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「AIエージェントにはステーブルコインしかあり得ない」平野・岡部両氏が語る円建て決済の未来|BCCC Collaborative Day

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2026年4月21日に東京・日本橋の室町三井ホール&カンファレンスで開催された「第9回 BCCC Collaborative Day」では、「この10年のWeb3と次の10年」をテーマにパネルディスカッションが行われた。BCCC設立10周年の節目に、ステーブルコインの現在地から10年後の展望まで、踏み込んだ議論が展開された。

冒頭の主催者挨拶では平野氏がBCCC10年の歩みを振り返り、「技術・法律・会計・税制が整い、いよいよブロックチェーンを業務に活かす時代が来た」と宣言。法定通貨連動型「ステーブルコイン」を軸に、AIエージェントとの融合やトークン化預金との住み分けなど多岐にわたるテーマが論じられた。

登壇者は以下の通り。※(写真左から)神本侑季氏、平野洋一郎氏、岡部典孝氏

  • 平野 洋一郎(BCCC代表理事 / アステリア(株) 代表取締役社長/CEO)
  • 岡部 典孝(BCCC副代表理事 / JPYC(株) 代表取締役)
  • 神本 侑季(BCCC理事 / N.Avenue(株)/NADA NEWS 代表取締役社長)※ファシリテーター

円建てステーブルコインの意義

BCCC設立10周年の節目に、平野氏・岡部氏はステーブルコインの現在地と円建てステーブルコインの意義について語った。

平野氏はステーブルコインの現在地について、「サトシ・ナカモトが目指したピア・ツー・ピア(P2P)のキャッシュシステムという観点からすると、まさにステーブルコインがそれを狙ったもの。流通するカレンシーとして使われるものがステーブルコインで、ようやくそこにたどり着いた感じがする」と述べた。なお、今回の法改正では仮想通貨(暗号資産)が金融商品として位置づけられる。

岡部氏は「BCCCに入った頃はゲームを作っていたが、ブロックチェーンゲームもNFTも、ステーブルコインがないと始まらないという思いでここまでやってきた。AIが進化し、自民党が『次世代AI・オンチェーン金融PT』を作るなど、まさに政策の真ん中にステーブルコインとブロックチェーン領域が来ている」と語った。

JPYCの今後について岡部氏は、パブリックチェーンの採用、セルフウォレットでの管理、ブラックリスト方式の採用を特徴として挙げた。「AIでもロボットでも海外の観光客でも、本人確認なしに自由に持って決済に使える。日本円のステーブルコインを代表する役割を担っている」と述べた。大型資金調達については「IPOに向けた資金確保が主な目的。JPYCで株や国債が買えるような仕組みや、LINE経済圏・ビットコイン経済圏との連携も視野に入れている」と説明した。

アステリアとして2回目の出資を行った平野氏は「ドルのステーブルコインが99%を占める中で、円建てステーブルコインをオンチェーンで普及させることは、円の国際的な存在感を守ることにもつながる。自分たちが言っていることとやっていることを合わせるというシンプルな考えで出資した」と語った。

関連:円建てステーブルコインの普及、有識者が語るポジティブな影響と課題

広がる活用シーンと企業導入の課題

リテールからBtoBまで、JPYCの活用シーンは広がりつつある。一方で企業導入にはいくつかの課題も残る。

リテール領域では岡部氏が「LINE NEXTと協業し、LINEアプリ内のウォレット機能『ユニファイ(Unifi)』にJPYCが入ることで、ウォレットを別途インストールしなくても使えるようになる。またAIエージェントと連携することで、旅行先のホテル予約から決済まで自動で完結するような世界も来る」と語った。

企業導入については平野氏が「ガス代の問題、秘密鍵の管理、監査対応、既存会計システムとの連携など、個人利用では発生しなかった課題が企業にはある。JPYCゲートウェイ(企業向けJPYC導入支援サービス)はこれらをまとめてサポートする。1万社以上が導入しているASTERIA Warp(アステリアが提供するシステム連携ツール)との連携で、会計システムからJPYCの送金・入金・突合を自動化できる」と述べた。

企業からの主なニーズとして海外送金を挙げ、「国際送金ネットワークのSWIFTだと取引成立から2営業日後に決済が完了するところ、オープンなチェーンなら一瞬。月締め・翌月払いという慣行が企業活動のボトルネックになっているが、ステーブルコインでリアルタイム決済が実現すれば中小企業の資金効率が劇的に改善する」と強調した。

アステリア、キャッシュの1/3をJPYCで保有

平野氏は「現在30億円程度のキャッシュのうち10億円をJPYCで保有する」と宣言していることについて、「JPYCは法律上もキャッシュと同じと定義されている。日本の上場企業の現金および現金等価物の合計は約620兆円(2024年データ)。全上場企業が1/3を円建てステーブルコインで持てば200兆円規模になる。ネットワーク効果でどこでも使われるようになり、国際的な取引にも使われるようになる。誰かが回し始めないとスタートしない」と述べた。

10年後の展望

平野氏・岡部氏は2035年に向けたステーブルコインの役割と、AIエージェント・トークン化預金(銀行預金をブロックチェーン上でトークンとして発行したもの)との関係について展望を語った。

AIエージェントとの融合について平野氏は、PayPayやSuicaとJPYCの関係を「レイヤーが違う」と整理した。PayPayやSuicaは日本円を使って決済しているが、ステーブルコインはその日本円の代わりとなる決済基盤のレイヤーに入っていくという考え方で、「フロントはPayPayでもいいが、そのベースにステーブルコインが入ってくる」と述べた。さらに「AIエージェントが24時間自律的に仕事をし、相手もAIエージェントという世界では、銀行決済は現実的ではない。10円・100円の少額決済が自動で次々と課金される時代には、ステーブルコインしかあり得ない。10年後にはそれが当たり前になっている」と断言した。岡部氏も「東証の株式取引量をはるかに上回る規模になるとの予測がある。AIが決めた値段を人間が見ながら売買するという世界観になっていく」と予測した。

トークン化預金との住み分けについて岡部氏は「得意分野が違う。トークン化預金は銀行口座保有者同士には便利だが、口座を持っていない人には送れない。ステーブルコインは外国人にもAIにも送れる。ただJPモルガンがトークン化預金に力を入れている中、日本の銀行のトークン化預金が使われなくなりアメリカのものに置き換わるシナリオもあり得る。国策として真剣に考えなければいけない」と警鐘を鳴らした。

ブロックチェーンとの向き合い方

平野氏は締めくくりに「BCCCの会員数はピーク時の300社近くから現在200社を割っている。一度離れた企業も含め、改めてブロックチェーンと向き合ってほしい。以前は技術者でないと駄目だったが、今は現場の人間が業務にどう活かすかを考えられる時代になっている。素晴らしい時が来た」と呼びかけた。

第9回 BCCC Collaborative Day

「第9回 BCCC Collaborative Day」は、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)が設立10周年を記念して開催したカンファレンス。2026年4月21日(火)、東京・日本橋の室町三井ホール&カンファレンスにて開催された。「実社会へのWeb3実装」をテーマに、関係省庁・政策関係者・先進企業が一堂に会し、ステーブルコインやWeb3技術が切り拓く「次の10年」について議論が交わされた。

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