- ビットコイン(BTC)ナイアガラの背景
- 約3週間ぶりの130万円台に到達するなど上昇局面にあったビットコイン(BTC)が昨晩から急反落、一時10万円幅以上の下落を見せた。国際金融市場の最新動向を踏まえ再び「買い」も観測される中、2つの観点から急落要因を独自分析。
ビットコイン(BTC)ナイアガラの背景
ビットコイン(BTC)は、12,000ドル(127.5万円)を超え、その勢いで130万円まで急騰するも、日本時間19:00頃より急反落。昼以降の急騰分を打ち消した。株式市場では、株価が突然、滝のごとく急に暴落し始める事を揶揄して”ナイアガラの滝”と呼ばれることもある。
123万円台で一旦下げ止まり反発するも、日本時間6:00〜7:00頃に一段安となり、一時120万円を割り込んだ。
その背景には何があったのか。主な理由は、2つ考えられる。
金融マーケットの動向
1つめは、国際金融市場で懸念されていた”チャイナショック”の再来懸念が後退したことだ。
米国が為替操作国に指定したように、5日に2008年5月以来、11年ぶりの安値となる「1ドル=7.0元」の節目を突破した中国元安が契機となり、同国の資金流出と為替市場での円高を加速させた。
「中国の習近平政権による、対中輸入3000億ドルに対する追加関税への意趣返し」と見る向きもあり、仮に中国人民銀行が”過度な元安”を容認した場合、資本流出および株安リスクの拡大や、経済大国同士の「通貨安戦争」に発展するおそれがあり、貿易戦争からの泥沼化で世界経済への影響はより深刻化しかねない。
これについて野村総研、木内エグゼクティブエコノミストは、テレビ番組で「貿易戦争から通貨戦争へステージが移ってきた。中国の最終手段としては、米国債を売ることが挙げられる。そこまで行くと、世界経済が打撃を受ける。」との見解を述べ、最悪なケースとして懸念を示した。
しかし、世界一の外貨準備高(数百兆円以上)を有しているとされる中国による米国債の売却は、新興国における通貨危機のほか、急速なドル金利上昇とドル高元安を招き、さらなる資本流出リスクを拡大させるなど、中国側へのデメリットも少なくないとされる。
中国の金融当局が人民元の急落を抑制する姿勢を示し、米政権の対話を模索する動きが伝わるとともに、リスクオフムードが緩和され、米中貿易摩擦の悪化による世界同時株安で下げ過ぎた分、米NYダウが6営業日ぶりに反発し、前日比311ドル高の2万6029ドルで取引を終えるなど、株式市場はリバウンドを見せた。
これにより、新興市場を好む個人投資家など短期筋を中心に、リスクヘッジの一環で買いを入れたビットコイン(BTC)の利確資金が、一定程度他金融市場に流れた可能性は否めない。
2つめの理由は、テクニカル的な観点だ。
テクニカル分析
5日以降、騰勢を強めたビットコイン(BTC)は、3日前のつけた押し目である4日13:00時点で113万円から大幅続伸。わずか2日後の6日16:00には130万円台まで急騰した。
4hRSIが6月下旬の急落前水準まで膨張していたほか、1d25日移動平均線や4hトレンドライン(青)からの乖離も広がっていた。
建玉ポジションの反対決済が必要となる相場の性質上、上昇や下落が一方的に続くチャートは起こり得ない。また、総楽観ムードで短期過熱感が臨界点近くにまで達しており、ロングの利確水準かつショートが背にしやすい価格帯であったことから、「相場が是正された」と捉える方が自然だろう。
ビットコイン(BTC)の中・長期的なテクニカル面や、上述したマクロ経済における外部要因を踏まえると、調整の範疇であれば依然として買い優勢か。現在の金融マーケットでは、VIX指数が高止まりするなど予断を許さない。米中貿易摩擦や英EU離脱問題を含め、世界経済の混沌とした情勢は長期化する可能性が高く、デジタル・ゴールドとしての側面を持つビットコイン(BTC)には追い風だ。
ただし、大口売りでチャートが崩れたのも事実であり、日足では天井を示唆する上髭陰線も出現している。1h雲下限で一旦反発基調にあるが、再度の売り仕掛けで118〜120万円のサポートラインやトレンドライン(青)をローソク足の実体ベースで割り込んだ場合は、目線の切り替えを含め、相場の機微を見極める必要があろう。
続伸した場合は、直近で揉んだ125万円付近の戻り売り圧力を。続落した場合は、日足雲下限と4h75EMAの重なる114〜116万円あたりの挙動に着目したい。
なお、移動平均線など相場の重要シグナルについては、以下の記事で詳しく解説している。