- 信頼度の低い仮想通貨取引所の出来高が増加
- CryptoCompareの最新レポートで、信用度の低い取引所の出来高水増し額が19年に入り拡大していることがわかった。bitFlyerやKrakenなどは、信頼度で最高位を獲得。
信頼度の低い仮想通貨取引所の出来高が増加
仮想通貨リサーチ企業CryptoCompareが8月21日に発表したレポートから、依然として信用度の低い取引所が仮想通貨市場の大半を占めていることが明らかになった。
同レポートは世界200社以上の仮想通貨取引所のデータを収集・分析を行うCryptoCompareが、独自のベンチマークと格付けシステムに基づき作成した。
同社の格付けは、以下7つのカテゴリーから各仮想通貨取引所の評価を行い、最高得点を獲得した取引所の得点に基づいて、合計累積を0〜100に再スケーリングしたものだ。
- 地理(10pt)
- 法律(10pt)
- 投資(10pt)
- マネージメントおよび企業(10pt)
- データ提供(10pt)
- 取引監視(5pt)
- マーケットの質(20pt)
しきい値が90~100はAA、80~89はA、70~79はBという具合に格付けされ、30以下は最低ランクのFとされる。
分析の結果、7月の時点で、取引高の64%(3,160億ドル相当)がD~Eに格付けされた取引所のものであるのに対し、Bの取引所の取引高は8%(470億ドル)、Aの取引所の取引高は19%(1190億ドル)だった。最高評価であるAAの取引所の取引高にいたっては、わずか5%(310億ドル相当)と大差が生じている。
これは今年に入ってから継続して見られる傾向だ。2017年1月~2019年7月までのデータを見る限り、2018年6月を境に信頼度の低い取引所の取引高が急増し、2019年1月以降は信頼性の高い取引所を上回っている。
下図で「信頼度の低い」取引所の月別で出来高の増加(赤)を示す。
しかし「取引高の増加」に焦点を当てると、ややポジティブな変化が見られる。信頼度の高い取引所(AA~B)の取引量は4.4%増加したが、信頼度の低い取引所(C~F)は0.7%の微上昇にとどまった。
信頼度の低い取引所の市場シェアが過去1年で3割増
7月の仮想通貨平均日次取引高ランキング(仮想通貨同士の交換)では、トップ10中7社が信頼度の低い取引所だった。1位のLBank (格付けD)、4位のCoinBene(格付けE)など信頼度の低い取引所の市場シェアは、過去12ヶ月で30%増している。
一例を挙げると、BTC/USDT市場におけるLBankの平均取引規模は、Coinbase(AA) の約15倍であるのに対して、1日あたりの平均取引件数はCoinbaseの4分の1しかないという。
今年3月、暗号資産運用会社Bitwiseが「1日あたりのビットコイン取引量の95%がフェイク」との資料を米SECに提出したのを機に、水増し疑惑の波紋は仮想通貨市場全体に広がっている。
対策として、CoinMarketCapがデータの質の向上を目的に、データイニシアチブ「DATA(Data Accountability&Transparency Alliance)を発足させるなど、透明化の向上に全力を尽くしている。
一方、法定通貨から仮想通貨の取引による平均日次取引量ランキングのトップ10は、信頼度の高い取引所が8割を占めた。そのうちCoinbase、bitFlyer、Liquid(リキッド)、Bitstampの4社がAA、BithumbとKrakenの2社がAとの結果になった。
1位のBithumbの7月の総取引量は204億ドル(前月比46.4%増)、2位のCoinbaseは125億ドル(2%減)、3位のBitfinexは93.5億ドル(15.2%減)だった。
その他、規制されたビットコインのデリバティブ取引はCMEが優勢で、6月以降の総取引高は4.23%増の82億米ドルに達した。大規模なビットコイン資金流出(不正流出ではない)にも関わらず、BitMEXのビットコイン先物商品の総取引量は680億ドル(6月比5.51%増)と好調だったが、bitFlyerは310億ドル(6.92%減)にとどまった。