デジタル円の発行予定なしも、必要性の高まりに備え調査
日銀の黒田東彦総裁は19日、参議院財政金融委員会で長峯誠委員の質問に回答。現時点で中央銀行としてデジタル通貨の発行する予定はないが、将来的に必要性が高まることに備えて、調査を行なっていることを明かした。
ステーブルコインの発行は、管理とリスクマネージメントを確実に行うための組織体制がない限り、発行すべきではないと発言。もし、大規模な顧客層を有する企業がそのような通貨を国際的に発行した場合、金融政策と金融システムの安定性に重大な影響を及ぼす可能性があるとして、今後も注意深く見ていくとした。
黒田日銀総裁が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を否定したのは、これまでにも複数回あり、大きな状況の進展は見られていないが、調査自体は継続して行なっているという。
なお、日銀は欧州中央銀行と共同で「プロジェクト・ステラ」の研究に取り組んでいる。分散型台帳技術(DLT)の金融市場インフラへの応用可能性に関する共同調査プロジェクトで、これまでに中央銀行の当座預金を用いた資金決済に対する分散型台帳技術の応用可能性として3本の報告書を公表してきた。
CBDCの発行については、ノルウェーやスウェーデンの中央銀行が、既存の通貨と異なるデジタル通貨の発行を検討しているほか、中国がブロックチェーン国策の一環でデジタル人民元(DCEP)の発行を予定している。
また本日、カンボジア国立銀行(中央銀行)が、日本のブロックチェーン企業「ソラミツ」と開発連携を行い、中央銀行デジタル通貨「バコン」を2020年早期にも正式に導入する見込みであることが明らかにしている。