューでビットコイン準備金戦略とAIインフラ投資の詳細を明かした。「日本の品質×米国の規模」で2030年までに500MW規模のデータセンター投資を目指す。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、イーサリアム「フサカ」実装完了やソラナスマホの独自通貨発行計画など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:00
週刊ニュース|JPモルガンによるストラテジーのBTC売却回避能力の評価に高い関心
今週は、FRBの量的引き締め終了、チャールズ・シュワブの仮想通貨取引開始、JPモルガンによるストラテジーのビットコイン売却回避能力の評価に関する記事が関心を集めた。
05:00
ハイリキが注目される理由│次のエアドロップ機会は?利用方法・リスクを解説
Hyperliquid(ハイパーリキッド:ハイリキ)のエアドロップ情報と特徴を解説。HYPEトークンの価格高騰要因、次回エアドロップの参加方法、流動性提供(HLP/Vaults)の仕組み、投資リスクまで詳しく紹介します。
12/06 土曜日
13:46
仮想通貨市場構造を定める「クラリティ法案」を遅滞させる3つの争点とは? 専門家見解
仮想通貨に詳しい弁護士が、ビットコインなどについて米国の規制を明確化する「クラリティ法案」の年内進捗は期待薄だと見解。3つの争点が議論のハードルだと指摘する、
11:15
メタマスク、予測市場取引機能を導入 ポリマーケットと連携しウォレット内で完結
メタマスクが12月4日、トラストウォレットが12月2日に予測市場機能を相次いで発表した。ユーザーは自己管理型ウォレット内で実世界のイベント結果を予測し仮想通貨で取引できるようになる。
10:45
SBI VCトレードとサッポロビール、黒ラベルTHE BARリニューアル記念でNFT配布キャンペーン開始
仮想通貨取引所SBI VCトレードとサッポロビールがWeb3技術を活用した実証実験を12月5日に開始した。黒ラベルTHE BARのリニューアルを記念し、応募者全員にNFTを配布。保有者は店舗で特別なビール体験が受けられる。
10:10
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、5週連続で資金流出 4200億円規模に
ブラックロックの仮想通貨ビットコイン現物ETF「IBIT」から5週連続で約4200億円が流出した。上場以来最長の流出超過を記録。同社の事業開発ディレクターは「正常な動き」と述べた。
09:30
米SEC、仮想通貨プライバシー円卓会議を来週開催 ジーキャッシュ創設者も参加
米証券取引委員会が金融監視とプライバシーをテーマにした円卓会議を12月15日に開催予定。ジーキャッシュ創設者ゾーコ・ウィルコックス氏を含む専門家がパネリストとして参加し、仮想通貨の匿名技術と監視措置について議論を行う。
08:35
トム・リーのビットマイン、今週約9.8万ETHを追加購入 総保有額1.8兆円相当
ビットマインは今週もETHの押し目買いを実施し9万7650イーサリアムを追加購入した。アーカムのデータによると、同社の総保有額は1.8兆円に達しETH総供給量の3.16%を占めている。
08:00
KLab、ビットコインと金を組み合わせた財務戦略を発表
KLabは、仮想通貨ビットコインと金を財務資産に組み込むデュアル・ゴールド・トレジャリー戦略を実施すると発表。同日発表した資金調達で得る約51億円のうち36億円を充当する。
07:35
ウィズダムツリー、欧州初の完全ステーキング型イーサリアムETPを上場
ウィズダムツリーが4日、Lidoプロトコル経由でミントされたstETHのみを保有する欧州初の完全ステーキング型イーサリアムETPを上場した。運用資産約5000万ドルでドイツ、スイス、フランス、オランダの取引所で取引が開始された。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