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ビットコイン、7.8万ドル奪還も8万ドルに厚い壁 現物需要とデリバティブに温度差

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 現物需要とETF流入が回復
  • 8万ドル突破には今も慎重姿勢か

重要指標を回復

オンチェーン分析企業Glassnodeは22日、最新の週次レポートを公開した。ビットコインが現物需要の改善とETFへの資金流入再開を受け、実勢平均コストを示す「True Market Mean(TMM)」の78,100ドルを突破したと報告。同社はこの水準への回帰について、「深刻な弱気相場から、より建設的な相場局面への移行を示す重要なサイン」であると分析している。

しかし、その先には短期保有者(過去155日以内に購入)の平均取得コストである80,100ドルの厚い壁が控えている。Glassnodeの分析によれば、この投資家層は価格に極めて敏感であり、価格が自身の損益分岐点に近づくと売却に動きやすいため、このゾーンでは売り圧が強まる。また、6万〜7万ドルで購入した層も損益分岐点に近づいたことで、含み損解消への安堵感が生まれ売り圧を強めるため、上昇の勢いを鈍化させ天井形成のリスクを高める。

過去の弱気局面でも、このラインを一度で抜けることは稀であり、複数回、反落を繰り返しつつ上値供給を消化していく。Glassnodeはこのサイクルでは、70,000ドルが中期的な支持線としての役割を担うと指摘した。

同レポートは、過去の統計上、短期保有者の含み益比率が54%を超えると利益確定売りが集中し、上昇が頭打ちになる傾向があると指摘する。

現在、指標はこの水準に接近しており、実際に1時間あたりの利確額も過去の局所的な天井圏を上回るペースで急増している。今サイクルにおいて、同様のパターンから反落に至ったケースはすでに確認されており、今回も構造的な反落リスクが高いと同社は指摘。オンチェーン指標を総合的に考察すると、現時点では強気相場への確信よりも慎重な姿勢が求められるとの見解を示した。

出典:Glassnode

回復を支える現物需要とETF流入再開

米国のビットコイン現物ETFでは、長らく続いた流出局面(1月後半〜2月)を経て、7日移動平均ベースで純流入へと転じている。Glassnodeはこの動きを「伝統的な機関投資家による資金配分の再開」であると評価した。

流入規模は過去のピークには及ばないものの、「方向性の転換」そのものが市場構造における重要な変化であり、機関投資家の投資意欲が再び回復傾向にあるとレポートは分析している。

同時に、現物市場の需要も改善しており、CVD(累積出来高デルタ)は主要取引所全体で買い優勢へと転換している。これは、足元の上昇がデリバティブ主導のフローではなく、「現物市場での実需」に支えられていることを示唆していると指摘する。

取引所ごとの動向には違いがあり、主にバイナンスが買い圧力を牽引する一方で、コインベースは比較的低調。このことから、米国の大口投資家よりも、海外勢や個人投資家の参加が先行している構図が浮かび上がる。

過去の上昇局面では、出来高の裏付けが不足するケースも見られたが、今回は価格上昇に伴って現物需要も増加しており、より「建設的な市場構造」を示しているとGlassnodeは評価している。デリバティブ市場でのショートポジション増加と組み合わせると、今後の上昇に向けた強固な基盤となる可能性があるとまとめた。

出典:Glassnode

デリバティブ市場の動向

一方、デリバティブ市場では、永久先物の資金調達率が持続的にマイナス圏にあり、ショートポジションが優勢な状態が続いている。これは11月〜12月のロングポジション優勢で強気だった時期から完全に潮目が変わったことを示している。

2月の急落以降、投資家の慎重姿勢が定着。3〜4月もマイナスの資金調達率が続いていることは、下落ヘッジや投機的ショートが市場に構造として深く根付いたことを意味するとGlassnodeは分析している。

先物市場でショートが積み上がっている状況は、現物需要が再び強まった場合やマクロ経済状況が安定化した際には、「上昇の原動力」となる可能性があると指摘した。

インプライド・ボラティリティ(IV)は中長期的に下落基調にあり、市場の将来的な値動きへの期待が縮小している。価格上昇局面でもIVが反応しないことは、上昇への追随やヘッジの緊急性が薄いことを示しており、ボラティリティ全体が売られやすい状態にある。

同様に、実際の価格変動(実現ボラティリティ)も40.7%まで低下しており、IVの上昇根拠が弱まっている。その結果、ボラティリティ・リスクプレミアムはほぼゼロとなり、オプション市場は将来の不確実性よりも、足元の値動きに沿って価格付けされる状態となっている。

総括

Glassnodeは以上の分析を総合し、市場は改善に向かっているものの、本格的な強気相場への転換を確定させるには「確認」が必要な過渡期にあると結論づけている。

今後、8万ドルの大台を明確に上抜けるためには、現物市場での継続的な買い支えとETF需要の維持が不可欠であると強調。逆にこの水準を維持できなければ、現在の流動性の薄さも相まって、下落が加速するリスクも依然として残されていると同社は指摘している。

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