7月の仮想通貨動向
7月第2週の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)は35,000ドルを超え切れずレンジ相場が続く。
機関投資家向け取引サービスQCP Capitalは先週発表された6月期の消費者物価指数(CPI)が5.4%と高い数値を記録したことで売却が起きたと分析。現物市場・先物市場もともに取引量・OIが減少していることから、ボラティリティーも落ち着いているとした。
時価総額2位のイーサリアム(ETH)は、大型アップグレード「ロンドン」の実施日時が8月4日前後(ブロック高:1,296,5000時点)に正式決定したが、価格は6月下旬以来、2週間ぶりに1,900ドルを下回っている。
関連:イーサリアムの大型アップグレード「ロンドン」 実施時期が正式決定
時価総額TOP20の騰落率
直近1週間で仮想通貨市場全体の時価総額は1.4兆ドルから1.29兆ドルに縮小。その中でも週間下落幅が一桁に留まった時価総額上位銘柄は以下の通り。(18日時点:ステーブルコイン除く)
- バイナンスコイン(BNB)-6.07%
- ステラ(XLM)-6.26%
- ビットコイン(BTC)-7.14%
- リップル(XRP)-7.55%
- ライトコイン(LTC)-10.98%
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
CMEのビットコイン先物
CMEのビットコイン先物の取引量とOIは引き続き減少傾向。
BTCセンチメント
またデータプラットフォームのSantimentはSNSのセンチメント分析では、投資家感情が依然として相変わらず低いままであることがわかった。
歴史的な傾向では、センチメントがマイナスの局面では価格が上方転換した際の上げ幅が想定外になりやすいと指摘した。
📊 #Twitter's sentiment toward #Bitcoin remains negative in the amount of volume and tone that our algorithm is picking up. Generally, when there is negativity, there is a higher degree of a price upswing to catch the crowd off guard. 😎 https://t.co/ARclipKefs pic.twitter.com/CVEzj2TNSD
— Santiment (@santimentfeed) July 16, 2021
センチメント分析とは
AI(人工知能)などの機械学習モデルを利用し、ツイッター上のデータから文字情報を「ポジティブ」と「ネガティブ」に分類し点数化。これまでの傾向によれば、価格上昇に伴い楽観系ツイートが増加し、下落に伴い悲観的な投稿が増加する傾向があるという。
▶️仮想通貨用語集
クジラの総保有量が上昇
仮想通貨データ分析企業Santimentによれば、下落ムードが広まった5月下旬以降、100BTCから1万BTCを保有する層のクジラ群が保有するビットコインの総供給量が増加傾向にあると指摘。5月21日以降、この層の投資家の保有量は100,000BTC増加したという。
🐳 #Bitcoin may have dropped to $31.5k Thursday, but the $BTC 'millionaire tier' of addresses holding between 100 and 10,000 keeps climbing. The cumulative amount of holdings for these whales has increased by 100,000 $BTC since May 21st. 📈 https://t.co/mM2Dk5Le1O pic.twitter.com/26QqW43Src
— Santiment (@santimentfeed) July 16, 2021
アクティブアドレスと価格の乖離
Santimentは日間のアクティブ・アドレスと現物価格の乖離が続いていると説明。これまでマイナスだったアクティブ・アドレスは5月以降、プラスの状態を維持しており、材料に乏しいBTC市場とは裏腹に取引が活発であることを指している。
📊 Our Daily Active Address Divergence model for #Bitcoin continues to show prices have been suppressed from April's #AllTimeHigh way more than address activity has fallen. This has caused this indicator to continue showing a mild #bullish divergence. 👌 https://t.co/ISV1VBH28B pic.twitter.com/ntHdEE9rpT
— Santiment (@santimentfeed) July 14, 2021
著名アナリストのWilly Woo氏もこのデータと価格の乖離について解説していた。
関連:Willy Woo氏、オンチェーンデータとビットコイン価格の乖離を指摘
買い集め続く
また、Willy Woo氏は買い集め傾向が依然として続いていると分析した。
ビットコインの強気相場継続のカギとなるのは個人投資家だと述べた上で、小口投資家は買いを続けていると指摘。直近30日間で4,000BTCを売却したクジラ(大口投資家)に対し、1BTC以下を保有する個人投資家は総額31,000BTCを購入。
全体的には大型クジラ(>1万BTC保有)がビットコインを売り、小規模のクジラ(1千〜1万BTC)がビットコインを買い増ししており、結果的には相殺しあっている状況だと分析した。
Chart: Weekly net flows to small holders (of less than 1 BTC).
— Willy Woo (@woonomic) July 17, 2021
It's retail that drive Bitcoin bull markets. When they stop buying, that's a bear market warning. They haven't stopped buying.
Last 30 days: Whales sold 4k BTC, plebs bought 31k BTC
Data provider: @glassnode pic.twitter.com/ksm6OKgrNr
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
イーサリアムのステーキング額は9万ETH上昇。これまでと比べると、ETH2.0に向けた預入額の増加率はやや落ち着きを見せた。
ステーキング額:635万ETH(前週比+9万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは19日時点で1,084億ドルだった。
【前週比:-44億ドル】
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
クリプト指標
日程 | 指標 |
---|---|
7/19 |
仮想通貨取引所DeCurretがOntology(ONT)を新規上場 |
7/21 |
イーサリアムクラシックのアップグレード「Magneto」 |
7/21 |
機関投資家向けイベント「The ₿ Word」 |
前回の週次レポートはこちら:ビットコインの循環率6年ぶり低水準、イーサリアムは取引所からウォレットへの出金傾向強まる
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人