ナイジェリア、CBDCの導入に前進
ナイジェリアの連邦高等裁判所は2日、ナイジェリア中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)の導入を承認した。国際放送の「Voice of Nigeria」が報道した。
ナイジェリアのCBDC「eナイラ」(ナイラは法定通貨)は、当初10月1日から運用される予定だったが、ENaira Payment Solutions Limitedという会社が商標権侵害を主張して、ナイジェリア中銀を提訴したため、延期されていた経緯がある。
この件について裁判所は、デジタル通貨「eナイラ」の採用は国益に叶うものであり、原告も十分な補償を受けられる可能性があるとして、「eナイラ」の発行をこのまま進めることを承認した。一方で、商標権侵害の審理自体は続けられる。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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CBDC発行の利点
ナイジェリア中銀は、広範な調査と検討を行った後で、2017年時点で法定通貨ナイラのデジタル化を決定していた。同行のゴッドウィン・エメフィエレ総裁は、CBDC発行の利点として次のような事項を挙げている。
- 国際的な貿易の促進
- 金融包摂の促進
- 送金の低コスト化と迅速化
- 金融政策の有効性上昇
- 決済システムの効率化
- 徴税体制の改善
ナイジェリアでは、コストの問題、支店が近くにない、本人確認書類がないなど様々な理由から、銀行口座を持たない人々も多い。こうした中で、CBDCはEコマースへの参加を可能にするなど、金融包摂を促す効果があるとされている。
民間仮想通貨の取り締まり強化
ナイジェリアは、ビットコイン(BTC)など民間仮想通貨の普及率が高いことでも知られる。P2P取引プラットフォームPaxfulのデータによると、2020年、ナイジェリアのアクティブユーザーは62万人を超え、同年の仮想通貨の月間取引量は6,600万ドル(70億円相当)でアフリカ市場をリードしていた。
一方で、ナイジェリア中銀は2月、国内の全金融機関に対して、仮想通貨取引関連の銀行口座サービス提供は禁止されていると通告。関連する口座を閉鎖するように命じている。
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ナイジェリアの証券取引委員会は、デジタル資産を原則的に証券とみなして規制の整備を始めたところだったが、口座禁止令の影響により作業は保留されるに至った。
CBDCの導入にともなって、今後は仮想通貨に対してより厳しい政策が打ち出されるのではないかとの懸念を抱く業界関係者も存在している。