はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

Uncipheredがハードウェアウォレットの脆弱性を指摘、 Trezor製品を攻略か

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ハードウェアウォレットをハック

セキュリティ企業のUncipheredは25日、暗号資産(仮想通貨)ハードウェアウォレット企業Trezorのプロダクト「Trezor Model T」をハッキングできたと主張している。

Uncipheredはウォレットからシードフレーズ(初期設定のパスワード)を解析するまでの過程を、YouTubeで披露した。攻撃者が物理的にハードウェアウォレットを奪った場合に限定されるが、チップを直接操作することで、Trezor Tモデルのハードウェアセキュリティメカニズムを迂回することができると述べている。

具体的には、Trezorのマイクロチップをオリジナルのボードから取り外し、ブレーカーボードにはんだ付けする。その後、デバイスは独自の攻撃手法を用いてTrezor Tを操作し、ファームウェアを抽出。その情報を高性能コンピューティングクラスタにアップロードする。このクラスタには約10台のGPUが搭載されており、一定期間にわたってPINを分析した。

Uncipheredの共同創設者であるEric Michaud氏は、専用のGPUチップを活用することで、最終的にデバイスのPINシードフレーズを解読することができたと主張している。

抽出したファームウェアを我々の高性能コンピューティングクラッキングクラスタにアップロードした。我々は約10台のGPUを保有しており、一定時間経過後にキーを抽出できた。

同社はこのデモを通じて教育機会を提供し、視聴者が何かを学ぶことを期待している。また、Uncipheredはウォレットの解錠に関する支援を提供しており、そのためのフォームが公式サイトに掲載されている。

Michaud氏はまた、この攻撃手法はファームウェアのアップデートでは修正できないため、Trezor Tのこの攻撃手法を修正するには、全製品をリコールする必要があると指摘。新製品に新しいチップが組み込まれるという噂を聞いており、その影響を確認する方針を示した。

関連:Ledger、オープンソース化計画を前倒し 信頼性回復を図る

Trezor側の主張

一方Trezorは、この脆弱性が新しいものではないと主張している。Uncipheredのデモの内容は、2020年初頭にKraken Security Labsの研究者たちが発見したRead Protection Downgrade(RDP)という脆弱性と類似性があると認めている。

RDPダウングレード攻撃は、Trezor OneやTrezor Model Tなどのハードウェアウォレットに使用されるSTM32マイクロチップのハードウェア脆弱性を狙った攻撃手法。この攻撃では、特殊なハードウェア、知識、物理的なアクセスを持つ攻撃者がSTM32マイクロチップの電圧を操作(グリッチ)し、設定された保護を迂回してフラッシュメモリの内容を抽出する。

「Read Protection Downgrade(RDP)」という名前は、この攻撃がマイクロチップの読み取り保護レベルを下げる(ダウングレード)ことにより、通常は保護される情報を不正に読み取る能力を持つことを示している。

TrezorのTomáš Sušánka CTO(最高技術責任者)は、RDPリスクがあっても、デバイスの物理的な盗難と極めて高度な技術的知識、先進的な装置が必要で、しかもデバイスを保護するパスフレーズ機能が有効化されていない場合にのみ、攻撃は成功すると語っている。パスフレーズは、既存のリカバリーフレーズにユーザーが独自に選んだ追加の単語を付け加えることで、全く新しいアカウント設定を設ける機能だ。

強固なパスフレーズがあれば、攻撃成功の可能性は完全に排除される。デバイスに対する物理的な攻撃を恐れるユーザーは、アカウントを保護するためにパスフレーズ保護の作成と使用方法を学ぶことを推奨する。

Trezorは海外仮想通貨メディアThe Blockへのコメントで、姉妹会社であるTropic Squareと共同でハードウェアウォレットの新しいセキュリティ構成を開発し、RDP攻撃の問題を解決するための計画を進めていると述べた。

Tropic Squareは今年2月に、初の試作品バッチ「TROPIC01チップ」の初期テストが成功し、生産段階に近づいたと発表した。このチップは攻撃者が物理的にデバイスにアクセスし、その中の情報を盗んだり操作したりする物理的な攻撃に対する耐性などが付加されている。

ハードウェアウォレットとは

秘密鍵を保管したデバイスのこと。デバイスそのものがウォレットなわけではなく、デバイスにはウォレットへアクセスするための秘密鍵が保管されている。パソコンに専用のアプリをインストールして、そこに外部デバイスを接続して管理する。パソコンに繋げていない間はインターネットに繋がっていないオフラインウォレット(コールドウォレット)になる。

