Woo氏のインタビュー
ビットコイン(BTC)のオンチェーン分析を得意とするWilly Woo氏は10日、暗号資産(仮想通貨)投資家Anthony Pompliano氏のポッドキャストに出演。相場の現状やオンチェーン分析との出会い、今後の注目ポイントなどについて語った。
My conversation with @woonomic and @WClementeIII is now on YouTube.
— Pomp 🌪 (@APompliano) July 10, 2021
– History of onchain metrics
– Past few months & accumulation
– Current market dynamics
– What to expect next
Both of these guys are incredibly smart. Enjoy! https://t.co/Z8dkleeTdE
背景・オンチェーン分析との出会い
IT系の経歴を持つWoo氏は、2016年にオンチェーン分析を開始。直後にNVT比率やディフィカルティ・リボンなど多数の独自指標を考案し始めた。
Woo氏は、過去には2018年の暴落相場と2019年中旬の急騰を的中させた経歴があり、界隈ではオンチェーン分析の専門家として定評がある。
そんなWoo氏はオンチェーン分析を「仮想通貨のファンダメンタルズ分析」と形容。投資家の資金がどのように動いているかを解明し、それを元に結論に至る手法だと説明した。
また、テクニカル分析は短期的な値動きの見極めには適しているものの、テクニカル指標とファンダメンタル(オンチェーン)指標が相反する場合、長期の分析にはオンチェーン分析が長けていると述べた。
相場の現状
そんなWoo氏は、現在の仮想通貨市場は価格とファンダメンタル(オンチェーン・データ)がかけ離れていると指摘。チェーン上のデータは強気サインを示唆しているのに対し、価格面は軒並み下落貴重であるとした。
これまでCoinPostの週次データレポートでも報道してきた通り、Willy Woo氏は価格が下落気味の直近数ヶ月も強気姿勢を変えていない。
Whales:
— Willy Woo (@woonomic) July 3, 2021
"Nom nom nom… BTC so yummy today." pic.twitter.com/TLoHyaJtn2
7月上旬には1,000〜10,000BTCを保有する大口アドレス群の保有するビットコイン量が急増したと報告。「クジラ」がBTCを買い集めているとした。
また、6月下旬にはWoo氏の考案したビットコインの購買力を示すSSRオシレーターが上昇傾向に。ステーブルコインからビットコインへと資金の流入が戻りつつあると説明していた。
The Stablecoin Supply Ratio (SSR) Oscillator bottomed and has been trending up in recent weeks, indicating that capital has been flowing back from stablecoins into #Bitcoin.
— glassnode (@glassnode) June 24, 2021
Live chart: https://t.co/5xQnKHnKNl pic.twitter.com/rf6mLxDSXW
SSRとは
SSR(ステーブルコイン供給量レシオの略)はビットコイン価格と法定通貨およびステーブルコインの影響を可視化する目的で生まれた指標。BTC供給量をBTC建で表示したステーブルコイン供給量で割って算出し、ステーブルコイン建の購買力を示す。
著名オンチェーン・アナリストのWilly Woo氏によって考案された。
▶️仮想通貨用語集
オンチェーンデータと価格の「乖離(分岐)」
Woo氏は、2020年10月にも、現在と同じようにBTCチャートとオンチェーンがかけ離れていたことがある、と説明。
当時のビットコインは、12,000ドルから10,000ドルまで-20%近く急落。Woo氏によれば、株式市場との相関性が、コロナ禍における避難先(代替)資産として失格とみなされた可能性がある。
この時の着目点は、相場の下落と反比例するように、長期保有者によるBTCの買い集めが継続して行われたことにあると指摘。供給ショックが現物価格に反映されるまで若干のタイムラグがあったとした。(ビットコイン価格はその後、12月に2万ドル突破)
弱気なセンチメント
さらに、Woo氏は現在マーケットがブルマーケット最中の短期的な「買い集め」(Accumulation)フェーズにあると説明。SNSでは仮想通貨勢の弱気なセンチメントが目立つ一方、大きなイベントが発生すれば価格と強気なオンチェーンデータの「ギャップ」は解消されるとした。
ただ、現在の強気相場はこれまでとは類を見ない違う局面にあるとWoo氏は言及。先物やデリバティブ、オプションやETF、ローンなど、マーケットが複雑化してより発達しており、値動きも予測できないとした。
Woo氏はオンチェーン分析が5月のテスラ社のBTC決済中止など、想定外のイベントを予想はできないと前置きしつつ、相場の全体感を掴むには適していると発言。
その上で、SNSの弱気感が今後さらに増えれば、弱気センチメントが底を打ち、相場も反発できる状況が整うだろうと語った。
今後の注目ポイント
長期的な注目ポイントとしてWoo氏は、国家の政府が運用するソブリン・ファンドの動向に注目する。
現在、シンガポールのソブリン・ファンドが仮想通貨に投資しているほか、ビットコイン法を可決した中米エルサルバドルも、国家としてのビットコイン保有を行なっていくだろうと予想。今後は、政府レベルの保有動向も相場の注目ポイントになると述べた。
そしてWoo氏は、今後相場が局面を変えるために、ショートスクイーズが発生する程の”偏り”が不足していると指摘。ビットコイン先物の未決済建玉(OI)も直近のFUDを払拭するには足りない状況だとした。
Woo氏は現在、相場に流れているFUDとして(1)マイニングFUD(環境への悪影響など)と(2)中国の仮想通貨規制を挙げている。
関連:ビットコインマイニングは何をしているのか?仕組みを動画で解説
5月13日には、テスラ社のイーロン・マスクCEOがテスラ社のビットコイン決済受付中止を表明。「仮想通貨マイニングにおける化石燃料の使用量の増加」を懸念に挙げ、仮想通貨の環境への影響に関する議論が再燃した。
その後、5月下旬には中国の国務院金融安定発展委員会が仮想通貨マイニングや取引への取り締まり強化体制を打ち出し、マイニングの一大拠点だった中国から事業者が相次いで撤退する必要が生じた。
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