
メインネットの実行スケジュールを延期
次期大型アップグレード「Pectra(ペクトラ)」の二つのテストネット「Holesky」と「Sepolia」の両方で不具合が発生したことを受け、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のコア開発者会議が6日に開催され、今後の対応が話し合われた。
イーサリアムのコア開発者らは、さらなる情報と検証が必要であるとして、メインネットでの稼働を延期することを決定した。
本来ならこのオンライン会議で、ペクトラのメインネット稼働日時を決定する予定だった。
2月24日に有効化されたHoleskyテストネットでは、クライアントの入金コントラクト・アドレスの設定ミスにより、チェーンが分岐。ネットワークがファイナリティに達することができない事態が発生した。
開発者らは、迅速に問題を特定して修正を行ったが、ノードによる同期維持が困難な状況が続いており、Holeskyテストネットは依然として正常に稼働していない状態だ。
さらに3月5日には、もう一つのテストネットSepoliaでアップグレードが有効化されたが、実行レイヤーのクライアントで、トランザクションをブロックに含めることができない問題が発生。ネットワークが一時停止する事態に陥った。
Sepolia特有の許可型の入金コントラクトのバグであると原因が特定され、修正が適用された結果、現在、Sepoliaネットワークは正常に稼働している。
各テストネットで発生した障害は、いずれもペクトラ自体に由来するものではなく、実行クライアントソフト側の設定に関する問題だった。
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シャドーフォークの立ち上げを決定
6日のオンライン会議で開発者らは、ペクトラのメインネット実装スケジュールに過度の遅延が生じないよう、Holeskyテストネットの「シャドーフォーク」を作成することを決定した。
シャドーフォークとは、既存のテストネットを複製して、並行運用される一時的なネットワークで、不要になると破棄される。
Holeskyは、イーサリアム開発者にとって極めて重要なテスト領域だ。シャドーフォークを開始することで、Holeskyネットワークが修正されている間も、ペクトラの機能検証を継続して行うことが可能になる。
現在の状況では、少なくとも2〜3週間の追加テストが必要であり、Holeskyネットワークの稼働は、3月28日頃になる見込みだという。なお、開発者らはHoleskyのシャドーフォークは来週にも稼働できると予想している。
シャドーフォークを使用してアップグレードの検証を行うのは、今回が初めてではない。
2022年にイーサリアムがPoW(プルーフオブワーク)からPoS(プルーフオブステーク)に移行した大型アップグレード「The Merge(マージ)」の際には、複数のシャドーフォークが徹底的な検証の場として活用された経緯がある。
ペクトラがもたらす機能
ペクトラは、イーサリアムネットワークのさらなる高速化、スケーラビリティの向上、そして操作性の改善を目的としたアップグレード(ハードフォーク)だ。一般ユーザーやバリデーター、開発者などすべての関係者に対し、イーサリアムの利用体験を向上させる新たな機能が用意されている。
ペクトラは、イーサリアムネットワークの最も重要な機能拡張の一つとみなされており、その実装の複雑さからリスクを軽減するために、二段階に分けて実施される。
第一段階では、ユーザー体験の向上やバリデータに対するステーキング報酬など、機能改善に焦点が当てられ、第二段階では、スケーラビリティの改善など技術的な面に焦点が当てられる。
具体的な改善点として、ウォレット機能の強化、バリデータのステーキング上限の引き上げ、BLOB(ブロブ)数の上限倍増によるレイヤー2のスケーラビリティ向上が含まれている。
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