「安全運転」の証明をNFTに
車のサブスクリプション(フルサービスのカーリース)を展開する株式会社KINTOは、安全運転の評価結果に基づいた独自のNFT証明書を発行する。モビリティ業界で初めての試みとなる、実証実験を2024年6月から開始する。
将来的に、「安全運転ドライバー」としての証明をブロックチェーン上に記録することで、各種モビリティサービスをリーズナブルに利用できるスキームを構築する狙いがある。
基盤となるのは、トヨタ自動車株式会社のコネクティッドサービス「T-Connect」で稼働中の評価システムだ。
実証実験では、サブスクリプションサービスの車両から収集した運転データを分析し、KINTOとトヨタが定めた基準で「安全運転」と認定されたドライバーに対し、NFT証明書を付与していく。
このNFTは「Soulbound Token」と呼ばれ、他者への譲渡が不可能で、保有者の能力や修了証明をデジタル上で示す特徴がある。
ブロックチェーンはデータの取引を「鎖(チェーン)」のように連結して管理する仕組みで、データの改ざんが困難、半永久的に記録を残せる利点がある。
KINTOは、「車両」に残る記録とは異なり、「ドライバー」に紐づく「安全運転」の証明をブロックチェーン上に残し、これを通じてドライバーを評価する仕組みを広めることを目指している。
関連:トヨタGRカップ、ポリゴン(MATIC)でデジタル・トロフィー授与へ
実証実験の概要
実証実験は、2024年6月1日から11月30日までの期間に実施される。対象は、サブスクリプションサービス「KINTO Unlimited」を提供しているプリウス、ヤリス、ヤリス クロスのUグレードを契約している顧客だ。
既に提供されている「コネクティッドドライブトレーナー」の仕組みを活用し、運転データを、「アクセル」「ブレーキ」「ハンドル」「ウィンカー」「バック」の5つの安全項目で分析し、5段階(S、A、B、C、D)で評価する。
実験期間は前半(6月1日~8月31日)と後半(9月1日~11月30日)の2回に分けられ、それぞれの期間で5つの項目がすべて「S」となった月の数をカウント。評価結果に基づき、以下の証明書を発行する。
- ゴールド: 3か月すべてで5つの項目が「S」
- シルバー: 3か月のうち2か月ですべて「S」
- ブロンズ: 3か月のうち1か月ですべて「S」
これらの証明書は「KINTO Unlimited」専用アプリを通じてウォレットに送付される。例えば、前半の3か月すべてで5つの項目が「S」、後半の3か月のうち1か月が「S」だった場合、「ゴールド」と「ブロンズ」の証明書をそれぞれ1枚ずつ発行する。
また、前半・後半の期間でいずれも「ゴールド」だった顧客には、「エキスパート」の証明書を発行する。
NFTとは
NFTとは、「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ゲームや音楽、アート作品、各種証明書など幅広く技術が活用されている。
▶️仮想通貨用語集
関連:博報堂キースリー、トヨタ協賛のweb3ハッカソンを2月14日から開催へ