90%以上がデジタル資産に関心
世界4大会計事務所のKPMGは24日、「デジタル資産への投資」と題されたレポートを公開した。
レポートは、KPMG中国と、Aspen Digitalが共同執筆。香港とシンガポールのファミリーオフィスなどによる、暗号資産(仮想通貨)を含む、デジタル資産とへの投資傾向などをまとめた内容となっている。
ファミリーオフィスとは、富裕層の家庭の投資管理と資産管理を扱う 非公開会社を指す用語だ。
レポートは、香港とシンガポールの30のファミリーオフィスと富裕層を対象に、2022年Q2(4月〜6月)実施したアンケート調査に基づいて構成。香港とシンガポールのファミリーオフィスと富裕層の合計90%以上がデジタル資産分野への投資を行っているか、関心を有していると報告した。
具体的には、回答したファミリーオフィスと富裕層のうち58%がすでにデジタル資産に投資。34%が「投資する予定」だと説明している。
投資を行っている富裕層やファミリーオフィスは、そのすべてがビットコイン(BTC)を保有していると回答。次点ではイーサリアム(ETH)の保有率が87%だった。デジタル資産の非保有者については、仮想通貨とステーブルコインに対して、関心を寄せていることが確認されている。
また、NFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)に対する関心も上昇傾向で、回答した投資者のうち、60%がNFTを保有していると述べた。
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主な懸念は「法的枠組みの欠如」
一方で、仮想通貨の主な課題としては法的立ち位置の明確な基準がない点や、ボラティリティの高さが挙げられた。また、リサーチや価値判断の基準が少ない点や税制面での報告基準や、国や地域で異なるサービス水準が大きく変動する点なども言及されている。
関心の要因は成長余地
KPMGは、デジタル資産への関心の高まりの理由として、成長の余地がある点だと指摘。大きな利益を得られる可能性が投資家を引き付けているとしている。
また、大手の機関投資家が投資を始めたことが、市場の信頼性を向上することにつながっているとの認識が高まっていると分析した。
一方、実際に投資を行っているオフィスや富裕層のポートフォリオを占めるデジタル資産の割合は、多くの場合で5%未満にとどまった。
半数はデジタル資産への出資を増額する方針を明示したものの、残りは現在のポートフォリオ比率を維持すると回答した。
デジタル資産に対する規制が、国や地域によって異なる点が不安要素とされており、明確な規制体制が、回答者から求められている。
セキュリティを重視したプラットフォーム選び
デジタル資産を保有する投資家の多くは、仮想通貨取引所を使用して、資産を購入していることも、レポートから明らかになった。
KPMGによると、利便性の高さやカスタマーサービスの充実度合いが、プラットフォーム選択の際に大きな影響を及ぼしているされる。セキュリティーも重要視されており、商品内容よりもセキュリティが重要であると答えた回答者もいる。
また、仮想通貨を取り扱うヘッジファンドに資金を預けて運用するという手法を採用している回答者も存在。取引所自体や、プラットフォームに対して投資を行っている回答者も確認された。