未登録ICOでプロジェクトを起訴
米証券取引委員会(SEC)は3日、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)による証券の提供・販売を未登録で行ったとして、暗号資産(仮想通貨)スタートアップとその創業者を起訴したことがわかった。
Crowd MachineとMetavineの二つの会社、及びMetavineの創業者であるCraig Sproule氏は、SECによって起訴された。
Craig Sproule氏は、2018年1月より、Crowd Machine Compute Tokens(CMCT)と呼ばれるトークンの販売を未登録で行い、4,070万ドル(約47億円)を集めていた。プロジェクトのものと考えられるツイッターのアカウントは2021年1月6日を最後に更新が行われていない。
プロジェクトの内容は、集めた資金を用いて、分散型のクラウドコンピューターを開発するというものだった。また、トークンはユーザーのデバイスの余剰処理能力の利用などで使われるとされていた。
しかし、SECによると、実際にはクラウドコンピューターが運用されることはなく、トークンの二次流通もできない状態になったことで、トークンは価値を失ったという。
集めた資金を流用
また、集めた資金は、投資家に知らされないまま南アフリカの金採掘事業体に投資されていたといい、その額は580万ドル(約6億7,000万円)とされる。
「述べられているように、Sproule氏とCrowd Machineは、ICOの収益をどう使用しているかについては投資家を欺き、全く関係のないスキームに資金を費やした」とSECのサイバーユニット責任者、Kristina Littman氏は声明で述べている。
Sproule氏はICOに関する登録をSECに行っておらず、登録の免除が認められる条件も満たしていなかったことなどから、SECは被告らに対して、未登録のデジタル資産証券の提供と販売に関し、誤解を与える記述を行ったとして起訴した。
訴状はカリフォルニア北部地区の連邦地方裁判所に提出され、Sproule被告は195,047ドルを支払うよう命じられた。また、被告は将来的な証券提供への参加を禁止、トークンの無効化と上場廃止を求める判決に同意している。