イーサリアム(ETH)は、時価総額で2位に位置する暗号資産(仮想通貨)であり、パブリック・ブロックチェーン。ロシア系カナダ人のプログラマー兼起業家であるヴィタリック・ブテリン氏らが2014年にホワイトペーパーを発表し、2015年7月にブロックチェーンが起動された。
ETHは、トランザクション処理やスマートコントラクト計算にかかる手数料(ガス代)の支払いに使用される。バリデーター(検証者)はETHをステーキングし、ブロックチェーンの安定稼働に貢献した対価としてETHで報酬を得る。
価格
- 現在価格(2025年8月10日時点):約 4,185 ドル(約 618,000 円)
- 年初来高値(2025年8月10日時点):約 4,185 ドル(約 618,000 円)
- 年初来騰落率(YTD):+25.78%
- 過去最高値(2021年11月):4,870 ドル(約 719,000 円)
価格予測
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ETH価格は2025年末までに4,900ドル(約71.5万円)、2028年までに15,800ドル(230.5万円)に達するとConsensysは予測|25年7月
時価総額|関連銘柄
イーサリアム(ETH)の時価総額は2025年1月21日時点で約3,920億ドル、「スマートコントラクト」セクターの中ではトップに位置する。同セクターで2位のソラナ(SOL)の時間総額は約1,160億ドル。以降は、BNBが約980億ドルで追従する。
主な出来事
- 2021年2月:米CFTC、イーサリアム先物を承認
- 2022年9月:大型アップグレード「The Merge(ザ・マージ)」完了、PoSへ完全移行
- 2024年5月:フィデリティ含む5つのイーサリアム現物ETF、7月23日に登場へ
- 2025年8月:新構想「リーン・イーサリアム」とは? 今後10年の開発目標=ETH財団
- 2025年8月:イーサリアムが8カ月ぶりに4000ドル突破、上場企業のETH財務戦略が背景に
エコシステム支援組織
イーサリアム財団:2014年に設立された非営利団体。エコシステムの拡大にフォーカスしたプロジェクトや関連技術を支援することを目的とする。
25年3月に組織改革で共同エグゼクティブ・ディレクター制を導入。2018年からエグゼクティブ・ディレクターを務めた宮口あやは、2月25日付でEFの理事長(president)に就任。
共同創設者ヴィタリック・ブテリンは、イーサリアムコミュニティ全体の方向性や、 EFの価値観に沿った進展を促す役割を担う。
Consensys(コンセンシス):イーサリアムの共同創設者であるジョセフ・ルービンによって2014年に設立された技術企業。主要なウォレット「メタマスク」やAPI「Infura」などを手掛けている。
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トークンアロケーション

イーサリアムのICOは2014年7月22日から9月2日まで実施され、その期間に約6,000万ETHが作成され、初期投資家に配布された。イーサリアムの共同創設者と初期投資家には約1,200万ETHが割り当てられ、イーサリアム財団には約600万ETHが割り当てられた。ICO中に調達された総額は約31,529BTCで、当時約1,830万ドル(約20億円)に相当。
イーサリアムは2015年7月30日に正式に起動し、その時点で初期流通量は約7,200万ETH。事前採掘はなく、すべてのトークンはICOを通じて配布されるか、創設者とイーサリアム財団に割り当てられた。
同財団は、ステーキングやDeFi(分散型金融)で運用を行い、財務の持続可能性を強化する。財務管理方針については、運用しているイーサリアムの割合などを記載して年間レポートをより詳しくする方針。
Arkham Intelligenceによると、ヴィタリク・ブテリン氏のETH保有量は約245,279ETH(2024年7月時点)。
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Total Value Locked(TVL)
Total Value Locked(TVL)は、DeFi(分散型金融)プラットフォームやプロトコルの価値を評価するための重要な指標の一つ。2025年8月時点、イーサリアムのTVLは、915億ドル。プロトコル別のTVLトップ3は以下の通り。
- Lido(380億ドル):リキッドステーキング。ETHを預けてステーキング報酬を受け取りながら、stETHを運用できる。
- AAVE(350億ドル):融資プロトコル。ERC20トークンを担保として預け入れることで、保証金の一定割合を借り入れできる。または保有資産を貸し出すことで金利を稼げる。
- EigenLayer(200億ドル):stETHを預け入れ、その価値に裏打ちされたセキュリティを提携プロトコルに提供。ガバナンス上のリスクを軽減する。
- サージ(Surge):ロールアップとデータシャーディングで取引処理能力を向上。
- スカージ(Scourge):MEVに起因する検閲や集中化のリスクを抑制。
- パージ(Purge):ノード運営の負担を軽減し、プロトコルを簡素化。
- 現物償還機能(5月10日申請)
ETFシェアを直接ETHに交換できる仕組みであり、市場への影響を抑えつつ現物との連動性を強化する。 - ステーキング機能(5月9日協議)
保有者が年利2.5〜4%程度のステーキング報酬を得られる可能性があり、機関投資家の参入を促す要因となる。
イーサリアムの将来性
ロードマップ
イーサリアムの開発は長期方針に沿って進む。
2025年5月のペクトラでは、1ノードの最大ステーク量を2,048ETHに拡大(EIP-7251)。大口保有者の運用効率が向上し、ETF発行企業にとってステーキングが現実的選択肢となった。将来的に、値上がり益とステーキング報酬を併せ持つ「ステーキング対応ETF」実現の基盤となる。
2025年10〜12月予定のフサカでは、データ可用性を効率的に検証する「PeerDAS」を導入し、信頼性と処理効率を強化する。
次期グラムステルダムでは、スマートコントラクトを標準化・最適化する「Ethereum Object Format(EOF)」を採用し、EVMの拡張性と将来性を高める。
これらの改良は、技術基盤の強化とともに、企業利用や金融商品展開を加速させる。
期待される今後の動向(2025年8月現在)
イーサリアム現物ETFを巡っては、ステーキング報酬還元をはじめ、複数の機能追加が検討されている。
また、企業によるETH(イーサリアム現物ETF)購入も加速SharpLink GamingやBitMine Immersion TechnologiesがETH取得を積極的に進めており、流通ETHの約1.6%が企業保有に転換しており、ETFによる購入ペースにも匹敵する水準に達している。
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投資リスク、懸念材料
米証券取引委員会(SEC)は24年6月、メタマスクウォレットの開発などを手掛ける米Web3ソフトウェア企業Consensysを証券法違反で提訴。「MetaMask Swaps」と「MetaMask Staking」を対象としており、SECは「未登録ブローカーとして数億ドルの手数料を徴収し、数万の未登録有価証券を提供した」と主張する。
SECはステーキングを投資契約とみなしており、今後の訴訟の行方によっては、イーサリアムの投資手段がさらに制限される可能性がある。SECの方針に対応するため、イーサリアムETF申請からは各社がステーキング機能を除外する対応を余儀なくされている。