はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イーサリアム上の匿名性を高める技術「Semaphore(セマフォ)」実装へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

イーサリアムがプライバシーを強化
イーサリアム上の匿名性を高める技術「Semaphore」が新しいミキサー「MicroMix」に実装される。イーサリアムのプライバシー強化を支える技術が、研究段階から実験段階へと進んでいるようだ。

イーサリアムがプライバシーを強化

イーサリアムのプライバシー強化を支える技術が、研究段階から実験段階へと進んでいるようだ。

今年5月下旬、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、イーサリアムブロックチェーン上の取引におけるプライバシーを高める方法の提案を行ったが、それがこの度、ミキサー「MicroMix」として具体化された。

ミキサーとは、取引データを複数混ぜ合わせて個別のアドレスを特定できなくするミキシングを行うソフトウェアで、取引情報のプライバシー保護が主な目的だ。

ビットコインやイーサリアムなどのパブリックブロックチェーンでは、通貨の取引履歴と残高は公開されており、「Etherscan」のようなブロックエクスプローラを使えば、特定のアドレスに関連する全ての取引を追跡することが可能だ。透明性が高いということは、匿名性が低くなることにつながる。

MicroMixは、イーサリアムおよびイーサリアムベースのトークンのためのミキサーで、送信アドレスを不明瞭にする方法を用いて、ETHを任意のアドレスに送信することで、取引のプライバシーを高めることができる。MicroMixは分散型かつ非カストディ型であるため、Ether Mixerのような中央集権的で、カストディ機能を持ったミキサーの欠点、つまり、ユーザーが当該ミキサーを全面的に信頼して資金を託すことから発生する、次のようなリスクを回避できるという。

  1. 預け入れた資金の盗難
  2. 入金と出金のアドレスをリンク
  3. 検閲や閉鎖

また、MicroMixはゼロ知識証明技術を用いて、取引履歴を匿名化する。

具体的には、ユーザーがMicroMixアプリを使用して、一部のETHまたはトークンを非カストディ型のスマートコントラクトに預け入れることで、アドレスを公開せずに入金を実行したという証明を生成し、この証明がオペレーターを介してスマートコントラクトに送信される。そして、スマートコントラクトにより、ETHは受取アドレスに送信され、少額の手数料がオペレーターに払い戻される。

資金を混ぜ合わせるトランザクションに対し、ガス(手数料)を支払うのは、第三者であるオペレーターであるため、送信者がガスを受取人に支払う必要がない。

匿名性を高める技術「Semaphore」

このような特徴を持つMicroMixを支える基盤となっているのが、Semaphore(以下「セマフォ」と表記)という新しい「匿名の情報伝達」技術だ。セマフォは、イーサリアム上でユーザーが任意の文字列の承認を通知できるシステムであり、ユーザーの特定情報ではなく、以前に承認された事柄のみを公開するものだという。

セマフォは、スマートコントラクトとゼロ知識証明で構成され、連携して動作する。

開発者によると、セマフォは、ミキシングだけではなく、近い将来匿名ログイン、匿名DAO、匿名投票、報道などの他のプライバシー強化アプリケーションに用いることが見込まれるという。

仮想通貨メディアDecryptによると、MakerDAOのスマートコントラクト責任者は、セマフォが可能にする匿名投票はイーサリアムブロックチェーンに多くのメリットをもたらす可能性があると述べている。

例えば、毎週オンチェーン上でおこなわれる、Makerの重要課題に対する投票などだが、アドレスを公開しなくてはならないため、躊躇するユーザーも多いという。また、アドレスを公開することなしに、希望するプロジェクトへの資金提供も可能になる。

仮想通貨の匿名性を高めるサービスとして注目を集めるミキシングだが、今年に入り、相次いで大手ミキシングサービス会社が強制停止や閉鎖に追い込まれている。匿名性と透明性は相反する概念であり、匿名性を高めることは、マネーロンダリングなどの犯罪行為に利用される可能性が高まることでもある。

そんな中で、分散型/非カストディ型のMicroMixがどのように進展していくのか、注目されるだろう。

なお、MicroMixはまだ実験段階であり、イーサリアムテストネット「Kovan」上のみでプロトタイプとして展開されている。監査も受けておらず動作環境が保証されないため、実際の資金を運用しないようにと、開発者は注意を呼びかけている。

