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「ブロックチェーンは都市」、大手VCDragonflyトップが語る投資哲学と分散型AIの役割|WebX2025

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

なぜ多くのブロックチェーンが必要なのか

東京で開催されたWeb3カンファレンス「WebX」に、米大手ベンチャーキャピタルDragonflyのマネージング・パートナー、ハシーブ・クレシ(Haseeb Qureshi)氏が登壇し、「10兆円の行方:VCが今、最も注目する投資先とは」をテーマに、東京フィンテック代表理事のガーク・ノーベルト氏の質問に答えた。

日本で起業家が育ちにくい要因

8月25日に行われたセッションで、クレシ氏は、カンファレンス会場に集まった人々のエネルギーに感銘を受けたと語る一方で、国の規模や経済力にもかかわらず、日本は暗号資産(仮想通貨)分野で香港やシンガポール、韓国に後れを取っていると指摘。日本の規制や税制が起業家を制限しているとの考えを示した。

Dragonflyでも日本の起業家を支援してきたが、トークン作成時に課税されるなど税制の問題により、日本を離れることが多いと指摘した。

インターネットとブロックチェーンの違い

クレシ氏は「ブロックチェーンは都市」という例えを用いて、多くのブロックチェーンが共存共栄する必要性と、その論理に基づいた投資方針について説明した。

FacebookなどのWeb2ネットワークは、ユーザー追加のコストがほぼゼロで、ネットワーク効果により「勝者総取り」の市場になりがちだが、ブロックチェーンはユーザーやトランザクションが増えると処理コストが上昇する「非経済的スケール」を持っている。

これはブロックチェーンが分散化を維持する必要があるためで、誰でも自宅で取引の検証ができる程度にブロックサイズは制限されるケースが多い。

この制約をクレシ氏は、物理的な規模に限界がある都市に例えている。

イーサリアムは東京、ソラナは大阪

都市の規模には物理的な限界があり、いかに魅力的な都市であっても国の全人口を集中させることはできない。

東京は金融や文化の中心だが、人口やインフラの限界で全員が住むことはできない。そのため、大阪のような別の都市が必要となり、それぞれが独自の文化や産業を育んでいる。ブロックチェーンも同様に、多様なチェーンが共存し、それぞれが独自の「個性」を持っている。

例えば「一番文化的で、クールなNFTやDeFiが集中し、多額の資金を持つ」イーサリアムは、大手銀行のようなもので、利用するための費用も高く、万人のニーズに合致することはない。

一方、ソラナは、ミームコインや、迅速な資金移動、NFTなど、スピード感のあるものに特化しており、両者は全く異なる個性やアイデンティティを持っている。だからこそ、複数のブロックチェーンが共存し、単一のブロックチェーンが全てを支配することはないとクレシ氏は強調した。

新たな都市への投資

クレシ氏は、ブロックチェーンへの投資を「新しい都市への投資」と捉え、それぞれが持つユニークな個性や、ブロックチェーンとして独自のビジョンを打ち出していくようなものに、投資していると説明。それがDragonflyがAvalanche(アバランチ)やMonaのシードラウンドに投資した理由だという。

レイヤー2ソリューションが都市の例えにどのように当てはまるか尋ねられると、同氏は「L2は高層ビル」と回答。より多くの人口を居住可能にするための都市拡張方法の一つが「上に伸ばす」こと、つまり高層ビルの建築だった。

L2のスケーリングも都市の高層化と同じで、L2はイーサリアムの上に建てられた高層ビルのようなものだとクレシ氏は語る。同じL2内なら高速・低コストだが、異なるL2間の移動にはイーサリアムを経由する必要があり、都市の交通混雑のような課題があると説明。L2はスケーリングの唯一のソリューションではないと付け加えた。

ボトムアップの投資戦略

Dragonflyの投資戦略について尋ねられたクレシ氏は、「仮想通貨は動きが速い」という特徴を持っているため、柔軟な考え方を持つ必要があると強調した。

2022年に調達したファンドでは、Athena、Caito、Mona、MegaETH、Polymarketなどのアプリやインフラに投資し成功を収めたが、仮想通貨の各サイクルは異なるため、過去の投資モデルに固執することはない。

Dragonflyの投資スタイルはトップダウンではなくボトムアップであり、トレンドを追わず、優れた起業家や革新的なアイディアを探し出し、市場の空気に反していても投資するという。

ベンチャーファンドは、ヘッジファンドと異なり、一般的にリターンの再投資は行わず、資産を売却したら出資者に分配する。トークンの場合は、ケースバイケースで、プロジェクトの進行状況により、長期保有することもあるという。例えば、Monaには2022年に投資したが、今年ようやくメインネットにローンチする見通しで、トークンの受け取りまでには3〜4年かかることになる。

クレシ氏はこのような、長期的視点がDragonflyの市場での存在意義を確立していると述べた。

AIとブロックチェーンの交差点

最後にクレシ氏は、今注目を集めるAIへの投資機会について言及。「仮想通貨がAIに何をもたらすか」という視点から語った。

同氏は、AIエージェントが仮想通貨を使って金融活動を行う方法や、モデルの提供やトレーニングの分散化の方法、モデルの検閲回避などについて、多くの起業家との議論を重ねてきたという。

現在の米国は、AIに対する法的規制がほぼ存在しないという「無法地帯」となっているが、この状況が長く続くとは考えられない。AIが、信用スコアや司法判断、エネルギー配分の管理など社会の重要なインフラを担うようになると、政府が介入し、AIをコントロールしようとするのは確実である。一つの懸念はAIが検閲の対象とされることだ。

クレシ氏はその場合、分散型技術が非常に重要な役割を果たすと主張する。検閲が起こるまでは、現時点で大手モデルに性能が劣る分散型AIを使おうとしないが、それが現実となった場合、検閲耐性のある分散型AIの重要性が急激に高まると見ている。

サトシ・ナカモトが検閲を回避するためにブロックチェーンを作ったように、検閲が分散型AIの必要性を高める理由となるだろう。

ハシーブ・クレシ氏(Dragonfly マネージング・ディレクター)

ハシーブ氏は、数十億ドル規模の大手仮想通貨ベンチャーキャピタルであるDragonflyのマネージングパートナーであり、長年テクノロジーに特化した仮想通貨投資家として活動してきた。

以前はMetastable Capital(現在はDragonflyに買収)のゼネラルパートナーを務め、それ以前は、ステーブルコインのスタートアップ企業を設立し、Earn.com(コインベースに買収)でブロックチェーンエンジニアとして、またAirbnbで不正対策エンジニアを務めた。

さらに世界ランキングトップ10のプロポーカープレイヤーでもあった。

カリフォルニア大学バークレー校でWeb3起業家向けの講義を担当しており、仮想通貨分野での技術的専門知識により、多くのフォロワーを持つ人物である。

▼WebXとは

WebXとは、日本最大の暗号資産・Web3専門メディア「CoinPost(コインポスト)」が主催・運営する、アジア最大級のWeb3・ブロックチェーンの国際カンファレンスです。

このイベントは、暗号資産、ブロックチェーン、NFT、AI、DeFi、ゲーム、メタバースなどのWeb3関連プロジェクトや企業が集結。起業家・投資家・開発者・政府関係者・メディアなどが一堂に会し、次世代インターネットの最新動向について情報交換・ネットワーキングを行うイベントです。

数千名規模の来場者と100名以上の著名スピーカーが参加し、展示ブース、ステージプログラムなどを通じて、業界最前線、グローバル規模の交流とビジネス創出が行われます。

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