商業銀行4社、通信大手3社と協力
中国人民銀行(中国の中央銀行)がデジタル通貨を深センと蘇州で試験的に実施する予定であると、中国のメディア 財経(caijing.com)が報道した。現時点で公式の発表はないが、デジタル通貨の運用を開始すれば、中銀デジタル通貨を運用する世界初の中央銀行となる。
報道によると、中国人民銀行はテストを開始するにあたって7つの国有企業 (4つの商業銀行と3つの通信大手) と提携した。試験プログラムに近い関係筋の話では、中央銀行はこれらの商業銀行間で競争関係を作ることで独自の実施戦略を策定するよう促すという。
この試験プログラムでは、交通、教育、商業、医療などの産業に注力する。各商業銀行は通信会社と協力してデジタルウォレットを内蔵したSIMカードを開発したり、独自のウォレットアプリを開発したりしている。
深センの試験プログラムは2つのフェーズで実行。年末の小規模なテスト期間の後、2020年に市内で広く推進される予定だ。
報道によると、中国人民銀行に支援されたフィンテック企業が蘇州でブロックチェーンと暗号化の専門家を探していた蘇州市でもデジタル通貨をテストする可能性があるという。
デジタル人民元構想
複数の商業銀行関係者らは、Facebookの仮想通貨プロジェクトが誕生したことで、中国人民銀行が当初のスケジュールを繰り上げる形でデジタル通貨計画を実行するよう促した可能性が高いと指摘しているという。
中国人民銀行は2014年にデジタル通貨構想を開始したが、今年6月にFacebookのLibraプロジェクトが発表された後、人民銀行は中国のデジタル通貨について頻繁にパブリックコメントを行う動きが確認されている。
中国人民銀行のデジタル通貨子会社Mu Changchun取締役が講師を務めるLibraと仮想通貨のオンラインコースによると、デジタル人民元モデルは、商業銀行が人民元の準備金を預金することで、中央銀行からデジタル通貨を取得。ユーザーや企業はこれらの商業銀行にデジタルウォレットを登録することでデジタル通貨を使用を可能にする方式を取るという。
他の国も追随するか
デジタル通貨の発行を主導したいのは中国だけではない。
先週フランス中央銀行総裁が2020年にデジタル通貨のテストを実施する意向を表明したほか、欧州中央銀行(ECB)とベルギー国立銀行の最近の合同会議でも、ECB理事会メンバーの一人はデジタル通貨のポテンシャルについて「最終的に現金が使われなくなったとしても、国民が中央銀行のお金を利用できるようにする可能性がある」とコメントした。
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