参考:Smaphore公式ブログ

CoinPostの関連記事

「Hyperledger」事業に初のイーサリアム基盤プロジェクト参加
インテルやIBMも参加するブロックチェーン推進コミュニティであるHyperledgerにイーサリアムクライアントの一つであるPantheonが加わることが決定。初のパブリックチェーンプロジェクトの参加になる。
仮想通貨イーサリアムのネットワーク使用率が飽和間近、ヴィタリックが改善案
仮想通貨イーサリアムのネットワーク使用率が初めて90%台にまで到達したことで、トランザクションコストに起因する懸念が高まっている。テザー(USDT)が供給の一部をイーサリアムに移行したことも一因と見られる。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/21 木曜日
17:48
シンプレクス、ステーブルコイン参入を支援へ アバランチ実証実験を受け
シンプレクスが金融機関のステーブルコイン事業参入支援を本格化。Ava Labsとの実証実験でアバランチ基盤の高性能インフラを実証し、参入障壁の解消を目指す。
17:23
カニエ・ウェスト、仮想通貨YZY発表
カニエ・ウェスト(Ye)が暗号資産(仮想通貨)「YZY」をソラナ上で発行し、発表直後にバイナンスに上場。YZY Moneyエコシステムの中核トークンとして決済サービス「Ye Pay」やYZYカードを展開予定。
16:39
メルカリとソニー、NFT・デジタルコンテンツ普及で基本合意 Soneium活用へ
メルカリとソニーグループがNFT・デジタルコンテンツ普及で基本合意。ソニー独自ブロックチェーン「Soneium」を活用し、メルカリの月間2300万人ユーザー基盤でWeb3技術の大衆化を目指す。アイドル関連NFT販売を皮切りに新エコシステム構築へ。
14:00
米上院議員、仮想通貨市場明確化法案の年内成立を目指す
シンシア・ルミス米上院議員は、仮想通貨規制の明確化を図るクラリティ法案の年内成立を目指すと発表した。先月発表された上院の独自案ではなく、超党派の支持を得た下院案を基本法案とする方針に切り替え、11月末にはトランプ大統領への提出を見込んでいる。
13:40
ゴールドマンサックスとベッセント財務長官、ステーブルコイン急成長を予測
米財務長官とゴールドマンサックスがステーブルコイン市場の急拡大を予測。規制整備により数兆ドル規模の成長期待が高まる中、JPモルガンは慎重姿勢を示す。
12:50
「ビットコインは2030年までに100万ドルへ」コインベースCEOが強気予想
コインベースCEOが2030年のビットコイン価格を100万ドルと予想した。機関投資家流入など強気シナリオの要因を挙げている。仮想通貨の今後のユースケースについても話した。
12:00
「多様なイノベーション促進へ」金融庁・今泉参事官が語る、暗号資産規制やETFの展望
金融庁の今泉宣親・暗号資産ブロックチェーンイノベーション参事官が語る、ビットコインETF、制度改革、ステーブルコインの展望。利用者保護とイノベーション両立への取り組みを詳述。
12:00
ビットバンク廣末社長が語る、ビットコインとの出会いと今後の展望|WebXスポンサーインタビュー
大規模カンファレンス「WebX 2025」のタイトルスポンサーとしてブース出展を決めた、ビットバンク廣末紀之社長独占インタビュー。オリコン顧客満足度2年連続1位の暗号資産取引所が語るWeb3時代の資産形成戦略とWebX2025への展望を聞く。
11:30
明日にジャクソンホール会議パウエル講演控える中、仮想通貨相場反発
ビットコインが前日比1.17%上昇する中、機関投資家によるイーサリアム大量購入が継続。Bitmine Immersionが52,475ETH追加で総保有額66億ドル近くに。一方、個人投資家のアクティブアドレス数は8月に28%減少し、ビットコイン・イーサリアム現物ETFからも大幅流出。ジャクソンホール会合でのパウエル議長発言が今後の相場を左右する見通し。
10:50
アーサー・ヘイズ、幹細胞事業に投資
ビットメックスの創設者で元CEOのアーサー・ヘイズ氏が幹細胞クリニック事業に大規模投資し取締役就任。先週売却した仮想通貨を1050万ドルで買い戻し、「利益確定はもうしない」と方針転換。
10:05
イーサリアム財団、セキュリティ強化の行動指針発表
イーサリアム財団は、Trillion Dollar Securityのプロジェクトについて行動指針を発表。仮想通貨イーサリアムの広範な調査を経て、まずはユーザー体験の安全性を強化する。
09:40
米ブロックチェーン協会ら、ステーブルコイン利回りに関する「ジーニアス」改正案に反対
米ブロックチェーン協会らが、銀行協会提案のステーブルコイン利回り規制強化に反対している。「ジーニアス」法案の改正案にいくつかの論点から異議を唱えた。
08:35
米ナスダック、BNB保有企業WINTの上場廃止決定 株価75%超暴落
米ナスダックがBNB投資企業ウィンドツリー・セラピューティクス(WINT)の上場廃止を決定。株価が最低価格1ドルを下回り、今年99%以上下落。
08:00
RWAトークン取引所「DigiFT」、計37億円の資金を調達
RWAトークンの取引所DigiFTは、現在までで合計約37億円の資金を調達したことを発表。直近の資金調達ラウンドはSBIホールディングスが主導している。
07:45
トークン化株式「xStocks」、トロンのブロックチェーンに拡大へ
クラーケンとBackedは、TRON DAOとの協業を発表。株やETFをトークン化して取引できるようにするサービスのxStocksを、仮想通貨トロンのブロックチェーンに対応させる。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