概要
イーサリアム(ETH)は、時価総額で2位に位置する暗号資産(仮想通貨)であり、パブリック・ブロックチェーン。ロシア系カナダ人のプログラマー兼起業家であるヴィタリック・ブテリン氏らが2014年にホワイトペーパーを発表し、2015年7月にブロックチェーンが起動された。
ETHは、トランザクション処理やスマートコントラクト計算にかかる手数料(ガス代)の支払いに使用される。バリデーター(検証者)はETHをステーキングし、ブロックチェーンの安定稼働に貢献した対価としてETHで報酬を得る。
価格
- 年初来高値(2024年3月):4,080ドル(約65万円)
- 年初来騰落率(YTD):+39.57%
- 過去最高値(2021年11月):4,870ドル(約77万円)
価格予測
米資産管理大手VanEck:2030年までに2万2,000ドル|24年6月
英金融大手SCB銀:24年末までに8000ドル到達|24年6月
時価総額|関連銘柄
イーサリアム(ETH)の時価総額は2024年7月時点で約3720億ドル、「スマートコントラクト」セクターの中ではトップに位置する。同セクターで2位のBNBの時価総額は約800億ドル。以降は、ソラナ(SOL):約650億ドルが追従する。
主な出来事
- 2021年2月:米CFTC、イーサリアム先物を承認
- 2022年9月:大型アップグレード「The Merge(ザ・マージ)」完了、PoSへ完全移行
- 2023年10月:米SEC、イーサリアム先物ETFを承認
- 2024年5月:米SEC、イーサリアム現物ETFの一次承認
エコシステム支援組織
イーサリアム財団:2014年に設立された非営利団体。エコシステムの拡大にフォーカスしたプロジェクトや関連技術を支援することを目的とする。主要なDEX(分散型取引所)「Uniswap(ユニスワップ)」にもグラント(助成金)を提供した。2014年以来、開発者や貢献者向けの年次カンファレンスであるDevconを開催している。
Consensys(コンセンシス):イーサリアムの共同創設者であるジョセフ・ルービンによって2014年に設立された技術企業。主要なウォレット「メタマスク」やAPI「Infura」などを手掛けている。
トークンアロケーション
イーサリアムのICOは2014年7月22日から9月2日まで実施され、その期間に約6,000万ETHが作成され、初期投資家に配布された。イーサリアムの共同創設者と初期投資家には約1,200万ETHが割り当てられ、イーサリアム財団には約600万ETHが割り当てられた。ICO中に調達された総額は約31,529BTCで、当時約1,830万ドル(約20億円)に相当。
イーサリアムは2015年7月30日に正式に起動し、その時点で初期流通量は約7,200万ETH。事前採掘はなく、すべてのトークンはICOを通じて配布されるか、創設者とイーサリアム財団に割り当てられた。
Arkham Intelligenceによると、ヴィタリク・ブテリン氏のETH保有量は約245,279ETH(2024年7月時点)。
Total Value Locked(TVL)
Total Value Locked(TVL)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームやプロトコルの価値を評価するための重要な指標の一つ。2024年7月時点、イーサリアムのTVLは、533億ドル。プロトコル別のTVLトップ3は以下の通り。
- Lido(300億ドル):リキッドステーキング。ETHを預けてステーキング報酬を受け取りながら、stETHを運用できる。
- EigenLayer(150億ドル):stETHを預け入れ、その価値に裏打ちされたセキュリティを提携プロトコルに提供。ガバナンス上のリスクを軽減する。
- AAVE(100億ドル):融資プロトコル。ERC20トークンを担保として預け入れることで、保証金の一定割合を借り入れできる。または保有資産を貸し出すことで金利を稼げる。
- サージ: ロールアップとデータシャーディングによるスケーラビリティ向上
- スカージ: MEVがもたらす検閲耐性、分散化、プロトコルのリスクに対処
- パージ: ノード実行における計算コストの削減とプロトコルの簡素化
イーサリアムの将来性
ロードマップ
イーサリアムは計画的なアップグレードを通して、スケーラビリティ、セキュリティ、サステナビリティを向上する。ロードマップは随時更新されるため、各アップグレードの正確なタイミングを予測するのは難しい。主に以下のステージが含まれるが、一般向けにはこれらの用語は用いない方針だ。
期待される今後の動向
2024年5月、イーサリアムの現物投資型ETF(上場投資信託)が米国で初めて8銘柄承認された。取引所側の書類「19b-4」が承認された段階で、発行者側の「S-1登録届出書」の承認を待って取引が開始される。ETFが証券口座で取り扱われるようになることで、機関投資家や一般投資家の間口がさらに広がり、資金流入が期待される。
投資リスク、懸念材料
米証券取引委員会(SEC)は24年6月、メタマスクウォレットの開発などを手掛ける米Web3ソフトウェア企業Consensysを証券法違反で提訴。「MetaMask Swaps」と「MetaMask Staking」を対象としており、SECは「未登録ブローカーとして数億ドルの手数料を徴収し、数万の未登録有価証券を提供した」と主張する。
SECはステーキングを投資契約とみなしており、今後の訴訟の行方によっては、イーサリアムの投資手段がさらに制限される可能性がある。SECの方針に対応するため、イーサリアムETF申請からは各社がステーキング機能を除外する対応を余儀なくされている。