はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米SECコミッショナー「近い将来ビットコインETF実現は十分に可能」仮想通貨への期待感と申請状況を徹底解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

米SECとビットコインETF
SECコミッショナーの一人Hester Peirce氏が、「最初のビットコインETFの実現は近い将来十分に可能」だと言及した。また、これまであまり明かされていなかったHester氏の考える仮想通貨への期待感と向き合い方、また申請状況に関する動きを徹底解説している内容は必見だ。

クリプトママが語る仮想通貨とビットコインETF

年末を前に仮想通貨市場は大きく暴落、年初来安値を断続的に更新する状況に陥っていることから、これまで市場における起爆剤として注目されていた「ビットコインETF」を期待する声も小さくなってきている。

しかし、GraniteShares、Proshares、Direxionによる計9つのビットコインETFの申請に対して、再審査を行う旨を発表している他、最も期待されているVanEck版CboeビットコインETFの審査期限も2期残している状況にあり、米SEC側も積極的に取り組んでいる姿勢を示している。

SECの中で審査に関する意見交換を行うコミッショナーは現在4名いるが、その中でビットコインETF推進派として知られるHester Peirce氏(クリプトママ)の最新インタビューが、海外でポッドキャストを運営するwhatbitcoindidで公開された。

本記事での注目点は、「最初のビットコインETFの実現は近い将来十分に可能」だと言及した点にあるが、これまであまり明かされていなかったHester氏の考える仮想通貨への期待感と向き合い方、また申請状況に関する動きを徹底解説した。その中で言及された注目の内容を厳選し掲載する。

SEC コミッショナーの構成と最終判断までの流れ

SEC のコミッショナー構成は代表であるチェアマン一人とコミッショナーが4人の計5人からなる。

4人のコミッショナーは民主党と共和党から二人づつ選ばれており、バランスの良い意見交換が出来るように構成されており、新しい規制の決定や古い規制の変更などを行う際は、コミッショナーにより検討した上で、意見が一致しない場合投票により最終決定が行われる。

Winklevoss兄弟が申請をしていたBitcoin EFT議論時も、Hester氏は認めない動きに対し「NO」に投票したと言及している。

その当時より彼女がSECの否決判断に反対する理由として以下の見解を述べた。

私はイノベーションを阻害する役割になる事を拒否します。特にこの役割が我々が本来するべき投資家の保護、資本の育成、効果的で統一の取れたフェアな市場の促進をする役割とは異なり、またはその意向が一貫していない場合は、反対の声をあげたい。

彼女の見解としては、SECは投資家や市場を守るための必要最低限の規制は必要だが、過剰に干渉するのはイノベーションを抑制する事になり、現在様々なイノベーションに促されたダイナミックな経済を破壊しかねない、という懸念を示していることになる。

イノベーション支持

「クリプト・ママ」の愛称でも知られ、仮想通貨に対する理解を示している彼女だが、実際には仮想通貨支持派というよりもイノベーション支持派として革新的な仮想通貨に注目している旨を明らかにした。

ビットコイン支持かイノベーション支持か?という質問に対し以下の様に述べている。

私はイノベーション支持派です。ただ仮想通貨とそれを支える技術には大きな可能性があると感じています。今後どう発展するか楽しみではありますが、仮想通貨技術のどこが成功するか、という事を特定する立場には立つことはありません。

これらの見解からもわかるように、今でも仮想通貨の勉強を欠かさない一方で、ビットコインなど仮想通貨の所有していないという。

物事を客観的に見る立場からも、仮想通貨に限らず、金融関連の投資全般にどこまで関与するかという点に、細心の注意を払っているとコミッショナーとしての責任感を示した。

SECの決定に関する3つの鍵

否決されたWinklevoss兄弟のETFを含めSECの決定に関する3つを重要なカギとして挙げた。

Section 6B

Winklevossから提出された提案は証券取引法のSection 6B を満たしている点。

1934年証券取引所法でのSection 6(b)(5)という条項は、「不正や価格操縦を防ぐことで投資家などの利害を守る仕組み」といった内容が記載されている。

不承認の決定は今後の制度化を阻害

2つ目に挙げたのが、不承認の決定は今後の制度化を阻害につながり、投資家の保護への阻害も意味するとする点で、彼女は以下のように見解を述べている。

この可能性がある市場を認めないのであれば、それに対する制度化へも繋がらない。

(適正な)規制がなければ投資家へ安定した保護を約束出来ない事に繋がる。

確かにこの市場はユニークで、機関による規制などの制度化などに反対する意見も多く、現存の金融システムとは隔てたいとの考えも強い。

しかし様々な投資家への魅力や一般人のポートフォリオとしての魅力を提供している事は様々な意見の交換に繋がり市場発展に欠かせない点であり、その為にはある程度の規制は必要で、経験豊富な機関による適切な制度化は逆に市場を育む事につながる。

