はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

トヨタ・ブロックチェーン・ラボ、スマートアカウント導入で車の使用権トークン化を検討

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

モビリティとパブリック・チェーン

トヨタ・ブロックチェーン・ラボ(TBL)は先週、モビリティ(移動手段としての乗り物)をイーサリアム・ブロックチェーン上のスマートアカウントとして設計する構想を発表した。

トヨタは、イーサリアムエコシステムのアカウント抽象化標準ERC-4337に基づく「MOA」(モビリティ指向アカウント)を公開した。強気だ!日本の大企業がパブリックチェーンに取り組んでいることは喜ばしい。
(渡辺創太氏:アスターネットワーク創設者)

TBLは、2019年にトヨタグループ内に設立されたブロックチェーンの活用を促進するための仮想組織。「パブリックブロックチェーンにモビリティを導入する方法」と題したレポートでTBLは、イーサリアム・ブロックチェーンを使用して、個々の自動車のためにデジタルアカウントを作成する方法とそのメリットについて検証している。

車に関する権利をトークン化し、スマートアカウントとして設定することで、車はサービスとして機能するようになり、プログラム可能性が向上するとともに、他のさまざまなサービスに接続可能になる。

究極的には車の完全自動運転も視野に入れており、実現した場合、車は完全に独立したサービスエンティティとして機能し、関連するすべての権利がオンチェーンで処理されることになるという。

TBLは、ブロックチェーン上のこのようなアカウントを「MOA」(モビリティ指向アカウント)と呼んでおり、イーサリアムのアカウント抽象化標準ERC-4337に基づいた設計方法を検討中だ。

関連:Visaのイーサリアム実験報告書、「アカウント抽象化」による取引機能を探求

MOAの仕組み

車のブロックチェーンアカウントを作成する従来の方法としては、外部所有アカウント(EOA)の秘密鍵を車両に保存する方法があるが、車載デバイスの障害により秘密鍵を紛失すると、アカウントが失われてしまうというリスクがある。

また、EOAはブロックチェーン上で限られた機能しか持てないため、車に関する情報管理のために他の契約が必要になり、システムが複雑化してしまう。

TBLはこの課題に対処するための解決策として、ERC-4337に基づいたMOAの設計を提案。アカウントの抽象化により、認証プロセスを鍵の管理から切り離し、秘密鍵を紛失してもアカウント自体は保持されるため、より安全で柔軟なアカウント管理が可能になる。

また、外部から参照可能な状態を保持することで、車の使用履歴や整備記録などの情報を、効率的に透明性を持って管理できるようになる。

MOAでは、複数のエンティティが操作を承認することも可能なため、車の所有者、ユーザー、メーカー、ディーラー、行政機関など、さまざまな利害関係者が車に関する取引の承認プロセスに関わることができる。

車の鍵はNFT

MOAのコントラクトはERC-4337に準拠し、車の操作に関連するさまざまな権限は、キー・トークン・コントラクト(Key Token Contract)と呼ばれるスマートコントラクトを参照する。

キー・トークン・コントラクトはERC-721(NFT規格)に準拠し、車の鍵つまり「使用権」を表している。また、所有者に関する情報と、その所有者に与えられた「使用権」に関する情報が含まれる。

キー・トークン・コントラクトは車の使用権に関するシンプルな設計だが、拡張することで、特定のユースケースに合わせた機能を追加することも可能となっている。

キー・トークンのロックやロック解除はハードウェアによって制御されるため、MOAにアクセスする専用のデバイスMOA-IND(MOA車載デバイス)が必要となる。

基本操作と権限付与の自由度

ユーザーはスマートフォンのアプリなどを使用して、NFTで表されたアドレスと権利をMOA車載デバイスに提示し、鍵の開錠などの操作を行う。

NFTはブロックチェーンに記録され、ハードウェアの操作は、ユーザーと車、そしてブロックチェーンを介して行われる。

基本的なハードウェア操作をパッケージ化することで、さまざまな操作に関する権限を任意に付与することが可能になる。

例えば、すべての操作権限を付与することで車の運転が可能になる一方で、有効期限付きでトランクの開錠・施錠に関する権限を付与すると、品物の受け取り場所として車を利用するという使い方も可能になる。

MOAに紐づいたNFTによって、デジタル処理で車の使用権の管理が可能になるため、カーシェアリングなどのサービスの実現にも役立つと考えられる。

トヨタの取り組み

トヨタは、2023年4月に「トヨタモビリティコンセプト」を発表。これは、同社が目指すモビリティ社会のあり方と道筋を示すもので、最終段階の「モビリティ3.0」では、モビリティと社会システムの融合を目指している。

安全・安心や運転する楽しさなど、これまでトヨタが培ってきた車の本質的な価値を基盤に、社会に役立つ存在として車を進化させ、快適に移動できるモビリティ社会の実現がコンセプトに盛り込まれている。

車は個人の所有物であると同時に、公共の空間で使われるものであり、他の車両や人、道路や信号、エネルギー施設などのインフラなど外部要因と関わることによって初めて、移動が可能になる。

