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BitMEXアーサー・ヘイズ前CEO、ビットコイン担保ステーブルコイン「NakaDollar」を提唱 ビットコインのデルタニュートラルを担保に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーブルコインの懸念克服へ

暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所BitMEXの前CEOであるアーサー・ヘイズ氏は8日、ビットコイン(BTC)のデルタニュートラルポジションで価値を裏付けるステーブルコイン「サトシ・ナカモト・ドル, NakaDollar(NUSD)」を提唱した。

デルタ・ニュートラルとはロングとショートのポジションを同量ずつ持ち、全体の資産変動をゼロに抑える状態。現物ポジションのエクスポージャーがゼロになるようヘッジしていることを意味する。

NUSDの基本メカニズムとしては、トレーダーがデリバティブ取引所に預け入れた1ドルのビットコイン(BTC)を担保に、1ドル分のショートポジションを保持することで発行される。発行作業を簡略化するために、-xのレバレッジでビットコインの無期限先物をショートできる「インバース型のビットコイン永久スワップ」が想定されている。

ロング(現物)とショートを同数保持することにより、ビットコインの価値が変動しても、NUSDの担保資産の「ドル価値」は安定した状態となる。

NUSDの利点の一つは、現在仮想通貨コミュニティが抱えている、ステーブルコインに関連する規制上のリスクを克服すること。時価総額でトップ3のステーブルコインであるテザー(USDT)、USDCoin(USDC)、Binance USD(BUSD)のような、規制当局の影響を受けやすい銀行が保持する「ドル準備金」への依存状態を脱却できる、とヘイズ氏は指摘した。

23年2月に米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は、米ドル連動型のステーブルコイン「BUSD」の新規発行停止をPaxos National Trust(パクソス・トラスト・カンパニー)に命じたばかり。3月には、米シルバーゲート・キャピタルが仮想通貨関連サービス向け銀行サービスを停止する方針を示し、仮想通貨市場を再度揺るがした。

アーサー・ヘイズ氏はNUSDにより、仮想通貨市場で流通しているステーブルコインの存在を脅かす最近の「FUD(不安・不確実性・疑念)」を取り除くことができると主張した。

この不安がなくなることで、トレーダーにとって米ドルの価値と1:1で換金できないステーブルコインを大量に抱える心配がなくなるため、より多くの取引が可能になる。

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NUSDの利点・リスク

ヘイズ氏はまた、業界の主要な仮想通貨デリバティブ取引所がNUSDを採用し、中央集権型取引所(CEX)とDeFi(分散型金融)で広く利用可能なステーブルコインになることを期待している。

仮想通貨市場には、1兆ドル以上のNakaUSDの発行をサポートするのに必要なツールと組織が存在する。このソリューションがトレーダーや取引所に受け入れられれば、ビットコイン・デリバティブの建玉が大きく伸び、深い流動性が生まれることになる。

同氏はまた、NUSDが仮想通貨エコシステム全体の基軸通貨として機能する可能性があり、安定した単位を提供するポテンシャルがあると加えた。

これは投機家とヘッジャーの双方を助けることになる。加盟する取引所だけでなく、DeFiのユーザーや、低料金で24時間365日移動可能なUSDトークンを必要とするすべての人に利益をもたらす媒介となるだろう。

NUSDの具体的な発行基盤としては、イーサリアム・ブロックチェーンが想定されており、ERC20トークン「NAKA」によって管理される「NakaDAO(分散型自律組織)」の設立も提案されている。このDAOはNUSDのポリシーをコミュニティで管理するだけでなく、発行収益を回収するとした。

また、ヘイズ氏は想定されるNUSDのリスク要因として、担保BTCの価値が急減した際に、取引所が介入してショートの利益を減らすか、決済する「損失の社会化(Socialised Loss)」が発生する可能性を指摘。補填ファンドの必要性を訴えた。

他にも、取引所へのハッキング、ショートポジションの手数料(ネガティブ・ファンディングレート)が増加するリスクも指摘されている。

関連:BitMEXのヘイズ元CEO、6ヵ月の自宅軟禁に

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