要するにETF承認による制度化の恩恵は多大である点を主張している。

不承認決定はイノベーションをも抑制する

イノベーションの発展は重要であるが、規制を課すというコミッショナーの立場としては、新しい市場を公認した後、もしもそれがうまくいかなかった場合に直接自分たちへ苦情やクレームが来るという問題もあることは理解している。

しかし、彼女はアメリカが世界のイノベーションセンターとなる事を望んでおり、バランスをうまく取れるようにしていく事が今後の課題となるであろうと言及した。

米SECの仮想通貨へのアプローチ

米SECとしては、仮想通貨に対しても様々なエキスパート(専門家)の意見を取り入れて、今後市場の扉をオープンにしていきたいと考えている旨を明らかにした。

ETF申請

Winklevoss兄弟によるETF申請は却下されたが、ケースはまだオープンであると強調した。

その他も多くのケースが申請されており承認待ちになっている点や、ウェブサイト上でも閲覧できる点、意見書としてコメントを添える事も出来ることについて触れ、投資家への積極的な関心、または参加を促した。

実際に彼女も寄せられたコメントの多くを読んでいるようで、特によく考えられた意見やアイディアは今後、実際のSECの行動にも繋がるとして重要視している。

コミッショナー同士の会議

米SECでは、サンシャイン・アクト(Sunshine Act)という法律があり何かを討議する際、法的制裁などを課す場合以外は一般公開で話し合わなければいけない決まりがあり、他のコミッショナーも彼女の仮想通貨に対する考えも共有しているという。

申請中のケースについても、それぞれ異なるの課題などがあることから、各申請ごとケース・バイ・ケースで話し合う事になるとしたうえで、近い将来に最初のETFが承認される事も十分可能であると言及した。

ガイダンス

彼女が最も強調したい点として挙げたのは、「我々は法の執行により圧力をかけるのではなく、ガイダンス(案内役)としての役割を担いたい」という点だ。

法的な処置はできるだけ避けたいというのが本音であるとし、その意味として、SECの方針は明確である事が重要で、ICOなどもSECのコンプライアンス部門が、企業や参加者へ分かり易く理解してくれるように努めていくとしている。

他機関との協力

SEC以外の規制機関においても、仮想通貨に対する規制に関してお互いに課題などを話し合いながら協力しているようだ。

また国内のみならずに全世界の機関へ、前例的な法案などを共有しながら、ボーダーレスの仮想通貨の取り扱いに関して研究している。

特にこれまでの金融資産と異なる特徴を持つ仮想通貨への研究は、日本の金融庁でも研究会を開くなどして、研究を行っているが、過度な規制を課さないために、極めて重要な動きであることは間違い無いだろう。

今後への期待

最後にHester Peirce氏は、仮想通貨業界に対する今後の期待を、自身の言葉で述べた。

様々なイノベーションのアイディアから、どの様に社会を改良していけるかという事を信じて開発しているのが仮想通貨のコミュニティであり、そこが彼女が特に期待している所だ。

もちろん全てがうまくいくわけではないが、ポジティブなアイディアを生み出そうと尽力しているのが仮想通貨コミュニティであり、これまでの金融市場と違い、全く新しいフレッシュなアイディアが次々に出てきているのを見ているのはとても楽しい経験である。

