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米裁判所、SECの主張に疑問を呈示 グレースケールGBTCめぐる訴訟で

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインETFへの転換めぐる訴訟

米暗号資産(仮想通貨)運用会社グレースケールと米証券取引委員会(SEC)で争われている訴訟で7日、口頭弁論が行われた。コロンビア特別区控訴裁判所の判事らはSECの主張に対して疑問を投げかけている。

Neomi Rao判事は、「ビットコイン(BTC)の先物価格は、99.9%の確率でスポット(現物)価格と連動しており、そのことから、スポット価格の派生物であるように見える」と指摘した。ラオ判事は次のように続けている。

これらの市場が連動することについては、かなりの情報が存在している。

SECは、ビットコインの先価格とスポット価格の関係をどのように理解するか、より明確に説明する必要がある。

この意見に対して、SECの上級顧問Emily Parise氏は、99%価格が相関していても、それは先物と現物の価格が、直接的な因果関係を持って結びついていることとは違うと応答した。日中の価格全体ではなく、1日1回だけ価格を比べたものに過ぎないと続けている。

また、グレースケール側のDonald Verrilli Jr主任弁護士は、GBTCを現物ビットコインETFに転換すれば、協定によりシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の監視を受けられるようになると指摘。現在よりも投資家保護を強化できると申し立てた。

これについては、SECのParise氏は、CMEによる監視が、現物市場での不正や価格操作リスクに対応できるものかを判断するためのデータが不足していると反論している。

今回の口頭弁論が行われる中、GBTCの株価は約8%上昇し、執筆時現在で約1,770円(12.9ドル)となった。

GBTCとは

米大手仮想通貨投資企業「グレースケール」が提供する「ビットコイン投資信託」のこと。ビットコインの価格と連動した投資信託で、一般の株式と同様に売買が可能。機関投資家や米証券取引委員会(SEC)から認められた認定投資家を対象に提供されており、投資家にとってはビットコインの現物を売買・保有しなくて良いというメリットがある。

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これまでの経緯

この裁判は、SECがグレースケールのビットコイン(BTC)投資信託GBTCをETFに転換することを却下したことを受けて、グレースケールがSECを訴えたものだ。

グレースケールは、SECが2021年から複数のビットコイン先物ETFは承認しているにも関わらず、ビットコイン現物のETFは却下し続けているとして批判している。この判断は恣意的であり、投資家に損害を与えると申し立てる形だ。

これに対してSECは、先物ETFは、規制下にあるCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)に上場する先物契約のみを保有するETPを承認したものだと主張。これらの先物ETPは規制されるが、現物ETFには詐欺や市場操作のリスクが抑制されるという証拠が提示されていないと述べている。

グレースケールは、GBTCが使用しており、現物ETFに転換した後にも使用するインデックスは、CME上のビットコイン先物が使用しているインデックスと同じ方法で価格設定されており、両者のリスクに大きな違いはないと反論していた。

マイナス乖離の問題

現在、GBTCの価格は、現物ビットコインと交換できないという商品の性質も理由となって、原資産のビットコイン価格を大幅に下回る価格で取引されている。

GBTCを現物ビットコインETFに転換することができれば、トレーダーはETFとビットコインの価格差を利用する裁定取引を行うことが可能になり、それによって原資産との価格差は縮小することが期待されている。

グレースケールのMichael Sonnenshein最高経営責任者は1月、もし仮に「SECに対する、すべての司法の選択肢を使い尽くして」GBTCをETFに転換できなかった場合、GBTC株式の公開買付けを行うことを検討すると話している。GBTCの資本の一部を株主に返還するための最終手段として考慮している形だ。

関連グレースケールCEO「投資信託GBTCの公開買付けは最終手段」

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