
未だ過小評価か
米金融大手キャンター・フィッツジェラルドのアナリストは4月8日、仮想通貨取引所コインベースに対し「オーバーウェイト(買い)」評価を開始し、目標株価を245ドルに設定した。The BlockやDecryptが入手したレポートによると、同社のCircleとのステーブルコイン提携および独自のイーサリアムL2ネットワーク「Base」が、ウォール街の評価において見過ごされていると指摘している。
「これらの事業セグメントは、COIN(コインベースの株式)が単なる循環的な仮想通貨取引プラットフォームから、仮想通貨経済における不可欠なインフラ・レイヤーへと認識を変える上で重要な役割を果たす」とアナリストのブレット・ノブラウフとトーマス・シンスキー氏は84ページに及ぶレポートで述べている。なお、COINは現在約151ドルで取引されており、トランプ大統領の貿易戦争拡大に伴う市場全体の下落により、当日は約4%、週間では約12%下落している。
コインベースは、Circleの時価総額600億ドルのステーブルコインUSDCを裏付ける準備金から、同社との非公開商業契約に基づいて収益を得ている。また同社が開発したレイヤー2ネットワーク「Base」では、ユーザーが日常的に1セント未満の取引手数料を支払っている。2024年の主要収益源は中央集権型取引プラットフォームでの取引手数料で39億ドル、ステーブルコインは前年の6億9,400万ドルから増加し9億1,000万ドルに達した。
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現在米議会で検討されているステーブルコイン法案は、Circleのような企業に米国全土での合法的な事業展開の道を開く可能性がある。キャンター・フィッツジェラルドのアナリストによれば、潜在的に何千もの企業が競合する中でも、Circleはステーブルコイン市場全体におけるシェアを維持すると予想される。2035年までにステーブルコイン市場規模が2兆ドルを超えれば、債券市場の状況に応じて、コインベースのステーブルコイン収益は5〜10倍に増加する可能性があるとアナリストは述べている。
一方、Baseチェーンについては、コインベースのユーザーが取引所から資金を容易に移動できることから、開発者活動の継続が好循環を生み出すと、同社は分析している。Baseのユーザー数が増加するにつれて開発者がより多くのアプリケーションを作成し、その結果として取引手数料は増加する。
コインベース側はBaseのシーケンサーを運営しており、取引の順序付け、バンドル化、およびイーサリアム(ETH)メインネットへの一括転送を担当している。昨年第4四半期に、コインベースは「その他の取引収益」である6,800万ドルが「主にBaseでのシーケンサー収益の増加によるもの」と株主レターで報告した。
キャンター・フィッツジェラルドのアナリストはまた、SECなどの規制当局が現実資産(RWA)のトークン化に対してより前向きになるにつれ、Base上で保有される資産価値が急増すると予想している。トークン化とは、株式や債券などの実物資産をブロックチェーンのトークンで表現するプロセスを指す。グローバル経営コンサルティング会社マッキンゼーの昨年のレポートによると、トークン化資産の市場規模は今後10年で2兆ドルに達する可能性があるという。
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