私がこの仕事に情熱があるのは、いかに世界を良くしていけるか、というアイディアを持った人達を、如何に助けていけるかということで、とてもやりがいがある。

また意見交換なども積極的にしており、コミッショナーと話し合いたいのであればいつでも来て話しあう事を奨励しています。

と言及し、メールアドレスを提示、コミュニティによりそうイノベーション重視の考えを今後も一貫していく姿勢を示した。

▶️本日の速報をチェック

CoinPostの関連記事

仮想通貨市場の起爆剤『ビットコインETF』はなぜ承認されないのか:今後の展望と最新状況
コインチェック事件以降、暴落と低迷を続けている今年の仮想通貨市場において、市場回復の最も大きな要因として期待視されるビットコインETF。未だ米SECが承認しない理由や今後の課題をまとめた。
最有力ビットコインETFの申請企業、SECのコミッショナーに承認される根拠を明示|仮想通貨市場状況もプレゼン
ビットコインETFの提供を申請中のVanEck社は先日SECの一人コミッショナーと面会し、承認に当たる根拠やSECの二重規範について、プレゼンテーションを行った。
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05/17 土曜日
11:00
ビットコイン長期保有数1437万BTCに到達も、利確売り強まる=アナリスト分析
ビットコインの長期保有者が3月から5月にかけて利益確定を加速。支出利益率は71%増加し227%の平均リターンを記録。長期保有量は1437万BTCに達するも、市場サイクルの分配フェーズへの移行を示唆。
10:10
トランプ家のWLFI、民主党議員による調査要請を正式拒否
トランプ一族の金融企業WLFIが上院による調査を拒否した。政治的動機と批判し、同社は説明責任や米ドル優位性を指針としていると主張。倫理規定違反の疑惑なども否定している。
09:02
ETH・BTC比率が5年ぶり急騰、アルトシーズンの到来示唆か
イーサリアム/ビットコイン(ETH・BTC)価格比率が過去5年最低水準から38%急反発。ETFによる買い増し、取引所流入減少などの指標から需要増加・売却圧力低下が鮮明に。「極端な過小評価ゾーン」からの回復が示すアルトコインシーズン到来の可能性を分析。
07:50
ビットコインで利回り獲得、Solvがアバランチ基盤の新トークン発表
仮想通貨ビットコインの保有者にRWAの利回り獲得手段を提供するため、Solv Protocolはアバランチ上にSolvBTC.AVAXをローンチ。ローンチの目的や仕組みを説明した。
07:30
10億ドルのビットコイン投資を検討、米上場のシンガポール医療企業
シンガポールの医療企業バーゼル・メディカル・グループが10億ドル規模のビットコイン投資に関する交渉を開始。ストラテジー社に続く大規模企業BTC投資の新事例として注目される中、「革新的な株式交換契約」を通じてアジア医療企業最強の財務体質構築を目指す。
06:45
米裁判所、SECとリップルの和解案を「手続き上不適切」として却下 再申請へ
米連邦地裁がSECとリップルの和解申請を「手続き上不適切」として却下。民事訴訟規則違反が原因で、両者は適切な手続きでの再申請を迫られる状況に。
06:25
イーロン・マスクの『Kekius Maximus』切り替えでミームコインが2倍以上急騰
イーロン・マスク氏がツイッターのプロフィール画像とユーザー名をミームトークン「Kekius Maximus」に変更し、関連トークンが2倍以上急騰。昨年の900%上昇・急落事例に続くマスク氏のSNS活動による仮想通貨市場への影響力を示す展開に。
06:05
サウジ中央銀行、15億円相当のストラテジー株保有でビットコインに間接投資
サウジ中央銀行がセイラーのストラテジー社の株を25656株取得し仮想通貨ビットコインへの間接投資を開始したことが確認された。
05/16 金曜日
17:00
マスクネットワークとは?仮想通貨MASKの買い方・取引所まで徹底解説
Mask NetworkはSNS×Web3をシームレスに接続するSocial-Fiプラットフォーム。本記事では特徴とMASKトークンの買い方を初心者向けに解説します。
13:50
米ステーブルコイン法案、来週末までの成立視野に 次の「起爆剤」との見解も
米上院のステーブルコイン法案「GENIUS法案」で新たな超党派修正案が決定された。消費者保護や倫理規定が強化され、5月19日に討論終結投票が予定されている。
11:58
ビットコイン高値圏推移もアルトコインは上昇一服
仮想通貨ビットコインは104,100ドルと高値圏で推移、アルト市場ではメイプルストーリー(NXPC)はバイナンス対応で一時高騰したほか、XRPは7,300万ドル相当の大口売りとリップル和解手続き却下で下落した。コインベースはサイバー攻撃で最大4億ドルの損失も被害者への返金を約束した。
11:30
ブラックロックの「BUIDL」、初めてDeFiと接続へ アバランチ利用で
ブラックロックの米国債ファンド「BUIDL」がアバランチ上のプロトコル「Euler」に導入された。セキュリタイズは、機関投資家のDeFi参入を促進する一歩になったとしている。
10:55
加速する企業のビットコイン争奪戦、米上場のDDC社が5000BTC取得計画
香港発DDCエンタープライズが5000ビットコイン取得計画を発表。テザーの4812BTC購入、アデンタックスの8000BTC購入のための交渉、ウクライナの国家準備金構想など、企業・国家レベルでビットコイン争奪戦が激化。
10:15
FTX、債権者に7300億円規模の二回目返済開始へ
破綻した仮想通貨取引所FTXが5月30日から二回目の返済を開始する。米ドルで総額50億ドル規模が分配される予定だ。一部の債権者がこの資金で仮想通貨を買い戻す可能性も指摘される。
10:00
CoinMarketCap、独自ローンチパッド「CMC Launch」をリリース
仮想通貨取引所バイナンス傘下のCoinMarketCapが、ローンチパッドCMC Launchをリリースした。最初のプロジェクトに採用された永久先物のDEXのAsterがエアドロップを行う予定。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