- マーシャル諸島のデジタル法定通貨「SOV」、一部詳細が明らかに
- ハワイとグアムの中間に位置し、”真珠の首飾り”と呼ばれるほど美しい景観を誇る「マーシャル諸島」にて、年内に発行予定のデジタル法定通貨「SOV」の詳細が公開され、3つの重要決定が明らかになった。
マーシャル諸島のデジタル法定通貨「SOV」
ブロックチェーンを利用したデジタル法定通貨「SOV」の年内発行を目指すマーシャル諸島政府。
同国の名誉大臣David Paul氏はCoinDeskを通じ、SOVに関するエッセイを公開した。
シンガポールで今月11日,12日にCoinDesk主催で開催されるカンファレンス「Invest:Asia 2019」で、SOVに関する詳細が同大臣より発表される予定であったが、それに先立って部分的に公開された。
今回公開されたエッセイによると、政府はSOVの発行において次の3つの「重要決定」を行ったという。
- ブロックチェーン技術に基づいた通貨発行
- 固定増加率でのマネーサプライ(通貨供給量)
- マネー・ローンダリング、及びテロ資金供与対策(AML)における国際的な協調
まず1つ目のブロックチェーン技術の利用については、マーシャル諸島の立地によるATM設置の複雑性や取引手数料の高さなど、従来の法定通貨(USD)の不便さを指摘しつつ、次のようにその利点を説明している。
ブロックチェーンにおいて最も重要なことは、数学的および技術的な複雑さにもかかわらず、実際には非常に単純な点だ。また、ブロックチェーンベースのデジタル通貨に必要な唯一のインフラはネットワーク自体であり、中央銀行が紙幣印刷と処理を管理する必要はなくなる。
2つ目の固定増加率でのマネーサプライに言及した部分では、他国のハイパーインフレの事例を挙げつつ、「著しく不安定になる可能性がある」と不換通貨の欠点を指摘。
一方SOVでは、通貨供給量の増加率を毎年4%に固定するとし、新規発行されるSOVは、通貨保有者とネットワークを保護する分散エンティティに自動的に分配されると説明した。これは、政府はマネーサプライを変更できず、より多くのお金を印刷するなどして通貨価値を操作できないことを意味する。
3つ目のAMLにおける国際協調については、ブロックチェーンに基づいたデジタル通貨により、コンプライアンスの負担の多くを自動化し、国際的なAMLにおいて積極的な役割を果たすことができると説明した。一方既存のシステムでは、「基本的なコンプライアンスを超えてAMLに大きく貢献することは困難である」と述べている。
また、SOVを使用するすべての個人は、銀行または取引所などの承認済みの検証者によって識別される必要があるという。これにより、犯罪者やテロリストによる資金の悪用が困難になるとしている。
エッセイのラストでは、1,000を超える島々からなるマーシャル諸島には、集中化されたソリューションは非効率的であるだけでなく、完全に機能しないと主張。ブロックチェーンは、マーシャル諸島に「金融における独立」を獲得する機会を与えてくれたとして、その必要性を改めて強調した。