- 2017年に期待されたプロジェクトの大半が苦しい現状
- 2017年はICOを通して大量の資金調達が行われたものの、大半が低い投資収益率を記録するなど、その後伸び悩んでいる印象が見受けられる。
- ICOとは
- ICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング/新規仮想通貨公開)とは、資金調達をしたい企業や事業プロジェクトが、独自の仮想通貨を発行/販売し、資金を調達するプロセスのことを指す。
2017年のICOは2016年の240億円相当と比べ、約5600億円のセール、つまり2年前に比べると約24倍の資金調達を成功しました。
日本では仮想通貨元年と言われた2017年に最も資金調達額が多かった通貨・プロジェクトは以下の通りです。
- Tezos
- Sirin Lab
- Bancor Network
- HDAC
- Filecoin
しかし資金調達額は多かったものの、2017年のICOの大半は詐欺であったことが調査で判明しており、詐欺でなかった場合でも失敗に終わるケースが多々見られています。
この傾向は上述のプロジェクトでも同様で、5つのプロジェクトの内、4つのICOではROI(投資収益率)が1.0以下を記録しており、投資者は損をしている可能性が高いです。
Tezos
Tezosは世界初の自動修正が搭載されたブロックチェーンプラットフォームを開発している会社です。
TezosのICOは約240億円の資金が2週間で集まり、HDACとFilecoinとは異なり、XTZトークンは順調に価値を上げています。
ICO序盤では1XTZトークンは約35円でしたが、現在は170円台まで上昇しており、これは163%の投資収益率を表します。
しかし、Tezosはトークンの価格競争ではなく、内部の権力争いや訴訟などで問題になりました。
当時の記録によるとTezos Foundationがアメリカ証券取引委員会(SEC)にXTZトークンを有価証券として登録することに失敗したにも関わらず、ICO投資家を唆したなどの容疑がかけられた結果、480円台だったXTZトークンは150円台まで下がりました。
しかし、これらの問題を乗り越え、Tezoは6月30日にベータ版のプラットフォームをローンチしました。
現在
Sirin Lab
12月の2週間を経てSirin LabsのICOは130億円相当の資金を集めました。
Sirin Labsはブロックチェーンベースのスマートフォンやコンピュータを製造している会社です。
注目されている商品は11月にリリースされたFINNEYブロックチェーンスマートフォンで独自の暗号ウォレットハードウェアを搭載されています。
1機約12万円で販売され、HTCのブロックチェーン対応携帯であるExodusの競合として注目を集めていました。
FINNEYがどのブロックチェーンで稼働するのかはまだ不明確なものの、Sirin LabのホワイトペーパーによるとIOTAのTangle ledgerを利用すると書かれています。
しかし、当時45円相当だったSRNトークンも同様に83%下落、現在は約8円台まで落ちています。
Bancor Network
Bancor Networkは6月12日のICOを兼ねて、130億円相当の資金を集めました。
当時のBNTトークンの価格は約360円でしたが、現在は150円台を推移しています。
Bancor Networkは他のプロジェクトと異なる点は、Bancor Networkの取引プラットフォームが完全に運用可能だということです。
同社コミュニケーションディレクターのNate Hindman(ネイト・ヒンドマン)氏はCryptoNewsの取材で以下のように語っていました。
Bancorは、24時間の変換ボリュームで測定された分散型暗号コンバージョンによると、最も普及したメカニズムとしてランクされている。
Hindman氏は分散型取引において、ガスや手数料高騰の可能性があることを認めたものの、Bancorはこのような状況を改善するためにプロトコルにアップデートを加えるとしました。
確かにまだ改善すべき点はある。しかし、早期段階で取引の透明性と自動化を実現することにメリットがあることは明確だ。1年間でBancor Networkの総取引量は1500億円相当以上に達している。
HDAC
2017年で最もスケールが大きかったのはHDACです。
HDACはHyundai会社がスイスでスタートアップした分散プラットフォームの「モノのインターネット」で機能しているトークンです。
トークン販売は11月27日から12月22日までに250億円相当の資金調達に成功しました。
しかし、HDACトークンの価格は12月を過ぎるとEthereum、Bitcoin Cash、Litecoin、などアルトコイン市場同様に下落し、約87%下がりました。
ICO初期はHDACトークンは約30円だった価格は今となっては7円まで下がってしまいました。
HDACの公式プランによると、近い未来にさらに12億ほどのHDACトークン配布を予定しているとのことで、大規模な導入されない場合、HDACトークンの価値は今後さらに下がる見込みです。
HDACは5月24日からメインネットの開始をし、アクティブユーザーはあまり集められませんでしたが、8月には韓国の不動産会社ドリーム・グローバル・パートナーズ(Dream Global Partners)と新しいパートナーシップを築いたことを発表しました。
Filecoin
Filecoinはクラウドベースのデータストレージのための分散型プラットフォームを構築しているトークンです。
Filecoinは9月にICOを終了した際、265億円相当の資金調達に成功し、価格は一時期500円台まで高騰しました。
しかし、その後FILトークンの価格は380円相当まで下落、Hdacの場合と同様に、すべてのFILのわずか10%しか現在、投資家に開放されていないという事実はICOトークンの価値がさらに下落する可能性があることを示しています。
最近では、Filecoinは、プロトコルの主要な側面の実装とテストを8月末に開始したことを発表しました。
また、公式プラットフォームのローンチも2019年以内に実行するとも発表されているものの、最近の取材によると「タイムラインに変更を加えるのは間違いない、ロンチやリリースの順番やタイミングも変わる可能性は高い」と述べられています。
Top Five ICOs of 2017 – How Are They Doing Now?
September 16th, 2018 by Simon Chandler
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