関連:Trezor、ウォレットチップのサプライチェーン管理へ

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/16 日曜日
16:22
金融庁、暗号資産105銘柄の「金融商品」扱いを検討 金商法適用へ=報道
金融庁は暗号資産に金融商品取引法を適用し、交換業者が取り扱う105銘柄に情報開示とインサイダー取引規制を導入する方針。税率は最大55%から株式と同じ20%への引き下げを検討。2026年の通常国会で改正案提出を目指す。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、XRP現物ETFの米上場や世界初のZcash保有企業の91億円調達など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナ、ジーキャッシュといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン、下値余地残すも反発は時間の問題か|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC相場は1530万円周辺で推移。米政府機関閉鎖解除後もハイテク株軟調で上値重い展開。12月FOMC前の経済指標不足が懸念材料に。一方、STH損失レシオが95%超となり売られ過ぎの水準。オプションOI分析では9.5万ドルがターゲットに。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|米史上最長の政府閉鎖終了に高い関心
今週は『金持ち父さん貧乏父さん』著者ロバート・キヨサキ氏によるビットコイン・金・銀の価格予想、堀田丸正のBitcoin Japanへの社名変更、米政府の閉鎖終了に関する記事が関心を集めた。
11/15 土曜日
13:55
続落するイーサリアム、長期保有者が1日4.5万ETH超を売却=グラスノード
グラスノードによると、イーサリアムの3年から10年保有者が1日あたり平均4万5000ETH超を売却している。イーサリアム現物ETFも13日に2億6000万ドルの純流出を記録し売圧を高めている。
13:20
リミックスポイント決算発表、仮想通貨評価益で売上高が大幅増加
リミックスポイントが2025年4~9月期決算を発表した。仮想通貨評価益で売上高が大幅増加している。同社はビットコイン、イーサリアムなどの仮想通貨を財務資産として蓄積している。
13:00
Visaアジア太平洋地域デジタル通貨責任者、ステーブルコインの展望を語る|CoinPostインタビュー
Visaアジア太平洋地域デジタル通貨責任者ニシント・サンガヴィ氏がCoinPostの独占インタビューに応じ、ステーブルコイン決済戦略の拡大、CBDCとの共存、米国ジーニアス法の影響について詳しく語った。4つのステーブルコインと4つのブロックチェーンをサポートし、2億2,500万ドル超の決済を実現。今後5年間のアジア太平洋地域におけるデジタル通貨の展望と、Visaが果たす役割について解説。
11:15
テクノロジー大手アリババが預金トークン決済を開発 中国当局のステーブルコイン懸念に対処か
中国アリババが預金トークン決済システムを開発している。当局によるステーブルコイン規制を回避することも背景とみられる。AI活用サービスも発表した。
10:30
ビットコイン急落、45日ルール通過とFOMC利下げ見送り観測で売り圧力が最大化|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは足元で強い売り圧力に晒されているが、ヘッジファンドの45日ルール通過により解約売りの終了が期待される。ビットコイン長期保有者が直近1カ月で12兆円相当のBTCを売却したことは心理を悪化させていた。
09:50
トランプ一族関連のアメリカン・ビットコイン、売上高99億円に増加 決算発表 
トランプ一族の仮想通貨マイニング企業「アメリカン・ビットコイン」が2025年7~9月期決算を発表した。前年同期比で黒字転換し、ビットコイン保有量は4,090BTCに到達している。
09:35
ジャック・ドーシーのCash App、ステーブルコイン決済機能を導入
決済アプリのキャッシュアップがステーブルコインの送受信機能を含む11の新機能を発表した。ライトニングネットワークを使用したビットコイン決済機能も拡充している。
08:50
ソニー銀行の米銀免許申請、通貨監督庁にICBAが否認を要求
ソニー銀行が米国で信託銀行の国家免許を申請したことについて、米組織ICBAが強く反対すると表明。通貨監督庁に書簡を送付して反対理由を説明し、ソニー銀行の申請を認可しないように要求した。
07:45
バイナンス、ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」を取引担保として受け入れ
仮想通貨取引所バイナンスがブラックロックの「BUIDL」を取引所外担保として統合した。BUIDLはBNBチェーンで新シェアクラスも立ち上げる。
06:50
ビットマイン、45億円相当のイーサリアムを追加購入 新CEOにHSBC元幹部を任命
ビットマインが3000万ドル相当の仮想通貨イーサリアムを追加購入した。同社は新CEOにHSBCアジアTMT投資銀行部門の元責任者を任命した。
06:25
ビットコイン長期保有者が1カ月で12兆円相当BTCを売却、初期投資家も2400BTCを取引所へ送金
ビットコインの長期保有者が過去1カ月で約81万5,000BTCを売却し、2024年1月以来の高水準となった。初期保有者のオーウェン・ガンデン氏も2400BTC以上を売却している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