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米国ステーブルコイン規制、上下両院で加速 トランプ政権が8月までの成立に意欲

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

高まるステーブルコイン規制の機運

トランプ政権の下、米国でステーブルコイン規制の成立に向けて、具体的な動きが加速している。

米下院金融サービス委員会は3日、「ステーブルコイン透明性および説明責任法(STABLE法案)」を賛成32票、反対17票で可決。今後下院本会議での審議に進む。

この法案は、共和党のフレンチ・ヒル議員とブライアン・ステイル議員が起草。9日に行われた同委員会の公聴会でヒル委員長は、法案承認に言及し、「この勢いを基盤に、デジタル資産市場の明確なルールを確立する包括的な規制枠組みの構築に向けて引き続き取り組むことが、我々の責務だ」と述べた。

承認された法案は、新たなコンプライアンス体制を導入し、ドルに裏付けられたデジタル資産の発行と使用に関するルールを明確にすることが目的だ。また、「決済手段」としてのステーブルコインの役割が強調されており、ユーザーへの利子提供は禁止されている。

関連:「決済用ステーブルコインは利子提供不可」米ヒル議員が強調 コインベースらの嘆願却下

一方、上院では3月13日、銀行・住宅・都市問題委員会において「米国ステーブルコインの国家的イノベーションの指導と確立法案」(GENIUS法案)が18対6の賛成多数で可決された。ティム・スコット委員長は「消費者と国家安全保障を保護し、業界が米国内で成長・革新できることを確保するための超党派の飛躍的前進」とコメントした。

この法案は、ステーブルコイン発行者に1対1の準備金維持、マネーロンダリング防止法の遵守を義務付け、最終的には米国の消費者を保護しながら世界経済における米ドルの強さを促進する「常識的なルール」を確立することを目指している。なお、利回りを提供するステーブルコインの発行は、この法案の対象外となっている。

GENIUS法案は、上院本会議での審議に進んでいるが、可決には60票が必要であり、民主党からの支持が欠かせない。スコット委員長はトランプ大統領の就任後100日以内(2025年4月30日まで)に法案を成立させる意欲を見せている。

両院の連携とトランプ政権の意向

上下両院のステーブルコイン法案は、基本的な枠組みで一致しているものの、アルゴリズム型ステーブルコインへの対応や、州と連邦レベルの規制範囲などで相違点がある。

GENIUS法案とSTABLE法案が調整を経て、一本化されることで今年8月の議会休会前に成立する可能性が高まる。業界推進団体である米ブロックチェーン協会のロン・ハモンド氏は「今後2~3か月以内に両院の法案を統合した『STABLE GENIUS法案』の投票準備が整う」と予測している。

ドナルド・トランプ大統領は、3月にホワイトハウスで開催された暗号資産(仮想通貨)サミットで、ステーブルコイン法案の作成に取り組む議員の努力を強く支持すると表明。8月までにステーブルコイン法案に署名する意向を示した。

スコット・ベセント財務長官は同サミットで、ステーブルコインを「ドルを世界の準備通貨として維持するために活用する」として、ステーブルコイン体制の構築に取り組むことを示唆した。

また、ベセント長官は4月9日に開催された全米銀行協会(ABA)の会議で、財務省は「ブロックチェーン、ステーブルコイン、そして新たな決済システムに対する規制上の障害を綿密に検討する」と強調。「アメリカの資本市場の驚異的な力を解き放つための改革を検討する」と付け加えた。

今後の見通しと課題

強力なトランプ政権からの後押しもあり、業界関係者は「2025年はステーブルコインが本格的に普及する年となる」と予測している。

しかし、一部の民主党議員は、ステーブルコイン法案について、トランプ一族の仮想通貨DeFiプロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」との利益相反の可能性を指摘した。WLFIは3月に米ドル連動のステーブルコイン「USD1」を発表したため、トランプ政権の政策に影響を与える可能性が懸念されている。

関連:トランプ一族のDeFi事業『ワールドリバティ』、ステーブルコインUSD1のエアドロップを提案

また、銀行業界は、ステーブルコインが銀行預金を減少させることで、顧客への融資提供を困難にする可能性があるとの懸念を表明した。

ステーブルコイン法の成立が業界へ与える影響としては、大手ステーブルコイン発行者の優位性を揺るがす可能性が指摘されている。最大のステーブルコイン発行企業テザー社は、米国外(エルサルバドル)に本社をおいているが、法案は外国のステーブルコイン発行者に、銀行秘密法に基づく厳格なマネーロンダリング防止要件や、準備金の厳格な監査を求めている。

テザー社は米国議会の動きを受け、米国ベースの機関投資家向け新ステーブルコインの発行を検討中と報じられている。

一方で、規制の明確化は、新規発行者の参入を促すと予想されている。米国の大手銀行バンク・オブ・アメリカ(以下、BofA)のブライアン・モイニハンCEOは、ステーブルコインの法制化の暁には、独自のステーブルコインを発行する意向を明らかにしている。

関連:テザー社、米国で新たなステーブルコイン発行を構想

ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

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