Curve vs Saddle
DeFi(分散型金融)大手のCurve.Financeで、裁判所で知的財産保護を訴える必要があるとする提案が挙げられたことがわかった。模倣プロトコルを排除する目的があるようだ。
CurveはステーブルコインDEX(分散型取引所)として知られており、ガバナンストークンCRVのイールドファーミングを提供している。また、DeFiPulseの合計資産運用額(TVL)ランキングでは3位にランクインしている。
イールドファーミングとは
イールドファーミングとは、DeFi分野の様々なプロトコルで高い利回りを求め、デジタル資産を運用すること。また、流動性マイニングは、イールドファーミングを行う人達を惹き付けるため、流動性(通貨ペア)提供の対価として利息の他にガバナンストークンが付与されることを指す。
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今回CurveのDAO(自律分散形組織)に提出された提案は、Curveのコードを無断に利用したDeFiプロトコル『Saddle Finance』の事例を含め、「今後現れる可能性のある知的財産の侵害者に対して、米国およびその他の関連管轄で、Curve側が弁護士と相談し、知的財産の権利を主張するべきだ」としている。
Saddle Financeは、今年の1月にローンチされたAMM(自動マーケットメイカー)であり、当初より、CurveのコミュニティメンバーからCurveのコードが基盤となっていると指摘され、のちにQuantstampが監査を行った結果、Saddle Financeにある「StableSwap」の機能はCurveのスマートコントラクトから引用されていることが報告された経緯がある。
また、Curveの公式ツイッターは1月20日に、「我々との違いは、VCが向こうについているという点だけのようだ」と指摘していた。Saddleを支援するVC投資家は米国にいるという。
CRVトークンへの懸念も
現時点では、提案はあくまで提出された段階で、今後はCRVホルダーによって投票され決められるが、決定された場合には、いくつかの法律事務所から提案を収集し、再びDAOにてどの案が最良なのか投票で検討されるプロセスを踏むという。
しかし、Curveは分散型の組織であるため、どのような形で訴訟を起こせるかは明確ではない。
また、仮に訴訟が起こり、裁判所へ持ち込まれた場合、CRVトークンの法的ステータスへ影響がでる可能性もあるといった懸念はコミュニティで散見される。
ユーザーのDaniele Sesta氏は「提案自体は理にかなっているかもしれないが、CRVとveCRVが未登録有価証券とみなされる恐れもなくはない。その場合は、知的財産を主張しないことよりもダメージは大きいだろう」とDAOフォーラムに書き込んだ。
また、別の匿名ユーザーは、裁判所へ訴えるのは、Curveが「資金移動業」という米国の送金業者ライセンスを持っていないことが明らかになる懸念があり、CRVトークンが未登録の有価証券と指摘されかねないといった問題点を提起した。
これまで、DAOによって法的アクションが起こされた事例がないため、今後の展開に注目だ。