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経済学者「仮想通貨ビットコイン普及における”最初の難関”を突破」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨調査大手企業が報告:個人取引活動がより活発的に
仮想通貨関連調査会社のChainalysisがビットコインの現状に関する報告書を9月24日に公開。調査では、 2017年末から現在にかけて、ビットコインを所有する個人の割合が高まっている事が判明した。ビットコインが多くの人々によって所有されることで、個人が持つ影響力が弱まり、ボラティリティの低下に繋がると示唆された。

ビットコインの高まる分散化

仮想通貨関連調査会社のChainalysisは9月24日に、 ビットコインの現状に関する報告書を公式ウェブサイト上で公開しました。

同報告書によると、2018年8月の時点で市場に出回っているビットコインにおいて、機関投資家や企業ではなく、個人が保有するウォレットにおける保有率が上昇していることが明らかにされました。

そして、(秘密鍵の紛失や、まだマイニングされていないコインを除く)ビットコイン全体の32%に当たる480万BTCが8月31日時点で何らかの取引が行われた個人ウォレットに保有されており、その割合は2017年末の380万BTCの26%を大きく上回ると記述されています。

Chainalysisは以前、2017年12月から2018年4月の間に240億ドル分(約2.7兆円)のビットコインが長期投資家から投機家に売却されたと示しており、個人ウォレットでの保有率が増加した要因になっていると考えられています。そして、この大量のビットコインの売却が、仮想通貨市場を下落に導いた可能性も考えられると記述されました。

しかし、コインポスト でも取り上げたようにビットコインのほとんどがクジラと呼ばれる大量保有者によって保持されており、中央集権的な側面を払拭できていなかった現実を考慮すると、この個人保有者の増加は、ビットコインのさらなる非中央集権化の追求に向けた良い傾向であると言えるでしょう。

Chainalysis所属の経済学者、Philip Gradwell氏も今回のデータについて以下のように前向きな姿勢を見せました。

仮想通貨を個人的に保有する人々が増えてきている。 それは、ビットコインを人々に普及させる上での最初の難関を突破したとも言えるだろう。

ビットコインの高まる投機

また、同報告書では、ビットコインの保有目的を最も流動性の高いM0から最も流動性の低いM3まで4つのカテゴリーに分けられ、そのカテゴリー別の保有割合も算出されています。

出典:Chainalysis

  • -M0 投機としてのコイン
  • -M1 業務取引に使用されるコイン
  • -M2 投資としてのコイン
  • -M2 秘密鍵が紛失した可能性のあるコイン
  • -M3 秘密鍵が紛失したコイン、未だマイニングされていないコイン

上記の図を考察すると、未だ投資目的で保有されているコインが30%と投機目的の23%よりも多くの割合を占めていることが分かります。

しかし下記の図のように、その割合の推移も時系列で分析された結果、投資目的の割合が減少し、投機目的および、業務取引に使用されるコインの割合が増えてきていることが判明しました。

出典:Chainalysis

このように、長期的に見ても投機目的として保有されている割合が着実に高まってきていると考えられます。

なお、市場に存在しているビットコインウォレットは、2850万個を超え、その中でも10BTC以上を所有する者は僅か10万個ほどであると考えられていることから、その保有目的が何であれ、多くの人々が少量ずつ保有することで、そのネットワーク上における一人一人の影響力が低下し、価格の安定に繋がっていると示唆されています。

同じくChainalysis所属の経済学者、Kimberly Grauer氏も、以下のように言及しました。

これは、ボラティリティ(価格の急激変動)の低い、成熟した市場へなりつつある兆候だ。 また未だ市場にあるビットコインの大半が投資家によって所有されているが、少なからず分散化が進んだと言える。

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