はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イーサリアムのロールバック提案にコア開発者が反論、Bybitハッキング事件で

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

技術的に解決困難

14億ドル(約2,100億円)相当の史上最大のハッキング被害にあったBybitの救済策として提案されたブロックチェーンの巻き戻し(ロールバック)に対し、イーサリアム(ETH)コミュニティから強い反対の声が上がっている。

イーサリアムのコア開発者ティム・ベイコ氏は23日、Xへの投稿でロールバックの提案は一見、「合理的に聞こえる」が、経験豊富なエコシステム参加者は、ほぼ全員一致でその実行は不可能であるという見解に同意していると指摘した。

ロールバックとは、ブロックチェーン上で記録された取引を特定の時点まで巻き戻す技術的な操作。通常、ブロックチェーンは一度記録された取引を改変できない「不変性」を特徴とするが、コミュニティの合意によってハードフォークを実施し、特定時点以降の取引を無効化することが技術的には可能となっている。

イーサリアムブロックチェーンでは、2016年のDAOハッキング事件で実施された例があることから、BitMEX創設者のアーサー・ヘイズ氏がイーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏に提案。業界で議論が巻き起こっている。

DAOハッキング事件では、ハードフォークした現在のイーサリアムと、元のチェーンであるイーサリアムクラシックが誕生し、事実上、コミュニティの分断を引き起こした。

ベイコ氏は、技術的側面からなぜイーサリアムはロールバックできないのかについて、一般ユーザーにわかりやすく説明することには意義があると述べた。

関連:Bybitハッキング後のイーサリアム巻き戻し論争 、ヘイズ氏発言で再燃するDAO事件の教訓

ロールバックが困難な理由

ベイコ氏は、ロールバックの過去の事例として、2010年のビットコイン最初期のロールバック(クライアントソフトのバグの修正で対応)とDAO事件の背景に言及。いずれも分散化やネットワークの複雑さ、相互運用の普及など、現在のエコシステムとは大きく異なる状況を説明した。

その上で、今日、イーサリアムのロールバックが困難な理由として、以下を挙げた。

  • ハッキングの要因:偽装されたUIがスマートコントラクトのロジックを改ざんし、ハッキングが発生。イーサリアムプロトコル自体ややBybitのマルチシグアプリに問題はなかった。
  • トランザクションの正当性:プロトコルの観点からは、他のトランザクションと区別できず、ルールにも違反していない。
  • 資金の即時移動:ハッカーは資金を即座にオンチェーンで移動。DAO事件と異なり、コミュニティに介入の時間はなかった。
  • エコシステムの複雑さ:現在のイーサリアムエコシステムは、DeFiや他のチェーンとのブリッジにより相互運用性が高く、盗まれた資金が多方面に混在可能。
  • イーサリアム外部への影響:オフチェーンの取引や、取引所における売買、RWAの償還など、チェーンの外部へ波及する影響が大きい。
  • コミュニティの強い反対:2018年、Parityのマルチシグウォレットのバグ対処にロールバックが提案されるも、DAO事件の論争を理由にコミュニティから強く反対された。

ブラックリストを公開

BybitのBen Zhou最高経営責任者は、ロールバックという選択肢について、1人の人間が決断できるものではなく、コミュニティの意見が重要だとして、中立的な立場をとっている。

同氏は、今回のハッキングで盗まれた資金を回収するために、報奨金プログラムや、法執行機関との協力、イーサリアム財団との協議などを含むあらゆる手段を講じると述べた。

Bybitは23日、報酬金プログラムの一環として、ブラックリストに登録されたウォレットアドレスを確認できるAPIをリリース。ハッキングから3日以内という速さで、このアドレスリストの公開が可能になったのは、「業界最高のホワイトハットと捜査当局が精力的に取り組んだ結果」だという。

Bybitはブラックリストを継続的に更新し、サイバー侵害の阻止に成功した場合は、10%の報奨金が支払われる。

また、Bybitは業界全体でハッカーを追跡できるように設計された、「HackBounty」プラットフォームを開発中だという。成功すれば、業界にとって変革の瞬間となり、サイバー攻撃に対するより強力な防御システムを構築することができるとZhou氏は強調した。

