はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

200兆円超、巨額の資金洗浄を可能にした世界主要銀行と機能しない防止システム=FinCEN漏洩文書

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FinCEN文書が明かす大手銀行とマネロンの繋がり

米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の漏洩した機密文書「FinCEN Files」から、複数の世界的大手銀行で、その違法性が問題視されながらも、20年近くにわたり、大規模な資金の移動が行われていたことが判明した。

米メディアBuzzFeed Newsが入手した政府の機密文書の中には、金融機関からFinCENに提出された、マネーロンダリング等の不審行為に関する報告書(Suspicious Activity Reports=SAR)が含まれており、その数は2100件以上に及んだという。

Buzzfeed Newsが文書を共有した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、88カ国、110の報道機関から400人以上のジャーナリストを集めたチームを結成し、16ヶ月をかけてこの「FinCEN Files」を整理・分析するとともに、数百人の関係者(犯罪取締人・被害者)にインタビューするなど、徹底した調査を行った。

驚くべき調査結果

ICIJの分析によると、1999年から2017年の間に、金融機関内部の法令遵守担当者がマネーロンダリングや犯罪行為の可能性があるとして注意を喚起した、2兆ドル(約208兆円)を超える取引が文書で確認されており、その中にはJPモルガンの5140億ドル(約54兆円)、ドイツ銀行の1兆3000億ドル(約136兆円)が含まれているとのことだ。

FinCEN Filesには、およそ90の金融機関から提出されたSARが含まれているが、その中で最も多くのSARを提出した上位10行と、不審行為に関連していると疑われる金額が次の表にまとめられている。

出典:ICIJ

中でも、JPモルガン・チェース、HSBC、スタンダード・チャータード銀行、ドイツ銀行、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)は、不正資金の流れを阻止できなかったとして、米国当局から罰金が科されたにもかかわらず、謎に包まれた人物や犯罪ネットワークに関連した不正な資金移動を行い、利益を得ていたことが、FinCEN Filesから明らかだとICIJは指摘している。

JPモルガン・チェース:
2011年、2013年及び2014年には米国当局とマネロン対策の改善を約束し和解していたが、マレーシア、ベネズエラ、ウクライナにおける大規模な公的資金略奪に関連する人物・企業のために資金を移動。

HSBC:
米国の裁判所による5年間の保護観察処分中に、資金洗浄組織及び鼠講の疑惑がもたれた組織の海外送金を継続。

ドイツ銀行:
長年にわたり内部の注意喚起を無視し、ダンスク銀行のエストニア事業関連で2300億ドル(約24兆円)の資金洗浄スキャンダルに関与。

さらに、ドバイを拠点とするKaloti Jewellery Groupをマネロンの脅威であると、米国のタスクフォースが財務省に注意を喚起したにもかかわらず、何の措置も取られなかった例なども報告されている。

FinCENと銀行の役割

FinCENは、膨大な金融取引データを収集、分析し、資金洗浄やテロ資金供与などの不正行為の監視、摘発や取り締まりを行う米国の執行機関。

銀行には不審な取引を停止する権限が与えられているが、その権限を行使する代わりに、FinCENにその内容を報告するレポート「SAR」を送付することが通例となっているという。銀行は世界の不正資金の流れを断ち切る役割を果たすことができるにもかかわらず、銀行が収益を上げるためのインセンティブは、その逆の方向へ向いているとICIJは主張している。

そして、マネーロンダリングを摘発する立場にあるFinCENは、法に違反したメガバンクを起訴することはほとんどない上、罰金や、銀行とその幹部の起訴の延期等の当局が取った措置は、国際金融システムに流れ込む巨額の不正資金には、ほとんど影響を与えないとICIJは指摘する。

FinCEN Filesのケースは、2011年から2017年の間に金融機関が提出した1200万件以上のSARの0.02%に満たないとのことだ。なお、SARは銀行や金融機関内の監査人による懸念を反映したものであり、必ずしも犯罪行為や不正行為の証拠とはならない。

Andreas Antonopoulosのコメント

仮想通貨の啓蒙者であるAndreas Antonopoulosは、このFinCEN漏洩文書について、ツイッターで詳しく見解を述べている。

このニュースで明らかになったのは、当局による資金洗浄・対テロ資金政策やKYCは機能しないことだとAntonopoulosは言う。なぜなら、そのような対策は犯罪行為ではなく、そのツールをコントロールしようとしているため、これからも機能することはないと主張する。

そして、この報告書で、暗号通貨は資金洗浄のためのものだと主張する人々の偽善が明らかになったが、は、それは必ずしも暗号通貨にとっていいニュースだとは言えないと言う。なぜなら、当局は、さらにコントロールと監視を厳しくする口実として、この報告書を使うことになると、Antonopoulosは予測している。

しかし、そのような新たに厳格化されたルールをもってしても犯罪を抑止することは叶わず、金融包摂を一層困難にすると同時に監視技術による金融ファシズムが進行してしまう事態につながると述べた。

