マイナーの収益が増加
仮想通貨(暗号資産)イーサリアム(ETH)のマイナーの収益が、この1カ月間で2倍超増加していることが分かった。
主な要因はネットワークにおける取引手数料の増加と低い競争率だ。6月28日時点で100MH/S(Megahashe/秒)における1日の収益が1.84ドル(約194円)だったのに対し、28日時点で最大4ドル近く(約421円)まで上昇。この期間で最大で2倍超まで増加しており、同期比約140%だったETHの価格を上回る上昇率となった。
USDTやDeFiの取引需要が急増する中で、マイナーの収益の1つである取引手数料も過去2年間で最高額に達した。一方、ETH価格の高騰に対しハッシュレートは一定水準を横ばいに推移するなど競争率はそれほど高まっていない。半減期で収益性が落ちたビットコインにマイナーが依然として集中する中で、マイナー単体の収益性としては、狙い目になっていた可能性がある。
堅調に推移するETHの価格は、昨日はおよそ3.4万円まで高騰し年初来高値を更新した。分散型金融(DeFi)の台頭でイーサリアムネットワークに資金が集まったほか、DeFiトークンの利確先としても資金が流入した。大型アップデート「ETH2.0」を控えていることなども背景にある。
マイニングの利益
実際に電気代を差し引いた利益はいくらになるのか、仮想通貨メディアCoinDeskが試算している。
現在ETHのマイニングで利用される最新機器の1つがInnoSilicon社の「A10 Pro」。同機器の電気代をキロワット・アワー(kWh)で0.03ドル(約3.2円)として、485MH/sである機器の性能から算出した収益は、現在のETHの価格や採掘難易度からすると、1台につき1日12.92ドル(約1360円)となる。
ちなみにビットコイン(BTC)のマイナーの利益は、最も効率の良い機器であるMicroBT社の「WhatsMiner M30S++」やBitmain社の「AntMiner S19 Pro」で、1台につき収益は9ドル(947円)。電気代、現在のBTCの価格や採掘難易度と、ETHを同じ条件で比較して算出した利益は6.5ドル(約684円)となるという。