- 米民主党大統領選候補者の仮想通貨規制宣言
- 1人の民主党候補者は明確な規制を自分自身の選挙政策として取りあげた。複数の連邦政府機関や州によって異なる仮想通貨規制が招く混乱を取り除く事を目指す。
米民主党大統領選候補者の仮想通貨規制宣言
米国の2020年大統領選候補者の1人である民主党起業家Andrew Yang(楊安澤)氏は選挙に向けて、仮想通貨(暗号資産)に関する政策宣言を公開した。
Yang氏は個人や機関が仮想通貨に投資する際に、不透明な規制環境が招いている市場不安などを払拭するために、明確な仮想通貨規制ガイドラインを作ることを自身の大統領キャンペーン政策の一環としている。なお、Yang氏は現在立候補した10人以上の民主党党員の中で唯一の仮想通貨擁護派である。
上述の政策宣言によると、現在連邦レベルではSECやCFTCなど複数の政府機関が仮想通貨の管轄権を主張し、異なる規制や政策を設けるとしている中で、50の州においても様々な法律や規制が散在している。このような規制分散化は市場に混乱を及ぼしており、欧州の国や日本などに規制の健全化や市場の促進化の妨げになっている。
よって、Yang氏は仮に大統領になれば、連邦政府による明確な仮想通貨市場のガイドラインが自分自身の急務となり、その主な政策目標をこのように掲げた。
- 仮想通貨トークンの定義、有価証券に該当する性質を明確化。
- 連邦政府機関の仮想通貨市場に対する管轄権を定める。
- 仮想通貨における消費者保護を提供する。
- 仮想通貨の所有、売却および取引に科せられる税務を明確化。
- 統一した仮想通貨フレームワークを作り、州の規制を無効化する。
- なお、ワイオミング州の仮想通貨法律や国会の「トークン分類法」の立法者たちと連携し、それらの法律法案モデルを新たな連邦規制のベースにする。
現在SECのスタンスでは、ビットコインとイーサリアムのみが有価証券と見なさず、その他のICOトークンに関しては先日公開した新たなガイドラインにより、有価証券に該当するか否かはSECと相談する必要がある。(CFTCは基本、仮想通貨をコモディティ(商品)として取り扱う方針)つまり、規制のギャップを埋めなければ、不明瞭な規制環境では企業などに敬遠されてしまう可能性が非常に高い。
先日Warren Davidson国会議員が主導で提出した「トークン分類法」は仮想通貨の定義を明確にし、既存の証券法を修正しようとしているが、業界の有識者や弁護士からはかえって規制の混乱を増幅しかねない意見も多く見られた。
一方で、ワイオミング州ではデジタルアセットを複数のカテゴリーに分類し、はっきりとした規制であるため、先進的な仮想通貨法的整備で業界に賞賛されている。
実際、Yang氏の政策方針は仮に大統領になればとの仮説だが、すでに米政治の話題の中心となっている2020年大統領選では、仮想通貨に関する政策は今まで先例のないものとして、業界からは支持の声も多い。なお、同氏はオバマ大統領によって、「チャンピオン・オブ・チェンジ」や「グローバル企業家大統領大使」に指名されたことがあり、起業家出身の若き民主党員として注目されている。