そうなると一層、「オープンでプライベートな、検閲不可能な暗号通貨に基づいた、自由な金融システムの必要性と価値が飛躍的に高まることになる」と語った。

出典:ICIJ

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/28 土曜日
08:50
ストラテジー株トークンなど主要銘柄、Gemini EU向株式サービス開始
仮想通貨取引所Geminiが欧州連合でトークン化株式サービスを開始。マイケル・セイラーのストラテジー株を皮切りに、24時間365日取引可能な新金融サービスを提供する。
08:00
ブータン、ビットコイン保有額が13億ドルに到達
ブータンが、仮想通貨ビットコインを13億ドル相当保有していることが注目を集めている。この保有額は同国のGDPの40%に相当する。
07:55
リップル、SEC相手の控訴を取り下げ 5年間の法廷闘争が終結へ
リップル社のガーリングハウスCEOが28日、SEC相手の控訴を取り下げると発表。約5年間続いた法廷闘争が終結し、同社は事業発展に注力する方針を示した。
07:10
米仮想通貨銀行アンカレッジ、USDC等の段階的廃止発表 業界から「利益相反」批判
米仮想通貨カストディ銀行アンカレッジがUSDCとAUSDの段階的廃止を発表、ステーブルコイン安全性評価で業界から自己利益優先との批判を受ける。サークル株価は15%と大幅安。
06:49
韓国カカオペイ株急落、ステーブルコイン規制懸念が背景か=報道
韓国カカオペイ株がステーブルコイン参入期待で急騰後17%下落、投資リスク銘柄指定で売買停止。米サークル株も15%安と波及か。
06:15
ロビンフッド、XRPとソラナのマイクロ先物契約を開始
米デジタル証券大手ロビンフッドがマイクロ先物でXRPとソラナを追加、ビットコイン金曜先物のマイクロ版も提供開始し仮想通貨商品を拡充。
05:55
トランプ大統領発言「ビットコインがドル圧力緩和」仮想通貨産業の雇用創出を評価
トランプ大統領が28日記者会見でビットコインのドル圧力緩和効果を言及、米国の仮想通貨産業構築と雇用創出への前向きな評価を表明。
06/27 金曜日
16:00
ブロックバリュー大西社長が語るAIインフラの未来|WebXスポンサーインタビュー
大規模カンファレンス「WebX 2025」のプラチナスポンサーとしてブース出展を決めた、ブロックバリューの大西基文社長独占インタビュー。「ジャパン・テクノロジーで日本の底力になる」をスローガンに、AIサーバーで日本のWeb3インフラ強化に挑む。
13:40
トランプ政権、7月に複数仮想通貨規制法案成立の見通しか=サックス仮想通貨特命官
米トランプ政権の仮想通貨特命官サックス氏が7月の重要法案成立の見通しを示唆。GENIUS法でステーブルコイン規制、CLARITY法で仮想通貨定義明確化へ。
13:10
インド与党BJP報道官、ビットコイン準備金導入を提唱
インド与党BJP報道官のバンダリ氏が、仮想通貨ビットコイン準備金の試験導入を提唱した。また、インドもブータンのようにBTC採掘を行う能力を持っているとも指摘した。
11:25
ビットコインマイナー収益低下もBTC売圧減退、保有量は2024年11月以来の高水準に=Cryptoquant
仮想通貨ビットコインマイナーの日次収益が2カ月ぶり低水準も売却圧力は限定的。大手マイナーの保有量は増加傾向が見られている。
10:10
ビットコイン時価総額2.5倍上昇予測、『ファンタスティック40』で最高の投資機会に=億万長者フィリップ・ラフォン
ヘッジファンドマネージャーのフィリップ・ラフォン氏は、仮想通貨ビットコインの時価総額が現在の2倍に達する可能性があると予測した。価格変動の低下も指摘している。
09:55
ビットコイン今後の見通し、利確減速もオンチェーン取引の低迷で上昇圧力は限定的か=Glassnode
ビットコインは10万~11万ドル圏で推移。地政学的緊張で一時9万8000ドルまで下落も反発。Glassnodeレポートによると利益確定の減速とスポット取引量低迷で新高値更新は困難な状況。
08:30
アセマネOne、世界の仮想通貨企業の株で運用する投資信託販売へ
アセットマネジメントOneは、世界の仮想通貨関連企業の株を運用対象にした投資信託を販売することがわかった。仮想通貨関連企業に特化した投資信託の提供は大手では初とみられる。
08:25
リップル、Wormholeと提携しXRPLのマルチチェーン相互運用性を拡張
リップルXが大手クロスチェーンプロトコルWormholeと提携を発表。XRPレジャーとXRPL EVMサイドチェーンでマルチチェーン機能を強化し、DeFiや実物資産トークン化分野での活用拡大を目指す。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