関連バイナンスらがBybitに10万ETH緊急支援、ハッキング被害後も資産は安定か

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
16:39
メルカリとソニー、NFT・デジタルコンテンツ普及で基本合意 Soneium活用へ
メルカリとソニーグループがNFT・デジタルコンテンツ普及で基本合意。ソニー独自ブロックチェーン「Soneium」を活用し、メルカリの月間2300万人ユーザー基盤でWeb3技術の大衆化を目指す。アイドル関連NFT販売を皮切りに新エコシステム構築へ。
14:00
米上院議員、仮想通貨市場明確化法案の年内成立を目指す
シンシア・ルミス米上院議員は、仮想通貨規制の明確化を図るクラリティ法案の年内成立を目指すと発表した。先月発表された上院の独自案ではなく、超党派の支持を得た下院案を基本法案とする方針に切り替え、11月末にはトランプ大統領への提出を見込んでいる。
13:40
ゴールドマンサックスとベッセント財務長官、ステーブルコイン急成長を予測
米財務長官とゴールドマンサックスがステーブルコイン市場の急拡大を予測。規制整備により数兆ドル規模の成長期待が高まる中、JPモルガンは慎重姿勢を示す。
12:50
「ビットコインは2030年までに100万ドルへ」コインベースCEOが強気予想
コインベースCEOが2030年のビットコイン価格を100万ドルと予想した。機関投資家流入など強気シナリオの要因を挙げている。仮想通貨の今後のユースケースについても話した。
12:00
「多様なイノベーション促進へ」金融庁・今泉参事官が語る、暗号資産規制やETFの展望
金融庁の今泉宣親・暗号資産ブロックチェーンイノベーション参事官が語る、ビットコインETF、制度改革、ステーブルコインの展望。利用者保護とイノベーション両立への取り組みを詳述。
12:00
ビットバンク廣末社長が語る、ビットコインとの出会いと今後の展望|WebXスポンサーインタビュー
大規模カンファレンス「WebX 2025」のタイトルスポンサーとしてブース出展を決めた、ビットバンク廣末紀之社長独占インタビュー。オリコン顧客満足度2年連続1位の暗号資産取引所が語るWeb3時代の資産形成戦略とWebX2025への展望を聞く。
11:30
明日にジャクソンホール会議パウエル講演控える中、仮想通貨相場反発
ビットコインが前日比1.17%上昇する中、機関投資家によるイーサリアム大量購入が継続。Bitmine Immersionが52,475ETH追加で総保有額66億ドル近くに。一方、個人投資家のアクティブアドレス数は8月に28%減少し、ビットコイン・イーサリアム現物ETFからも大幅流出。ジャクソンホール会合でのパウエル議長発言が今後の相場を左右する見通し。
10:50
アーサー・ヘイズ、幹細胞事業に投資
ビットメックスの創設者で元CEOのアーサー・ヘイズ氏が幹細胞クリニック事業に大規模投資し取締役就任。先週売却した仮想通貨を1050万ドルで買い戻し、「利益確定はもうしない」と方針転換。
10:05
イーサリアム財団、セキュリティ強化の行動指針発表
イーサリアム財団は、Trillion Dollar Securityのプロジェクトについて行動指針を発表。仮想通貨イーサリアムの広範な調査を経て、まずはユーザー体験の安全性を強化する。
09:40
米ブロックチェーン協会ら、ステーブルコイン利回りに関する「ジーニアス」改正案に反対
米ブロックチェーン協会らが、銀行協会提案のステーブルコイン利回り規制強化に反対している。「ジーニアス」法案の改正案にいくつかの論点から異議を唱えた。
08:35
米ナスダック、BNB保有企業WINTの上場廃止決定 株価75%超暴落
米ナスダックがBNB投資企業ウィンドツリー・セラピューティクス(WINT)の上場廃止を決定。株価が最低価格1ドルを下回り、今年99%以上下落。
08:00
RWAトークン取引所「DigiFT」、計37億円の資金を調達
RWAトークンの取引所DigiFTは、現在までで合計約37億円の資金を調達したことを発表。直近の資金調達ラウンドはSBIホールディングスが主導している。
07:45
トークン化株式「xStocks」、トロンのブロックチェーンに拡大へ
クラーケンとBackedは、TRON DAOとの協業を発表。株やETFをトークン化して取引できるようにするサービスのxStocksを、仮想通貨トロンのブロックチェーンに対応させる。
07:25
ウィンクルボス兄弟、仮想通貨PAC団体に188BTC追加寄付 トランプ政権支援強化
ジェミニ取引所創設者ウィンクルボス兄弟がデジタル・フリーダム・ファンドPACに2,100万ドルをビットコインで寄付。仮想通貨政策推進とトランプ政権支援を表明。
06:20
米仮想通貨現物ETFから資金大量流出、FRB政策に不透明感
米国の仮想通貨ビットコインETFから1日で5.23億ドル、イーサETFから4.22億ドルの大量資金流出。FRB利下げ期待後退とインフレ懸念で機関投資家がポジション調整か。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