トヨタは、多くの人々と状態を共有するように設計されたパブリックブロックチェーンが、トヨタモビリティコンセプトを実現するための有力な選択肢になりうると主張する。

関連:トヨタ車のサブスク「KINTO」 NFTを用いた安全運転証明の実証実験を開始へ

関連イーサリアムの買い方|初心者が知るべき投資メリット、リスク、おすすめ取引所選び

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/14 土曜日
13:55
相次ぐ小規模企業による大規模な仮想通貨投資発表、VanEck専門家は株価操作の可能性を指摘
時価総額数億ドルの小規模上場企業が数百億ドル規模の仮想通貨アルトコイン購入計画を発表する事例が相次いでいる。VanEck専門家は一部を株価操作目的と分析し、投資家に注意を促している。
13:10
ビットコイン保有企業の増加でシステミックリスク上昇=コインベース分析
米コインベースが最新レポートで、現在228社が仮想通貨ビットコインを82万枚保有していると指摘し、こうした財務戦略でシステミックリスクも上昇していると説明した。
11:38
イーサリアム専門家らがETH価格を「大幅に過小評価」と主張、長期目標8万ドルも
イーサリアム技術者らが新報告書でETHを「デジタル石油」と位置付け、ビットコインとの比較で機関投資家向けに大幅な過小評価を訴える。ステーキング収益や供給上限機能により長期的な価値上昇を予測。
10:44
ブラジル下院委員会、ビットコイン戦略準備金法案を可決 
ブラジル下院委員会が仮想通貨ビットコイン戦略準備金法案を可決。外貨準備の最大5%をビットコインで保有する「RESBiT」創設を目指し、中央銀行デジタル通貨の担保活用も検討。
09:50
「ドン・キホーテ」運営のPPIH、オンチェーンでデジタル証券発行へ 若年層支援の仕組み
ドン・キホーテ運営のPPIHは、セキュリタイズジャパンと提携し若年層支援の仕組みを持つデジタル社債を発行する。majicaポイントなどで利息支払いし、若者に特典を付与する。
09:30
ソラナ現物ETF承認へ前進か、複数企業がSEC要請でS-1書類を修正提出
米SEC要請を受けフランクリン・テンプルトンやフィデリティなど複数企業がソラナ現物ETFのS-1書類を修正提出。ステーキング機能組み込みも検討され承認に向け前進。
08:20
ホスキンソン氏、エイダをビットコインやステーブルに替えることを提案
カルダノ創設者チャールズ・ホスキンソン氏は、1億ドル相当の仮想通貨エイダをビットコインや複数のステーブルコインに替えることを提案。背景や目的を説明し、売り圧を懸念する声にも応えている。
07:30
現在最注目の仮想通貨関連法案、来週火曜日に米上院で最終採決見込み
米上院が来週火曜日にステーブルコイン規制法案「GENIUS法」の最終採決を実施。米ドル裏付け義務化や年次監査要件など包括的な規制枠組みを設定する重要法案の行方に注目。
07:05
今年最大規模の流入、ビットコイン長期保有ウォレットに3万超BTC=アナリスト分析
月11日にビットコイン蓄積ウォレットへ3万BTC以上が流入。2025年最大規模で、史上最高値圏でも長期投資家の積極的な買い増しが継続している状況が明らかに。
06:30
ウォルマート・アマゾンが独自ステーブルコイン検討、競争激化でビザとマスターカード株価急落
米大手小売企業がステーブルコイン発行を検討中。年間数十億ドルの決済手数料削減が狙い。競争激化でビザ・マスターカード株価下落、大手銀行も共同発行で対抗策を模索している。
05:55
米ナスダック上場企業、1000億円規模のビットコイン購入を計画 SPAC調達で
著名仮想通貨投資家ポンプリアーノ氏がProCapBTCのCEO就任を協議中。SPAC合併により750億ドルを調達し、全額ビットコイン購入に充当する計画が明らかになった。
05:35
米SharpLink Gaming、670億円でETH大量購入 イーサリアム財団に次ぐ世界2位の保有企業に
米上場企業SharpLink GamingがETH176,270枚を670億円で購入し、イーサリアム財団に次ぐ世界第2位の保有企業となった。Consensys主導の私募増資で最大ETH保有戦略を推進。
06/13 金曜日
21:13
​​セガとDJTが満を持してリリースする『魁 三国志大戦』 BCGの新潮流を切り拓けるか?
セガの「三国志大戦」がWeb3テクノロジーを取り入れた新作『魁 三国志大戦』として生まれ変わった。CoinPostでは、開発を担うdouble jump.tokyoの創業者である上野 広伸氏にインタビューを実施。開発背景や作品の魅力を語ってもらった。
18:35
MEXC関連企業、ソラナ開発者育成で新プログラム アジア太平洋地域で展開
MEXC IgniteXとSuperteamが戦略的提携を発表。Solana Summit APACで「IgniteX Solana Talent Lab」を始動し、APAC地域のブロックチェーン人材育成を推進。
17:00
超富裕層の投資戦略が大転換、株式から仮想通貨などへシフト=BNYレポート
米大手金融機関BNY Mellonが公開した最新のファミリーオフィスの投資動向調査レポートで、超富裕層による投資戦略の大きな転換が明らかになった。上場株式への投資から、プライベート市場や仮想通貨を含むオルタナティブ投資へと積極的なシフトが進んでいる。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