- XRPがデジタルアセットとしての利用普及とその懸念点
- リップル社は最新レポートにて、xRapidを含むリップルネット、デジタルアセットXRPの利用現状と展望を発表した。また同社の銀行部門責任者は現在仮想通貨分野の法的規制が明確でないため、xRapidは銀行に使用されていないと説明した。
XRPの利用普及と懸念点|状況まとめ
リップル社は、「2018年:ブロックチェーンの大きな進歩」という一年振り返りの報告書 にて、リップル社の製品、デジタルアセットXRP(リップル社による名称)の利用普及に関してまとめている。
まず、この報告書の最重要な点を以下のようにリストアップする
- リップルネット:40ヶ国、参加企業100社以上
- XRPを用いるxRapidの実利用金融機関:MercuryFX、Cuallix、Catalyst Corporate Federal Credit Union
- xCurrent最新の利用金融機関:サンタンデール銀行の「OnePay FX」アプリ、CoinOneのCrossアプリ
リップルネット参加企業とは
世界各国の様々な金融機関がリップルネット参加リストに入っているが、一部有名企業を抜粋し以下のようになる。
- サンタンデール銀行
- SBIホールディングス
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ
- みずほフィナンシャル・グループ
- 三井住友信託銀行
- Bank of America Merrill Lynch
- Barclays
- American Express FX International Payments
- MoneyGram
- Western Union
- サイアム商業銀行
さらに、米時間12月18日に行われた社内AMA質疑応答でCEOのGarlinghouse氏は、XRPおよびその他仮想通貨のことを「デジタル・アセット」とみなし、懸念されているXRPの有価証券問題に対し、複数の理由からXRPが証券でないことは明白であると回答した。
その最も大きな理由として、「リップル社が倒産しても、XRPは変わらず世界中の取引所で取引は依然と可能であり、リップル社がXRPエコシステムの一部でしかない」と発言した。
そして、同氏は、今年のはじめに2018年は多くの銀行がXRPを利用することになると予想していたが、実際のところ銀行からの動きはまだ見られないものの、今回のAMAでは、「10月に発表されたxRapidの実利用機関であるCatalyst Corporate Federal Credit Unionは今後銀行からの利用が期待される」と言及した。
なお、xRapidを利用している仮想通貨取引所4社も述べ、Bitstamp、Bittrex、Bitso、coins.phとなる。
Catalystとは
Catalystは、1400以上の銀行その他金融機関へサービスを提供する信用協同組合。
要するに、Garlinghouse氏は、xRapidを利用しているCatalystを通して、今後銀行からの利用も見込めるのではないかとポジティブに見ている。
上記報告書では、CatalystのCOOを務めるBrad Ganey氏はこのようにxRapidを讃えている。
伝統国際送金システムは、価格、速度と利便性という現在の需要観点を満たすことができなくなっている。ブロックチェーン技術、特にリップル社のxRapidは、このような問題を解決してくれる。
決済サービスの進歩
他にも、2018において、サンタンデールとCoinOneのアプリが現在アジア、欧州、南アメリカに向けてリップルの技術でより便利な送金サービスを提供することができるようになってきている。世界規模で、数百万のユーザーがこのようなサービスから恩恵を受けている格好であるとも掲載されている。
また、送金決済の摩擦を緩和するために、リップル社のユーザー企業BeeTechが先月、SWIFTの手数料を無くし、トランザクションで発生する20ドルの手数料を2ドルまで減らすことができた事例も見られた。
XRPとxRapid利用の懸念点
一方で、現状、仮想通貨分野の法的規制が明確でないため、有力製品=xRapidは銀行では使用されていないことを、リップル社の銀行部門責任者を務めるDelatinne氏は指摘した。
Due to regulation uncertainty, NO banking institutions are using xRapid as of now, ONLY payment service providers.
— Steven Bull From the Diep (@DiepSanh) December 18, 2018
Marjan Delatinne, Ripple
NOV18#XRP #xrapid #ripple #iov pic.twitter.com/QeLxLQQaKJ
12月18日に投稿されたこのツイートがコミュニティ内で話題になっている。
法的規制の不透明性によって、現時点でxRapidが使用されているのは、決済サービス提供企業(上記Corporate Federal Credit Unionなど)のみとなっており、銀行機関における採用は始まっていない。
そのツイートでは、リップル社の銀行部門責任者を務めるMarjan Delatinne氏(以下、Delatinne氏)が11月18日にEuro Finance Tech 2018に登壇した際の動画も添付され、xRapidの現状が語られた。
彼女は、ツイートの内容にもある通り、動画内で、現状の仮想通貨規制の不透明性を指摘し、銀行がxRapidを使用できる環境が整っていないことを主張した。
世界中のあらゆる銀行は、各管轄の規制や法に従わなければならず、中央銀行によって取り組みが制限される場合もあるのだ。実際、韓国で送金モバイルアプリなどを提供するCoinone Transfer社も、政府が仮想通貨による送金業を規制していることから、仮想通貨XRPを使用した送金方法であるxRapidは韓国で採用することが難しいと主張している。
規制の不透明性というネガティブな側面を主張したDelatinne氏ではあるが、彼女は、その後、アメリカからメキシコへのXRPを使用した国際送金を例に挙げ、仮想通貨XRPの将来性を高く評価した。そして、XRPを使用するxRapidは仮想通貨が国際経済を構築する手助けになるツールであることも言及されている。
このように、現時点でxRapidが銀行によって使用されていない事実は否定できないが、今後、仮想通貨分野の規制枠組みが明確化していくことで、その普及が進んでいくことが期待されている。
XRPの注目度こそ増しているが、現在各国で議論されている仮想通貨関連規制が整うことで、xRapid実利用に向けた必要事項であること、またメインステージへと変化する条件であることが示唆された形だ。
Grey82 / Shutterstock.com
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