Astar Network(ASTR)の概要
アスターネットワーク(ASTR)は起業家の渡辺創太さんがCEOを務めるStake Technologiesが開発したブロックチェーンプラットフォームで、2022年1月にメインネットがローンチされた。
ポルカドットのリレーチェーンの1つでありポルカドットを支える。EVM(イーサリアム仮想マシン)とWASM(WebAssembly)の2つの仮想マシンが導入されており、多様なプログラミング言語でスマートコントラクトを構築できる特徴がある。
2024年2月にはゼロ知識証明を活用したレイヤー2ソリューションのAstar zkEVMをリリースし、同年8月にソニーグループとの提携でSoneium(ソニューム)と呼ばれるレイヤー2ネットワークに移行した。
価格
- 現在価格(2024年10月2日時点): 0.062ドル(約9円)
- 年初来高値(2024年2月): 0.193ドル(約28円)
- 年初来騰落率(YTD): -55.30%
- 過去最高値(2022年4月): 0.337ドル(約48円)
価格予測
24年6月:アスターネットワーク、仮想通貨ASTRのバーンを提案 価格が前日比8%超上昇
時価総額|関連銘柄
アスター(ASTR)の時価総額は2024年10月時点で約5億ドル、「スマートコントラクトプラットフォーム」セクターの中では36位に位置する。同セクターで1位のイーサリアム(ETH)の時価総額は約2970億ドル。2位のバイナンスコイン(BNB)の時価総額は約810億ドル。ASTR以降は、XinFinネットワーク(XDC):約4億ドルが追従する。
主な出来事
- 2022年4月:Astar Network(ASTR)のDEX「ArthSwap」、アクセラレーション・プロジェクト「ArthShot」始動
- 2022年9月:Astar(ASTR)、米国版バイナンスに新規上場
- 2023年9月:「Astar zkEVM」が仮想通貨ASTRの実用性に与える影響は?
- 2024年9月:仮想通貨アスターの買い方 ソニーグループとの提携で広がるASTRの将来性
エコシステム支援組織
Stake Technologies Pte. Ltd.: 渡辺創太氏がCEOを務めるWeb3関連企業で本拠地をシンガポールに置いている。2020年10月5日に設立された。アスターネットワークの開発、マーケティングを主導している。人々が自分のデータ、権利、運命を所有できるインフラストラクチャを提供することを目標としている。
Astar Japan Lab: アスターネットワークを利用したサービスの開発やビジネス創出に関わる事業者を対象に情報の調査、研究、知見の集約、意見交換を行い、アスターネットワーク経済圏の更なる発展を目指すために設立されたコンソーシアム。
トークンアロケーション
出典: CoinCarp
アスターの初期供給量は70億ASTR。初期供給に基づき年間約9.5%のインフレーション率が設定されている。アスターの初期分配はユーザーと初期支持者に30%、2021年のパラチェーンオークション用20%、パラチェーンオークションリザーブ5%(2024年現在はポルカドットのアップデートで不要に)、プロトコル開発10%、DAO5%、マーケティング5%、初期資金援助者10%、チーム5%、財団10%の配分となっている。
2024年6月のコミュニティ投票で総供給量の5%である3.5億ASTRをバーンする提案が承認された。対象となるトークンはパラチェーンスロットオークション用の5%でポルカドットのアップグレードで不要となった。
関連記事: 仮想通貨アスター(ASTR)、総供給量の5%をバーン決定
Total Value Locked(TVL)
Total Value Locked(TVL)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームやプロトコルの価値を評価するための重要な指標の一つ。2024年10月時点、アスターネットワークのTVLは、2200万ドル。プロトコル別のTVLトップ3は以下の通り。
- Algem(1200万ドル):リキッドステーキング。アスターネットワーク上のネイティブな流動性ステーキングdApp。Astarの流動性を維持するためのソリューションを提供している。
- ArthSwap(1100万ドル):分散型取引所(DEX)。アスターエコシステムのネイティブトークンとマルチチェーントークンをDEXとしてサポートしている。ペアに流動性を提供して$ARSWを報酬として獲得できる。
- SiO2 Finance(460万ドル):レンディングプロトコル。EVM(イーサリアム仮想マシン)とWASM(WebAssembly)の両方をサポートしている。アスターネットワークで資産を簡単に預け入れたり借り入れたりすることができる。
- 資金調達総額: 約4400万ドル
- 大規模な投資ラウンド: 2022年1月、2200万ドルの戦略的資金調達
- リードインベスター: Polychain Capital
- フォロー投資家: Alchemy、GSR、Crypto.com Capital、Scytale Digital、Animal Ventures、Injective Protocol、DFG、Alameda Research、本田圭佑(エンジェル投資家)、ギャビン・ウッド、リチャード・マー、Web3FoundationとParityの幹部数名
アスターネットワークの将来性
2024年8月23日にAstar NetworkとAstar財団はソニーグループとStartaleの合併会社Sony Block Solutions Labsが開発したイーサリアムレイヤー2チェーンのSoneiumへ移行することを発表した。アスターネットワークの公式ドキュメントでSoneiumへの移行を中心に今後のロードマップを公開している。
Soneiumへの移行によるプラスの影響
- シーケンサー収益による価値獲得
Soneiumからのシーケンサー収益の大部分はアスターと将来の製品の開発に再投資される。 - スーパーチェーンとChainlink CCIPによるアスターの実用性の拡大
スーパーチェーンネットワーク内の著名なチェーンとの相互運用が可能となる。 - アスターユーティリティとAstar Foundationの取り組みの拡大
アスター保有者の大多数の需要に一致しそれを満たすユーティリティを追加する計画を提案してSoneiumでアスターの適用範囲を拡大する。 - アスター保有者への将来的な報酬
アスターを保有することの潜在的なメリットを理解できるように位置付けている。 - 流動性の提供
SoneiumのDeFiプラットフォーム上に共同流動性プール(ASTR-ETH、ASTR-USDCなど)を作成して高収益のファーミング報酬を提供する。 - ステーキングプログラム
アスターのユーザーがSoneiumレイヤー2にトークンをステークすることへの準備 - 成長イニシアチブ
SoneiumとAstarの共同キャンペーンでSoneiumのDeFiエコシステム内でASTRを使用する利点を強調しアスターの認知度と採用を促進する。
期待される今後の動向
アスターネットワークは2024年3月にイーサリアムのレイヤー2ソリューション「Astar zkEVM」をローンチした。ゼロ知識技術によるValidity proofを使用しトランザクション速度が高速でガス代などの手数料を抑えることに成功した。さらに、Astar zkEVMはEVM等価性を有するブロックチェーンで既存のスマートコントラクトや開発ツール、ウォレットに対応している。ソニーのイーサリアムレイヤー2ブロックチェーンのSoneiumに移行することで今後は更なるユースケースの拡大と発展が期待される。